第2話

レドフォックス邸では、

テールが婚約破棄され閉じこもっていることで、皆が慌てていた。


「テールはまだ部屋に閉じこもったままなのか」


執事を捕まえ、レドフォックス伯爵…、つまりテールの父親は娘の状況を聞き出した。


「余程のご心傷のようで…食事もとられておりません。」


「もうあれから1週間も経つだろう、ずっと何も食べずにいるのか…?」


彼は腕を組んで俯きながら娘のことを思いやった。


今回のことで、テールは何も悪くはなかった。

テールは婚約が決まってから破棄されるまでの間、甲斐甲斐しく尽くしていたのだから。


ただ、皇太子が自分たちより上の爵位の家の娘に恋心を持ってしまった。

それだけの話なのだ。


せめて、もう少し爵位が上であれば…娘の笑顔を守ることができたかもしれない。


しかしそんなことを気にしていても仕方がない。

まずは心を癒さなければ、前には進まないのだ…


「執事、せめて飲みやすいスープを差し入れてやれないものか。」


「すでに試しましたが…一口も口につけません。」


「…」


執事は顎に手を当てながら考える。


既に手を尽くしていた。


部屋のカーテンを変えてみたり、綺麗な花を飾ってみたり、

街の催し物に連れ出そうとしたこともあった…

もちろんそれ以外にもいろいろなことをやってみたのだ。


結果は全て撃沈。


もう、どうすれば心を癒すことができるのかわからなかったのだ。


伯爵と執事の2人が廊下で突っ立って考えていた時


「あの…」


と声を掛けるメイドがいた。


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