第19話 ガキンチョ、大いにビビる

「いらっしゃいませー、あらお久しぶりー!」

私は久々に行きつけの喫茶店に入った。


「うおわああ」

ガキンチョは大いに驚いた。


「こら失礼でしょ」

私はガキンチョをたしなめた。まあしょうがないが。


「あらあらかわいいお客さんね」

そう言って彼女は舌なめずりをした。


「り、りざーどまん……」

ガキンチョは固まってそう言った。


「すいませんねこの娘田舎から出てきたばかりで」

私は愛想笑いでその場を取りなそうとした。


「あらあ、じゃあ私が怖いでしょー?ゴゥルルルル!」

からかうつもりなのか彼女は喉を鳴らした。ガキンチョの髪の毛が逆立つ。


「ひぃ!」

ガキンチョは私の後ろに隠れた。


「こ、こら」

私は一応ガキンチョをたしなめたが正直ちょっと怖かった。


「うふふ、ごめんね。ちょっとからかっただけ」

そういうと彼女はウィンクをして席に案内してくれた。


「……しりあいなの?」

席についたあともちらちらとリザードマンの店員を警戒している。


「あんたが戻ってくる少し前くらいからだけどね」

私はこともなげにいった。


「こわくない?」

ガキンチョは当然の心配を言った。


「最初はさすがにビビったけどね」

でも話してみるとごく普通の女性の感性を持っていた。


「さっきあんたに話したのも大体彼女から聞いたんだよ」

私はこともなげにいった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る