第4話

午後の授業も無事というか、いとも簡単に終わった。

授業が終わったので、早速行動にうつそうとすると、笹村理恵子がやって来て、こう言ってきた。


「あかね~? 聞きたいんだけどさ?」


「な、何? 理恵子?」


「孝之先輩の事好きなんでしょ? 告白とかしたの?」


「い、いや……でも、なんでそんな話に?」


「いや、だってあかねが言ってたじゃない、最近気になる先輩がいるのってさ? で、私なりに調べたわけですよ? で、候補にあがったのが孝之先輩ってわけ? で~告白するんでしょ?」


「……いや、わかんないかな……」


「ふ~ん……まあ、私は応援するわよ? 頑張りなさい? あかね」


「あ、ありがと、じゃ、じゃあ私は、行く所があるから……」


そう言って、教室から出ていく。

うん、応援されても、困るのだが……とりあえず気を取り直して、主人公のいるクラス、2年2組に向かう事にした。何故、向かうのかと言うと、そのクラスの中に、攻略対象者がいるのである。2年2組は、直ぐに見つかって、教室の中に入る。

教室の中は、数人の生徒がいて、帰り仕度をしている者や、話し合っている者もいた。その中に目標の人物を見つけて、声をかける。


「あの、ちょっと来て下さい」


「え……? 僕に?」


「はい、貴方にです」


そう言って、手を掴み、二人で教室の外に出て、人気のない場所にたどり着いた。

人気のない場所にたどり着いて、手を離す。


「一体何なのかな……? こんな所に僕を連れ出して……え~っと……君は……」


「私は、一年の水無月あかねって言います。沖島ユウ先輩に話がありまして」


「僕に話? 一体何……まあ、この状況から察すれば……ある程度予想はつくけど」


「じゃあ、単刀直入に言いますね……先輩……女ですよね?」


そう、この沖島ユウは、男子の制服を着ているのである。

姿は、黒髪のショートに、結構背が高く、水無月あかねとの身長差が、十cmも違うのである。普通に見た目は、結構かっこいい美男子に見えるが、ゲーム「ラブチュチュ」だと、プロフィールを見た時、男装をしていると書かれてあったので、女と確信しているのであった。


「な、何の事……? 僕は、男だけど……」


「そうですか? じゃあ……服脱いでくれます?」


「……え!?ちょ、ちょっとそれは出来ないかな……ここで脱ぐ事じゃないし……」


「脱げないんですか? じゃあ、やっぱり女ですよね?」


「だから、そうじゃなくて、そ、そう、僕……体に傷があって、それを見せたくないんだ、だから……」


「じゃあ、えい」


そう言って俺は、沖島ユウの胸を鷲掴みにする。

うん、小さいけど、柔らかい、この自分の体と同じサイズぐらいなのかも?と思ってしまった。


「い、いきなり何するの!」


そう言って、俺を突き飛ばす。

お~顔を赤らめてるし、なんか可愛いって思ってしまうなあ……


「先輩の胸、柔らかかったです、やっぱり女の子ですよね? 私、先輩が女の子って知ってたから、こんな人気のない場所に連れ出したんですよ?」


「……よく、僕が女の子と解ったね……秘密にしといたのに……」


「大丈夫です、先輩? 私、誰にも先輩の事、言いふらしたりしませんから」


「ほ、ホント?」


「はい、で、先輩に聞きたい事があるんです、先輩の同じクラスの、初崎孝之先輩の事って、どう思ってます?」


「孝之の事? う~ん……ま、まあ一緒に遊んだりして、ちょっとかっこいいな……とか、思った事はあるけど……なんでそんな事を聞くの?」


「私、孝之先輩に言い寄られてるので、それを回避したいんです、孝之先輩の事が好きだったら、行動してくれると嬉しいんですが……」


「行動ね……ま、まあ、僕から言わせると、孝之って僕の事、男と思ってると思うんだけど……、自分からカミングアウトとか、してないし……」


「自分からは、しないんですか?」


「しないよ~、ま、まあ、バレタら正直に話すけど……」


「そうですか、私は、応援してますから、頑張って下さい、沖島先輩、じゃあ、、話す事はこれだけなので、私は行きますね」


そう言って俺は、沖島先輩から、離れて行った。

うん、こんな感じでいいかな……まあ、あとは行動する事を、期待するしかないか……

さてと、他の三人に声をかけたので、あともう一人いるので、俺は、その人物に会う事に決めて、校舎内を探す事にした。

あと一人で、攻略対象キャラ全てなので、俺は、校舎内を探す事にした。

まず、屋上に行って見る。

屋上は、夏の日差しで、結構暑く、長くいると汗が出てくる感じだった。その中にいるのは、三年の高村菫だけだったので、ここにはいないな……と思い、違う場所を探してみる。次に向かったのは、図書室に向かった。

図書室は、昼休みと違って、人が沢山いたので、目標の人物を探してみる。

見つけたのは、本を読んでいる、二年生の風見理子を見つけた。

理子を見つけたので、俺は、聞いてみる事にした。


「風見先輩、こんにちは」


「あ、あかねちゃんでしたっけ? ま、また何か?」


「あのですね……西村先輩の居場所って、解ります?」


「西村さん?……西村さんなら、今頃、校庭じゃないかしら……、さっき見かけたし……」


「ありがとうございます」


そう言って、理子先輩と別れる。

校庭か……とりあえずまだいると信じて、校庭に出てみる。

校庭には、部活動をやっているのか、結構沢山の生徒が、体操着を着て、動いていた。その中にひときわ目立つ存在を探してみると、見つけた。

体操着を来て、運動場を走っている、西村舞を見つけたのである。

何で、目立つ存在なのかというと、この西村舞は、髪の色が水色なのである。

水色の髪にポニーテールに巨乳なので、かなり目立っている。

ゲーム「ラブチュチュ」だと、陸上部と言う設定なので、今の時間だと、走りこんでるんだな……と、思った。ちなみにこの西村舞は、主人公の幼馴染という設定で、家も隣同士、性格もよし、料理も上手なので、男だった俺から言わせると、主人公に対して、リア充死ね!って思った事も何度かあった。

今、練習中見たいなので、練習が終わったら、話しかける事に決めて、練習が終わるのを待ってみる。

ず~っと練習風景を見ていて、そしてどうやら練習が終わったので、西村舞に話しかけた。


「西村先輩、こんにちは」


「あら? あかねちゃんじゃない、一体私に何の用?」


「西村先輩に聞きたい事あったんです、孝之先輩の事で」


「孝之の事? また、あの馬鹿が何かやらかしたの?」


「はい、まあ……それで、西村先輩は、孝之先輩の幼馴染ですよね?」


「まあ、世間一般的にはそうね、家も隣同士だし」


「じゃあ、孝之先輩の事って、どう思っています? 付き合いたいとか思ってませんか?」


「あの馬鹿、せっかく私が、遊びに行こうとか誘っているのに、断るのよ? 二人きりで行こうと思ってたのに……それに、孝之のためにお弁当とかも作ってあげてるのに、感謝の気持ちもないのよね……まあ……私が好きでやってるんだけど……」


「やっぱり好きなんですよね?」


「そう言われれば……そうよ……もしかして、あかねちゃんも孝之の事が? と言う事は、ライバルになるわけ?」


「いえいえいえ、私なんかが孝之先輩の事が、好きな筈ないじゃないですか、先輩? 実はですね? 孝之先輩の事を好きな人、他にも三人ぐらいいるんです、すっごいモテますから、孝之先輩、きっと他の女性から、声をかけられてるとか、ありますよ?」


「そうなの? ほ~……それは、知らなかったわね~? 孝之に問いださないと!」


「だから、孝之先輩の事が好きなら、GETして下さいね? 私としても、その方がいいですし、じゃあ、よろしくお願いします」


そう言って、お辞儀をしてから、西村舞から離れて行った。

よし……これで、攻略対象全員に声をかけたから、あとはどうなるかって感じだな?

学校に残っていると、主人公に声をかけられそうなので、水無月あかねの家に、戻る事にしたのであった。

主人公の攻略対象キャラ全員に、声をかけたので、もうやる事は無いなと……思ったので、家に戻る事にした。水無月あかねの家に戻ると、出迎えてくれたのは、水無月あかねの母親の、水無月文香さんだった。


「あ、おかえりなさい、あかね」


「ただいま」


「そういえば、電話あったわよ?」


「電話?」


「そう、え~っと確か、初崎君だったかしら?「あかねちゃんいますか?」って言ってきたわ」


「そ、そうなんだ……」




「いないって言ったら、「じゃあ、また掛けなおします」と言ってたけど、あかね?」


「な、なに?」


「初崎君って、あかねの彼氏?」


「ち、違う」


「そう? でも、私はあかねが彼氏を作るのは、全然OKよ? あ、家にも招待していいからね?」


「しないよ……じゃあ、着替えてくるね・・・」


なんか……文香さんも、俺が彼氏出来るの肯定派なのか……と、思ってしまった。

水無月あかねの部屋に、辿り着いて、制服とスカートを脱ぐ。

朝と同じく、白色のブラとパンティーが見えた。

自分で言うのもなんなんだが、結構色っぽいのではないのだろうか? そんな考えをやめて、タンスにしまってある服を見てみると、スカートやらショーツ? やら色々あって、結局何に決めたかと言うと、ジャージがあったので、ジャージを着る事にした。家の中でジャージ……男の俺だったら、そんな事しなかったな? そう言えば……そう思い、着替え終わって部屋の外に出ると、文香さんが話しかけてきた。


「あら、あかね? なんで家の中でジャージ?」


「この方が動きやすいから?」


「まあ、家で何を着ようが私は、何も言わないけど……あ、お風呂沸いてるから、入っちゃいなさい、ジャージよりパジャマ用意するわね?」


そう言って、文香さんは、移動した。

風呂か……うん、どうしよう……ま、まあ文香さんがそう言うので、入るかな……と思い、風呂に入る事にした。浴室と書かれた部屋の中に入り、籠が置いてあったので、そこに服を入れる事にして、服を全部脱いで、風呂の中に入る。

中は、結構ゆったりとしたスペースがあり、浴槽も足が伸ばせるぐらいに、広かった。まず、風呂に入る前に体を洗おうと決めて、シャワーのノズルを捻る。

シャワーから、お湯が出てきて、温度も丁度いい設定にしてあった。

そして、体を洗う事にして、シャワーを浴びて、自分の体を見てみる。

なんというか……乳首の色が薄ピンク色をしていて、巨乳ではないので、小さな突起がある感じだった。


「でも、貧乳が好きって言う奴が、結構いるんだよな……」


そう呟きながら、体を石鹸で洗っていく。なんというか……いいにおいのする石鹸で、肌を洗っていると、結構スベスベな肌だった。体をしっかり洗って、下のほうも洗う事にして、まじまじと見てみる。男のシンボルが無く、穴があいているだけで、毛が全くなかった。どう洗っていいか、わからなかったが、慎重に洗う事にした。

洗い終わって、考えてみる。この中に、男のアレを入れるんだよな・・・と男だった時に、見たエロビデオに出てくる女優は「もっと、もっと突いて!気持いいわ~!」とか言っていたが、あれは本当に気持ち良かったのか? とか思う。最初は滅茶苦茶痛いとも聞いた事あるし、やっぱり男だった俺としては、男と性行為はやりたくないな……と、思ったのであった。それに、この自分の体って経験あるのか? と思ったが、そこは深く考えない事に決める。

かと言って、女同士でやるのもどうかと考えたが、結論から言うと「男の姿に戻ってから、女と愛し合いたい」と、こう決めたのである。

最後に頭をシャンプーで、洗い流して湯船に浸かる。

うん、いい温度に設定されていて、結構気持ちよかった。

長く入ってると、のぼせてしまいそうなので、早めに湯船からあがった。

籠の中に用意されていたのは、ピンクのブラとパンティー、それにピンク色のパジャマだったので、結局これを着る事にした。ブラの付け方がよく分からなかったが、なんとか付ける事に成功して、ピンクのパジャマを着る。

鏡があったので、自分の姿を見てみると、映っているのは、水無月あかねの姿であり、まじまじと見てみると、やっぱり美少女に見える。

絶対に男とかに、声掛けられるレベルだよな……この容姿だと……

そう思いながら、髪をタオルで乾かして、浴室から出ると、文香さんが話しかけてきた。


「あら、あかね、あがったのね」


「あ、うん」


「じゃあ、ご飯にしましょう、もう出来ているわよ」


「は~い」


そう言って、リビングに向かう。

リビングに用意されていたのは、カレーだった。

そのカレーをスプーンで食べてみると、料理上手だからか、物凄く美味い。

つい顔が緩んで食べていると


「あらあら、にこにこして食べてもらうと、作ったかいがあったものね?」


「本当に美味しいから……」


「そう言ってくれて、ありがとね? あかね」


うん、ほんとにいい人だ。めちゃめちゃ俺の中では、かなりの好感度があがっているのだが。食べ終わって、あかねの部屋に戻る。時刻を確認してみると、夜の10時となっていて、何をしようかと迷い、とりあえずこれからの事を考えてみる。




今日は、主人公の攻略対象者全てに声をかけたので、これなら主人公との恋愛フラグを回避出来るのではないだろ~か……と思われる。まあまだ日にちは、六日間あるので、どうなるかは今だに不明なのだが、とりあえずこの事を記録しようと思い立って、ノートに今日の出来事を記す事にした。

ノートにこう書く。「一日目、今日は他の四人と接触、主人公との出会い確立0」と、書いた。他にする事もなかったので、ベットの上に乗る。なんだが眠くなったので、寝る事に決めた。

もし寝て、明日になり、元の姿で元の世界に戻ってたらいいな……と念じながら目を瞑る。


こうして、俺の一日が終了したのだった。


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