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 はい、その通りっ。


 気がついたら私は、再び風呂場に向かって駆けていた。


「まったく、なにをやっているんだ、私は」


 とほほ…

 

「さあ、ヒミコ。悪いがまた…!?」


 やがて、あらたに風呂場の戸を開けたところで、はたと私は息を呑んだ。


 先ほど、あの椅子に座らせたはずのヒミコの姿が、驚くなかれ、いまやどこにも見当たらなかったからだ。


「い、一体どこへ…」


 言わずと、人形のヒミコが自分で移動できるはずがない。


 なら、見学の間に空き巣にでも入られた、とか?

 

 だとしても犯人は、あのような重い物を盗んで逃げたというのか。


 また、もし空き巣の仕業なら、他にも失くなっている物があるかも知れない。


 が、播磨氏ならびに見学者の方々がお帰りになってから確かめてみたものの、別に盗まれたような物はなかった。


 では、ヒミコは? といえば、なんと披露することのなかった私の自室にあったのである。

 

「ど、どうなってるんだ…」


 まさか、本当に自ら動いたとでも言うのか。


 でなければ、いったい誰がヒミコを移動させたというのだ。


 もしや、《霊》のしわざ、とか。


 んいや、まさか…だよな。

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