伽羅倶利の史都
『…間違いないですじゃっ。危機を察したそなたの『守護霊』が、一時的にとはいえ、このラブドールに宿り、これを動かしたのですじゃっ』
という事実なのかどうか、とにかく近所に住む美人霊能者、
思いっきり『ラブドール』って言いましたけど…
つまりは、こういうことのようだ。
あの日あの時、慌てふためく私を見かねた我が守護霊が、ヒミコに憑依。そして、それを私が運ばずとも済むようにと、ご親切にも風呂場から(私の部屋に)移動させてくれたそうなのだ。
「まさか、本当に霊の仕業とは…まあ、他に思い当たる節もないし、ここは霊幻先生を信じて、その辺で手を打っておくか」
さて、それが午前中のお話。で、午後1時過ぎの現在、ここ我が家の居間でもって私は、昼食後に寛いでいるところだ。
確かに、暇人…あいや、たまたまさ。そう、週末にはレギュラーを含めたテレビ番組の収録があるぞよ。こう見えても、(そこそこ)売れっ子芸人だからな。私は。
さ、さておきヒミコはといえば、お供え物等を前に、この卓の上座に着いて…もとい、着かせている。相変わらずのセーラー服姿で。
「ぼちぼち、別の服も用意しないとな」
それはそうと、なぜ私がヒミコを、そんなお供えだ上座だと扱うようになったのかといえば、
『今後も御当主の守護霊が、この人形に憑依し、なにかそなたの為に働く機会があるやも知れませぬのじゃ。よって、決してこれを粗末に扱わず、お手入れやお供え等を忘れずに、大切になさるがよいのですじゃ』
といったアドバイスを、霊幻先生から頂いたからなのである。
すなわち、守護霊の『媒体』であるヒミコを、日頃から丁重に扱えという事だな。うん。
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