7話 イタズラで大惨事
そして居心地の悪い食事を終えると林間学校の二日目が始まった。朝食が終わるとキャンプファイヤーの準備が始まる。
といっても、準備の内容は男女で完全に分かれている。
私達のクラスは薪を運ぶ係だった。
「ほら、あんたたちはさっさと運んじゃいなさい」
「はーい」
私たちはせっせと薪を運んでいく。
途中、他のクラスの男子たちに笑われたりしたが、何も言い返せないのでただ黙々と作業を続けた。
そうこうしているうちに、なんとか全ての薪を運び終えた。
「やっと終わったね」
「うん、疲れた~」
凛ちゃんと渚ちゃんがへたり込む。
「そうだね、汗かいちゃった」
私の方もだいぶ汗だくになっていた。
「少し休憩しようか」
「賛成」
私たちは木陰に腰掛けて一休みすることにした。
「それにしても、今年は特に暑い気がするわね」
「ほんとうにね」
「日差しも強いしね」
3人でお喋りをしていると、急に尿意を感じた。
「あ、おしっこしたいかも」
「私も」
「じゃあトイレ行こっか」
私達は立ち上がり女子トイレへと向かう。
しかし、その途中で私は足を止めた。
「どうしたの?」
「香穂子ちゃん」
「あ、ごめん。先に行っててくれるかな」
「え、なんで」
「すぐ行くから」
「分かった。早く来てね」
「待ってるからね」
2人は不思議そうな顔をしながらも去っていった。
私は2人が見えなくなったところで、ある工作を始めた。
「薪を仕掛けて誰か脅かそう。そうしたら話題が変わって私達のおねしょはからかわれなくなるかも」
私は薪が急に落ちてびっくりする仕掛けを作る。
それを数分で作ると私もすぐにトイレに向かった。用を足し終え、手を洗うとすぐに元の場所に戻る。
すると二人は既にいて3人で合流して再び話す。
しばらく話していると事件が起こった。
「きゃああああ」
そんな悲鳴が聞こえた。
悲鳴の主は私達のおねしょをからかうグループでリーダーシップを取っている明日香ちゃんの声だった。
「あれ? 今の誰の声」
「なんか変な声しなかった」
「ねえ、ちょっと見てみようよ」
私たち3人も気になり、様子を見に行くことにした。
そこには驚きの光景があった。
私が仕掛けた薪の仕掛けが早速発動して、明日香ちゃんの目の前に落ちたのだ。
明日香ちゃんは突然の恐怖で尻餅をついて倒れていた。
そして私達が近づくと驚きの音がする。
「いやっ、いやぁ」
そういいながらシュゥゥゥゥという水音がしてさらに明日香ちゃんのジャージには染みが広がり、お尻を中心に水溜りが広がっていった。
「あらら」
「すごい」
「これって……」
悲鳴に集まりだしたクラスメイトたちも唖然としていた。
「これはまずいわね」
先生も慌てて駆け寄ってくる。
「ちょっと一体何があったの?」
先生は周りを見渡し状況を察する。
「とりあえず、あなた達着替えを持ってきなさい。それと更衣室に連絡を入れておいてちょうだい。私はこの子を連れて行くから」
先生はテキパキと指示を出していく。
私達はこういう時用の着替えを管理している先生の元に行き着替えを受け取る。
その後、着替えを受け取った先生は明日香ちゃんと共に更衣室に行った。
おそらくあそこで着替えさせるのだろう。
しかし残された生徒は口々に明日香ちゃんの意外な失態を笑うような言葉を口にする。
「あの子、まさかあんなのとは思わなかった」
「いつも偉そうにしてたのに」
「結構かわいいじゃん」
みんな明日香ちゃんの失敗を面白がっているようだ。
しかし、それは一瞬のことだった。
「でも、こんなの見たらもうからかえなくない」
「うん、そうだよね」
「まあ、しょうがないわね」
「うん」
「そうだね」
「むしろかわいそうになってくるもんね」
「うんうん」
そう言うと他の私達をからかったグループの子達は私達3人に軽く頭を下げると去っていった。
上手く行ったのかな。
流石に明日香ちゃんのお漏らしは予想外だったので意外な展開に驚いてしまった。こうして、私のおねしょいじめは意外な形で終わりを迎えた。
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