第14話
時刻は、昼の一時。俺は、待ち合わせ場所の駅前へと来ていた。
待ち合わせスポットで待っていると、俺に声をかけて来る者がいた。
「か~のじょ、一人?」
「……」
なんだ? こいつは……もしかして、俺の事をナンパしているのか? 俺は、とりあえず無視を決め込む事にした。
「彼女、かわいいね~俺と遊びに行かない?」
「行きません、待ち合わせしているので」
「そんなつれない事言うなよ~? ほら、行こうぜ?」
そう言って、腕を掴まれた。
「離して下さい!」
「ん~怒った顔も可愛い~、お持ち帰りしたいぜ~」
うわ、気持ち悪……これだったらまだ主人公のほうがマシだと思う。そう思っていると、いきなり男が「ぐえっ」と言って、倒れこむ。
何で倒れたのか解った。主人公が後ろから、蹴りを入れたからである。
「あかねちゃん、待たせちゃってごめん、さ、行こうか」
そう言って、男を踏みつける。やる事がえげつないな…………
「は、はい」
俺は、そう言って、孝之と行く事にした。
電車に乗り、辿り着いた場所は、巨大テーマパークだった。結構人が多く、並ぶのに時間がかかるんだろ~な……と、思ったほどである。
「じゃあ、入ろうか? あかねちゃん」
「あ、はい」
そう言って、テーマパーク内へ入る。
中は見た目通りに結構広く、このテーマパークのイメージキャラクターが、写真を撮られていた。俺は、まあ興味が無いので、スルーする事に決めてとりあえず楽しむか……と思い、主人公にこう言ってみる。
「先輩、私、何か乗りたいです」
「じゃあ、一緒に乗りに行こうか? あかねちゃん、何からチャレンジする?」
「そうですね……」
遊園地内を見渡す。そして、乗ろうと思ってたのは
「先輩、あれに乗りましょう」
俺が指差したのは、ジェットコースターだった。あれ、乗ってみたいんだよな……と、思ったからである。
「解った、ジェットアローンXクロスだね? よし、乗りに行こう」
そんな名前だったのか、あれ……そのジェットアローンXを乗る事に決めて、列に並ぶ。
三十分後に、俺達の番になったので、乗り込む事になった。ちなみに座席は、運がいいのか悪いのか、一番前の席だった。
「あかねちゃん、怖くない?」
「そういう先輩こそ、怖くないんですか?」
「俺は、大丈夫だよ、このような乗り物とか、舞に付き合わされてるからね」
「そうですか」
舞って、西村舞の事だよな……そうか……西村舞は、絶叫系好きだったのか……西村舞のあらたな一面が見れたな……と思った。そして、ジェットアローンXがスタートする。
いきなり、機械が上にあがって、すぐに垂直落下をしてループする。体にかかるGが凄いな……と感じながら、四分ぐらいで、終わった。
「結構、楽しかったかな、あかねちゃんは?」
「はい、楽しかったです、ちょっと眼が回りましたけど」
「まあ、あの三回転連続ループは凄いよね……」
「はい、確かに凄かったです……先輩、他のアトラクションでおすすめのってあります?」
「そうだな……ちょっと待って」
そう言って、主人公はいつの間にか用意してあったのか、パンフレットを手にとってみている。
「よし、じゃあこのホラーハウスに行ってみない?」
「ホラーハウスですか? ちょっと楽しそうかもです」
「でしょ? じゃあ、行こうか」
ホラーハウスのアトラクションがある場所に向かった。目的地にたどり着くと、カップルで入る人が沢山いた。なんか……えらく入りづらいんだが……やっぱり断ろうかな~とか、思ってると
「あ、ここは早く入れるね、さあ、入ろう」
無理やり手を捕まれて、強引に中に入ってしまった。ホラーハウスの中は、暗がりの設定のようで、明かりがほとんど無く、仕掛けで動くのか、お化けの形をした物が飛び出してきたりした。うん……何というか……思った以上に怖くない、まあ中身男だし……普通の女の子だったら、ここは悲鳴をあげて、抱きつくとかするのか? とか思ったが、俺は、そんな事は実行しないぞ!と決めているので、孝之に抱きつく行為はしなかった。ホラーハウスが終わって、次はゴーカートに乗り、メリーゴーランドを乗って、コーヒーカップを乗り終わった頃。空はもう、暗くなっていた。暗くなったので、俺は、先輩にこう言って見る。
「先輩、そろそろ帰ります」
「え? もう? じゃ、じゃあ最後にひとつだけ乗ったら、帰ろう?」
「は、はあ……最後のひとつってなんですか?」
「それは……あれさ」
そう言って指差したのは、巨大な観覧車だった。あれは、不味い! 二人っきりで、密室に閉じ込められるじゃないか! そう思ったので、俺はこう言う。
「い、嫌です、先輩一人で乗って下さい」
「いいからいいから、さ、行こう~」
俺の手を無理矢理つかんで、強引に乗せられてしまった。俺は、主人公と向かい合わせに乗っている。こうなったら、ずっと外を見てやる!って思い、外を見る事にした。外を見ていると
「あかねちゃん……」
「は、はい?」
「その服、かなり可愛いね? あのナンパした男の気持ち、本当によくわかるよ」
「は、はあ……ありがとうございます」
「でね……あかねちゃんに言いたい事あるんだ、聞いてくれない?」
「言いたい事ですか……?」
「うん……俺さ……あかねちゃんが好きだ! 俺の彼女になってくれ!」
とうとう告白されてしまった!やばい、めちゃめちゃいい顔でこっちを見つめてきてる! さて……冷静になって考える。ここからどうやってバットエンドを目指せばいいかと、これをOKしちゃったら、トゥルーエンド確定で
孝之とのラブイベント満載の未来が待ち構えている訳で……だから、ここは思い切って、こう言ってやる。
「御免なさい、私より、舞先輩とか、先輩の彼女に相応しいと思います」
「そんな事ないよ、あかねちゃん、可愛いし」
可愛いのは自分でもわかってるんだよ。ただお前とは付き合いたくないって事だが
「でも、やっぱり……御免なさい」
「……そう、でも、俺は諦めないからね? 俺の事は嫌いじゃないんでしょ?」
「嫌いです」
そう言った瞬間、目の前が真っ暗になり、気がつくと
「……そう、でも、俺は諦めないからね? 俺の事は嫌いじゃないんでしょ?」
同じ台詞を言っていた。っく、ここでループが発生するのか……なら、こう言うしか無いじゃないか……
「はい、嫌いじゃないです」
「良かった、じゃあ俺、諦めないから」
そう言って、観覧車を降りて、遊園地から出て、先輩と別れて、自分の家へと戻る。
家に戻ると、文香さんが、こう言って来た。
「あかね、お帰りなさい~夕食出来てるわよ」
「あ、うん、じゃあ頂きます」
文香さんがそう言って来たので、文香さんと一緒に夕食を食べる。食べ終わって、浴室に入り、服を脱いで、風呂に入って考える。
孝之に告白されたから、これを回避するには……どうすれば……と。考えて、決まったのは「他の攻略対象キャラと主人公をくっ付ける」という事だった。風呂から出て、用意されていた下着は、白色のレースのついたふりふりの感じのやつと、白色のブラと白色のパジャマだった。全部白一色だな……と思ったが、深く考えない事にして、用意された物を着る。
そして、自分の部屋に戻り、ノートにこう記す。
「五日目、主人公に遊園地デートに誘われる、そこで主人公に告白される、結果は保留状態、で……ここからこの告白を無かった事にするにはどうすればいいか? とりあえず、他の攻略対象キャラと主人公をくっ付ける方針で動いてみようと思う」そう書いて、時計を見てみると、結構遅い時間になってたので、寝る事にした。
こうして、今日の一日が、終了したのだった。
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