11
はい、その通りっ。
気がついたら私は、再び風呂場に向かって駆けていた。
「まったく、なにをやっているんだ、私は」
とほほ…
「さあ、ヒミコ。悪いがまた…!?」
やがて、あらたに風呂場の戸を開けたところで、はたと私は息を呑んだ。
先ほど、あの椅子に座らせたはずのヒミコの姿が、驚くなかれ、いまやどこにも見当たらなかったからだ。
「い、一体どこへ…」
言わずと、人形のヒミコが自分で移動できるはずがない。
なら、見学の間に空き巣にでも入られた、とか?
だとしても犯人は、あのような重い物を盗んで逃げたというのか。
また、もし空き巣の仕業なら、他にも失くなっている物があるかも知れない。
が、播磨氏ならびに見学者の方々がお帰りになってから確かめてみたものの、別に盗まれたような物はなかった。
では、ヒミコは? といえば、なんと披露することのなかった私の自室にあったのである。
「ど、どうなってるんだ…」
まさか、本当に自ら動いたとでも言うのか。
でなければ、いったい誰がヒミコを移動させたというのだ。
もしや、《霊》のしわざ、とか。
んいや、まさか…だよな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます