第22話 東部ソーマ国
「「ただいまー」」
エルナとその従者の男と別れた双子の姉妹は東部ソーマ国二代目君主――マリナ・ソーマのもとに転移した。
「おや、今日は随分と早かったねえ」
東部ソーマ国中央に聳えるソーマ城の城郭内。本丸御殿の奥御殿。
マリナは脇息に寄りかかって孫娘たちをむかえた。
思わず安堵のため息がもれる。
よかった。今日は言いつけを守って早く帰ってきてくれたようだ。
「うん。ミアがね、【爆砕】を……」
「なんでもないの! それよりおばあちゃん、今日すごい魔法使いのお姉ちゃんに会った」
「そうだった。お姉ちゃんの名前エルナっていうの。かっこよかった。回復魔法使ってたし、【塁壁】もこーんなに大きかった。あともう一人、何とかっていう従者もいた気がする」
メアは小さな両手を目いっぱいに広げて自分が目にした【塁壁】の大きさをおばあちゃんに伝えようと試みる。
名前を聞いて少し驚いたけれど、まさかそんなことはないだろう。
「エルナ、私たちのこと助けてくれた」
「エルナ、怪我をすぐに治してくれた」
あの子は今どこで何をしているのだろう。
「そうかいそうかい。それはよかったねえ。エルナお姉ちゃんは優しかったかい? おばあちゃんも一度会ってみたいよ」
もし許されるのなら、もし昔日に戻れるのなら、もう一度だけ会いたい。
そうして伝えたい――私はここにいるよって。
もう一度だけ。あの子に。
「うん! すごーく優しかった」
「うん! ミア、エルナ大好き」
あの日のことを思い出す。
私が知っているエルナも、優しくて、正義感に満ちていた。
マリナはふと、過去の記憶を思い出す。
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