第12話

水無月あかねの家から出てみると、外はもう真っ暗で、町中を街灯が照らしていた。俺は、学校に向かう道を、歩いていく。

数十分歩いて、学校にたどり着いた。

校門が、もう閉まっていて正門から入るのは、無理そうだな……と思ったのである。街頭の時計で時刻を確認してみると、夜の7時50分となっていた。うん……ちょっと、早く来すぎたかな……とか思っていると、高村菫がやって来た。


「こんばんは、あかねさん」


「こんばんはです、高村先輩」


「あかねさん、早いのね? 一番乗りみたいだし」


「たまたまですよ、時間を気にせず来たら、こんな早くなったんです」


「そう」

そんな感じに話していると、主人公と西村舞がやって来た。


「あかねちゃん……舞と菫先輩に声かけたの?」


「はい、何かまずかったですか?」


「い、いや……せっかく二人っきりで星を見ようと思ってたのに……」


それが嫌だったから、二人を呼んだんだよ?


「あかねちゃん、教えてくれてありがとね? ほら、孝之、行くわよ」


「お、おい引っ張るなって」


「ところで、行くって何所へですか?」


「せっかく学校に来たんだし、屋上にでも行きましょうか? 確か、裏門から校舎の中に入れるはずよ」


「高村先輩……詳しいですね」


「まあ、結構、裏門を使用していたしね」


高村菫がそう言ったので、俺たち四人は、裏門から校舎の中に入る事にした。校舎はちゃんと鍵が施錠してあったのだが、高村菫がピッキングで簡単に開けてしまう。これって犯罪じゃないのか? とか思ったが、まあ深く考えない事にして、校舎内に入り、屋上を目指す。屋上に辿り着くと、夜空が綺麗だった。雲が全く出ていなく、満月がくっきりと見え、星も肉眼で確認出来るほど、外が快晴であった。


「綺麗~」


「ああ、ほんとだな、あの、いい加減腕を離してくれないですかね? 舞」


「嫌よ、離したら、菫先輩やあかねちゃんに何するか分からないし」


「そ、そんな事……」


おいおい、もしかして二人きりだったら、何かするつもりだったのか? ふ~……西村舞を呼んでおいて、正解だったな……ほんと


「あ、流れ星が出始めたわよ」


そう高村菫が言って、空を見上げると、流れ星が無数に広がっていた。

うわ、めちゃめちゃ綺麗だな~と思う。


「綺麗ね~……孝之?」


「何だよ」

「今度、二人っきりで見ようね?」


「……」 


「何? 私とじゃ見たくないわけ!?」


「痛たたたた!腕が~~!!い、嫌な訳ないだろ!!」


「そう? なら、よかった」


うん、主人公……いい気味だな……とか思った。流れ星は、三分以上続いて、終了した。


「もう、流れ星は無い見たいね? じゃあ、帰りましょう」


「は~い、賛成です」


「あかねちゃん」


「な、何ですか? 先輩」


「今度は、二人きりでどっか行こうね?」


何でここでそー言う事を言うかな? この男は?


「ちょっと、あかねちゃんに何言ってるのよ、あかねちゃん? 断っていいからね?」


「えっと……舞先輩が怖いので、了承しかねないです」


「そう……でも、俺は諦めないから」


「もう、いいでしょ? 帰るわよ、孝之」


「痛たたた、だから腕を引っ張るなって!」


そう言って二人は、帰って行く。残された俺達はと言うと


「なんか……あの二人って結構お似合いよね……?」


「はい、私もそう思います」


「じゃあ、私達も帰りましょうか? 警備員に見つかると、まずいしね?」


「そうですね、じゃあ、帰りましょう」

そう言って、屋上から出て、外に出る。外で菫先輩と別れて、家に着くと、夜の九時となっていた。

リビングで文香さんと一緒に、夜ご飯を食べて、自分の部屋に戻る。自分の部屋に戻って、早速ノートに今日あった出来事を書き込む事にした。


「四日目、主人公に星を見に誘われる、他の攻略キャラを誘う、ラブイベントは回避されたと思う」

こう書いて、ベットに入り、目覚ましをセットして、眠くなったので、瞼を閉じる。こうして、俺の一日が終了したのだった。

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