9話 林間学校最後の朝は大パニック

翌朝。

 先生が生徒に起床を促しみんな起き始める。

部屋にはおしっこの匂いが漂っている。

 私はやっぱりおねしょをしてしまったが、渚ちゃんと凛ちゃんも同様だ。

だがやはりこの部屋の子達はみんなおねしょが不安な子を集めたせいだろうか。

この部屋で寝た子は40人以上が全員おねしょをしてしまっていた。


「はい、みんなおはようございます」


 先生の声がするがやはりみんなどこかしら恥ずかしそうにしている。


「気にしないでいいのよ。それじゃみんなシャワーを浴びてきなさい」


みんなそれぞれ着替えを持って大浴場に行く。

 それで分かった。

おねしょ部屋の子が起床時間が早いのはシャワータイムのためだったんだと。

 私達は手早くシャワーを浴びて体を洗うと着替えて元の部屋に戻る。

部屋はすっかり片づけられている。

 時間も他の部屋の子達も起きる時間だ。

でも何やら他のおねしょをしないはずの子達の部屋でも何だかざわついているのが分かる。

 私は何となくああそうなのかなと直感して他の子達の就寝部屋へと向かう。

だがその光景は予想以上だった。

何と部屋の女の子は全員がベッドに世界地図を書いていたのだ。


「あら、みんな。昨夜はよく眠れたかしら」


先生が声をかけるがみんな返事ができないくらい落ち込んでいる。


「さて、みんな。みんながおねしょをしてしまったけどそれはしょうがないのよ。実は中学生は元々おねしょしやすい年頃なの。それに昨日はキャンプファイヤーもしたでしょ。中学生の女の子が火遊びしたならこれはしょうがないことなの。落ち込まないでいいわよ」


先生の言葉でみんなの表情が少し明るくなる。


「それじゃシャワーで体を洗いなさい。そして着替えが終わったら食堂に集合ね」


 そう言うとみんな染みがついたパジャマのまま部屋を出るが、そこで明日香ちゃん達と私は目が合った。

パジャマにおねしょの染みを作った明日香ちゃん達はその姿を私に見られて居心地が悪そうだった。


「あ、明日香ちゃん……」

「ごめんね、香穂子ちゃん」


明日香ちゃんはそれだけを言うと逃げてしまった。


 そして食堂に集合して朝食となる。

女子の集団おねしょは男子にはばれなかったので何とか最悪の事態は防げたと思う。

それにみんなおねしょしたならこれからお漏らし関連のいじめもなくなると思う。

私達は無事に林間学校を終えることができた。


 結果的に言い林間学校だった気がする。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

林間学校でおねしょ大事件 @kalula

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ