第3話
とりあえず……行動しないと何も始まらないので、通っている高校とやらに行く事にするのであった。高校の場所は、名前を覚えているので、問題はなかった。
さて……高校に行って、何から始めようか……と、考えながら、通学路を歩く事にした。まず、外に出て気がついた事は、街中もゲームに登場する街並みだった。
まあ、人がちゃんと動いているので、これが現実なんだと、実感してきた。
俺は、通学路を歩いて、通っている高校と思われる、建物に辿りつく。
ゲーム「ラブチュチュ」では、私立白稜高校となっていたが、校門を見てみると「私立白稜高校」と、表記されていた。うん、ゲームで見た学校と、同じ形をしていて、校舎の高さも同じだった。もうここまで来たら、驚く事はしないでおくか……と思い、校舎の中に入る。
水無月あかねは、確か1年4組のクラスだったので、1年4組の教室を、探してみる。すると、二階の奥に、1年4組を見つけたので、その中に入ると、クラスメイトがもう、ほとんど座っていた。
俺の席は、どこかな……と探して、机にかかっている持ち物の名前に「水無月あかね」と、書かれてあるのを見つけて、その席に座る。
うん、スカートなんか初めて着たからか、なんかスースーした。
席に座って、これからどうしようかと、考えていると
「おっはよ~あかね?」
「……?」
ゲームの中では、見た事のないキャラが、話しかけてきた。
姿は、黒髪のショートで、かなり胸が大きい、Dぐらいは確実にあると、思われる。
ゲーム「ラブチュチュ」に、このようなキャラクターっていたかな?
もしかして……彼女は、隠しキャラか何かなんだろうか……? 一体……誰なんだろ~な……と、思っていると
「どうしたの? あかね? 私の事見て、何か考えてるけどさ?」
「えっと……誰?」
「ちょっと、それ本気で言ってるの?」
「う、うん、ちょっと階段から落ちちゃって、人の名前とか、忘れちゃったんだ」
適当な嘘をついてみると
「そうなの? 大丈夫? まさか、大親友の私の事を忘れるなんてね? 私の名前は、笹村理恵子、理恵子でいいわよ?」
「わ、分かった、ありがと、理恵子」
あかねにこんな親友がいたのか……驚いたな……
しかし、やっぱり笹村理恵子って言うキャラは、初めて聞く名前だった。
「ところでさ? あかね?」
「な、なに?」
「先輩とは、上手く言ってるの? 好きなんでしょ? 先輩の事」
先輩って事は……もしかして……主人公の事か!?
確か、ゲームでの設定の主人公の名前は「初崎孝之」だった筈。
「そ、それって、孝之先輩の事かな?」
「そうよ、で、孝之先輩に誘われたのかな? そこの所、詳しく教えてくれない?」
「さ、誘われてないよ?(まあ、この後誘われるかもしれんけど)」
「ふ~ん……なんかあやしいわね~?」
そう理恵子が言うと、キーンコーンと、チャイムが鳴り始めた。
「っち、詳しく聞こうと思ったのに~まあいいわ、あかね? また後でね」
そう言って、理恵子は自分の席に戻って行った。
これは、とりあえず助かったのか……? と、思ってしまったのであった。
うん、とりあえず今日のやる事は「主人公の初崎孝之と他のキャラの好感度を調べる」と、決める事にして、授業を受ける事にした。
まず、やる事は「初崎孝之と他のキャラの好感度を調べる」と、決めたので実行に移す事にした。授業は、なんか簡単だった、まあ先生に当てられもしなかったので、適当に聞いてるふりをして、黒板に書かれている文字をノートに写す作業だけをしていて、授業が終わる。
お昼になり、確か……この学校には学食があったので、そこに行ってみる事にした。
そう言えば……この世界でのお金ってどうなってるんだろ~な? それを確認してみる事にして、自分の鞄の中を調べてみる。中には、ノートや教科書の他に、使用がわからない布状の物も入っていた。もしかしてこれが、ナフキンとか言う奴なのだろ~か……?
そして、ピンクの財布らしき物を見つけて、中身を見てみる。
中には、笹村理恵子とのツーショット写真や、小銭とお札が入っていた。
よく見てみると、小銭もお札も、見た事のある物だったので、これは使えるんだな……と、実感した。そのピンク色の財布を持って、学食へと向かう。
学食に行くと、生徒が大勢いて、結構混雑していた。
その学食の券売機を見てみると、お金を入れるスペースがなく、ボタン表示が光っているので、生徒もお金を入れる事なく、ボタンを押しているので、これは、全品無料なのか!? と、驚いてしまった。
まあ、何にしよ~かなと、考えて、きつねうどんのボタンを押す。
きつねうどんと書かれた券が機械から出てきて、食堂のカウンターに置くと、すぐにお盆に乗せたきつねうどんが出てきた。お盆をもって、あいている席に座って、きつねうどんを食べる。
うん、マジで美味い、とりあえず飯に関しては、この世界と前の世界とは、結構同じらしい。食べながら、まわりを確認してみると、ゲームでの攻略候補の一人を見つけた。
髪の色が銀髪のストレートで、かなりの美人さんに見える。
マジで銀髪だ……ある意味すげーな……普通に考えて、ありえない色をしているんじゃないか?でもここは、ゲームの中?っぽいし、この色がこの世界では、普通に受け入れられているんだろうと思う。
名前は「高村菫」と言って、確か三年生の上級生である。
ゲームでは、いつも屋上にいて、空ばかりを見ている、結構不思議ちゃんな感じの人だと、高村菫を攻略対象にした時に、思った。高村菫は、食べ終わったのか、食堂から出て行く。向かう先は、多分屋上なんだろ~な……と思い、俺も食べ終わって、屋上に向かう事にした。屋上に行くと、暑い日差しの中に、外を見ている高村菫の姿を見つけた。俺は、高村菫に話しかけてみる。
「あの、高村先輩ですよね……?」
「……貴方は?」
「私、一年の水無月あかねと言います、高村先輩に聞きたい事があって」
「私に聞きたい事? 一体何?」
「あの、孝之先輩の事、どう思ってます?」
「孝之……ね……そうね……まあ、私がここにいる時、「何してるの?」とか、話しかけてきたのが彼だったわね。まあ、彼と一緒にいるのは楽しいわ、これが恋愛感情なのかどうかは、わからないけど……それにしても、あかねちゃんだっけ……? 孝之の事を聞いてくるなんて、好意を持っているって事なのかしら?」
「いえ、違います、孝之先輩が私にしつこく迫ってくるので、私は嫌なんです、だから先輩と仲良さそうな人がいるって聞いたので、話しかけてみたんです」
「そうだったの……孝之、そんな事言ってなかったわね」
「なので、高村先輩、孝之先輩の事が好きなら、ガンガンアタックして下さいね? それじゃあ」
そう言って俺は、屋上から出て行く事にした。
これでよしっと、次は他のキャラのところにでも行く事にしたのであった。
屋上に行った後、次に向かったのは、図書室に行く事にした。
何故図書室に行くのかと言うと、図書室の中に、攻略対象キャラがいるからである。
図書室はすぐに見つかり、まあ部屋名に図書室って書かれてあるからここが、そうなんだろ~な……とか、思ってしまった。図書室の中に入ると、そこは古ぼけた棚がいっぱいおいてあって、本の数も結構沢山あった。俺は、その中を歩きながら、目標の人物を探していると、本を読んでいる彼女を見つけたので、声を掛けてみることにしたのであった。
「あの、風見先輩ですよね?」
「……は、はい? そ、そうですが……」
俺が話しかけたのは、ストレートな緑色の髪の色をしている人物で、二年生の風見理子であった。普通に考えて、ありえねえ色だろ?とか思うのだが、そこは深く考えない事にした。
「私、一年の水無月あかねって言います、風見先輩に言いたい事があって来たんです」
「わ、私に言いたい事……? 一体何の用?」
「実は、孝之先輩の事で、知ってますよね? 孝之先輩の事」
「孝之君? ま、まあ知ってるけど・・・」
「私、孝之先輩に言い寄られて、本当に困っているんです、孝之先輩の事、どう思ってます?」
「どう思ってるって……孝之君は、私が図書室に本を返しに行った時にぶつかって、「大丈夫? 持ってあげるよ?」って言って来たけど……それから、私によく話しかけて来て……それで、あ、この人は優しい人なんだな……ってちょっと思っただけで……」
「じゃあ、嫌いなんですか?」
「い、いや……別に嫌いって訳じゃ……」
「じゃあ、好きなんですね? だったら、告白してみてはどうですか?」
「で、でも……私、引っ込み体質だし……かわいくないし……」
「先輩、可愛いですよ?」
何でそう言えるのかと言うと、この風見理子は眼鏡をかけているのだが、ゲームの終盤になると、コンタクトにするので、そしてその素顔が、かなりの美少女になるからである。まだこの段階では、眼鏡をしているので、主人公との好感度が低い状態だな……と思われる。
「そ、そうかな……」
「ええ、自信持ってください! まずは話しかける事から大事ですよ?」
「そ、そうよね……う、うん、頑張って見る……」
「私、応援してますね? じゃあ、用件はこれだけなので、お邪魔しました」
そう言って、俺は図書室から出て行く事にした。
うん、こんな感じでいいだろ、あとはどうなるかって感じだな……って思い、次にどうしようか、考えていると、キーンコーンとチャイムが鳴ったので、まだ攻略対象キャラがいるのだが、声をかけるのは放課後にするか……と決めて、自分のクラスに戻る事にした。クラスに戻ると、笹村理恵子が話しかけてきた。
「あかね? どこ行ってたの? 私、聞きたい事あったのにさ?」
「ちょっと用事があってね……移動してたんだ」
「ふ~ん……まあいいわ、授業始まるし、授業終わったら聞くわね」
「う、うん、分かった」
理恵子は自分の席に戻る。俺も自分の席について、午後の授業を受ける事にしたのだった。
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