第5話 現状確認

「なぜあのとき出ていった?」

私は元旦那現ガキンチョにそう訊いた。


「…よくわからん」

ガキンチョは自分の頭の中を覗き込むような目でそんな事を言った。


「ながいゆめをみていたような…」

ボキャブラリーの少ない芸術家だ。


「ひょっとしたら」

私は思いついた事を言ってみた。


「一回転生してどこかに行って、また転生して帰ってきたのかもね」

渡り鳥というよりピンポン玉のように。


「うーむそうかも」

ガキンチョは腕組みしながらそう言い、少し納得したようだ。


「となると」

ガキンチョはすこし勝ち誇った。


「おれはうんめいのめがみにあいされているのかも!?」

ガキンチョの目が輝いた。


「この場合は爪弾きと言うべきでは?」

私は正しい事を言った。


「というより、つまり2回死んでるよねそれ」

私は重ねて正しい事を言った。


「うーむそうなるかも」

ガキンチョは微妙な顔で肯定した。


「…つまりこれはふろうふし?」

かも知れんがちょっと違う気がした。


「スタートにもどる、では?」

私は正しい事を言った。


「うーむそうかも」

ガキンチョは微妙な顔で肯定した。

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