第26話 大食い大会予選


「キャー」

「ウオオオイッあいつ吐いてるぞー」

「釣られて隣も吐いてるぞー」


「うわっ、、匂いが、、オエッ」

「、、、やべーな」


どうしてこうなった?


はじめての大食い大会予選がまさかの大パニックに!



ーーーー朝6時ーーーー


いつも通り朝食を配布してたら

今日の夜、大会予選があるから食べないという人達がチラホラいた


何でもブーさんだからとんでもない優勝景品があるのでは?と、噂が広まり過ぎて気合いが入ったらしい


「えっ、、でもまだ大分先だよ!ちょっと食べといた方が本番で食べれるよ」とブーが幾ら説明しても

聞く耳持たない村人


困ったな!こんなんじゃ身体に悪いじゃん


これからはサプライズにした方がいいのかな、、と本気で悩んだ


「まあ本人がそう言ってんだからほっとけよ」


「むー」


特に豚獣人達の気合いがヤバい、早い人だと昨日の夕飯から食べてない


しかし食べた方が良いよと言っても食べないので結局は何も出来ないか、と諦めた


朝食が終わったら夜の為に皆んなで作業開始


もう?と思うかもしれないが


255人が一気に食べるなら

少し冷めても良い料理をたくさん用意しなくてはいけない


しかもお皿に乗せて、何皿食べたか一目瞭然にしないと計数が大変だ


その為一皿一皿を少し多く設定する


予選の料理はズバリ!!!



「お好み焼き」だ



お好み焼きなら少し冷めても美味しい


しかも大きさを好きなサイズに出来る


あとは具材を切りまくって


卵、小麦粉、味付け、ソースの準備、青のりと鰹節はないからパス。


具材は海で獲れたタコ、あとキャベツ、さらに玉ねぎで甘みを、そしてネギ!やはりネギが入らなくてはお好み焼きではない


さらに胃もたれしないように生姜を少し


風味付けに少しだけにんにく


地球にいた頃はスーパーで買った紅生姜を汁ごと使ったのが懐かしいなぁ、と1人思い出に耽るブー



しかし量が凄い


キャベツ300玉の千切りだけでヘトヘトである


切っても切ってもまだある、、、午前中は具材を切るだけで終わってしまった!


急がなくては!


村人達は今日は休みなので皆んな手伝ってくれる


中にはそれまでお腹を空かせようと走ってる


「ちょっと気合い入り過ぎだよな」


「フフフ、まあいいさ」


それより心配なのは大食いなのに

料理が足りなくなる事だ


まさか途中で止めて、作り直す訳にはいかない


言い出しっぺのブーも気合いが入っていた


「例えばイガーならどのくらい食べられる?」

「そうだな、、このくらいかな?」と見せてくれたのは自分の両手で目一杯円を作ったくらいだ


そう、、獣人はめっちゃ食う


結構ピンチである


しかし今更辞めようとは言えない


そのための秘策が


お米!!!


炊いたお米を具材に少し入れる事でモチモチとした食感とボリュームがプラスされ

そんなに食べられなくなる、、という妨害なのである


さらに!念には念を入れ、、じゃがいももプラス


フッコレで僕の負けはない。と独りゴチるブーであった



具材の準備が出来たのでデカいボールをズダダダダンとテーブルいっぱいに展開し


皆んなで切った具を入れていく


「キャベツを手掴みで20回、、タコを3回、、、、」


と流れ作業


「そして最後に小麦粉と卵を入れたら混ぜて下さい」


村人みんなでカチャカチャ音を立てながら撹拌


そして豚バラ肉を鉄板に3枚乗せてジュワーッと焼く



この日の為に長い鉄板をノム爺に作ってもらったのだ

圧巻である


一同にお好み焼きを焼く光景


もはや美しい。


ブーは大満足であった


一応念のため豚獣人に豚バラ食べれるか聞いたら

問題ないとの事


どうやら話せない、知能が低いオークの事は魔物としか認識してないらしい


同じ豚獣人を食べるという事でない限り大丈夫との事


良かった。


それなら今度作るベーコンも大丈夫だね



「ハイ、ではそろそろひっくり返します

ポイントは両手で持ち上げて、大きな円を描くようにポーンっとひっくり返すこと」


「キャーやった出来た」

「おっ!上手くいった」


って声が大半だが中には


「うわっやべ!ボロボロ」

「キャーなくなっちゃった」

「ウオオオイッ、、地面に落ちた」


と嘆いてる人もいた


「ハイ、失敗した子は補助に回って下さいねー」


とちょっと厳しい対応をさせてもらった


急がないと間に合わないからね、ごめんね


「それでは最後にソースに入ってる木の枝(ハケ)でソースを塗って下さい」


「やだっ!凄い良い匂い」

「うおー美味そう」

「やばーい、食べたい」

「うまそー」


それをどんどんお皿に乗せてテーブルへ運ぶ




そして!焼き方を教えたのでブーは音楽隊(ノム爺と犬獣人♂)

踊り子隊(猫獣人♀黒ヒョウ獣人♀、白鳥獣人♀さらに追加で牛獣人のトムさん♂)

歌手のメリンダ(象獣人♀)さらに僕「熊獣人」


を呼び、広場で出し物を初公開!


「えー。今日まで雨の日も風の日も休まず練習してきました。


今出来る最高の演技を今日この日ここに居る皆さんに披露したいと思います


所々至らない点もあるかもしれません


どうぞ温かい目で見てください。よろしくおねがいします」



まず踊り子達皆んなでポージング、センターは何故か男子一点のガチムチ トムさん「牛獣人♂」


その周りに低くポージングする子


高くポージングする子


白鳥獣人は羽を展開したポージング


黒ヒョウは巨大な胸を強調したポージング


猫獣人は身体のラインが丸わかりなワニ皮のムチムチ衣装

女性獣人のエロ姿に村の男子が前屈みに、、



「タンッ、、タッタ、タッタータ!


タンッ、、タッタ、、タッタータ!」


軽やかな音楽で始まると一斉に踊り出すダンス隊


牛獣人のトムさんはビルダーパンツでポージングばっかり!

もっこりがデカ過ぎて村の奥様の眼がハートになってるよ!


メリンダとブーのハーモニー


褌姿の太鼓隊も加わりどんどんテンポアップ


ダンスも中盤になると他の音楽が消え


ドワーフのノム爺によるバイオリン独奏!


その後ろでイタリア、人間の塔を3段作るダンス隊


盛り上がった所でノム爺の髭と胸毛に仕込んだエクステミスリル弦で高音を奏でるノム爺


人間の塔のてっぺんから飛び跳ねる黒ヒョウ獣人


そしてソレを受け止めるトムさん


さらに音楽を消して皆んなで手拍子


「ランラララー、ラッラー♫、、ラーララララララーーラッラーーランラララランランラン♫」


クライマックスは皆んなで激しく!!


トランペット、タンバル、クラリネット、オーボエ、ピアノ


この世界では決して聞いたことのない音色


まだ社交ダンスもない世界にいきなり激しいヒップホップ風のチアリーディングダンス

動く度になびく髪、揺れる胸とお尻、汗で濡れる衣装、

トムさんなんかもう形がクッキリ


そして響くメリンダとブーの歌声


最後は一緒にー


「ヤーーーッ!」


私を観てーーと言わんばかりに両手を前に突き出す出演者


太鼓持ちは片方のバチと顔をお客さんに向けてポージング


トムさんは笑顔で両腕をグッと上に


黒ヒョウ獣人は両脚を地面に着いて片手を上げるポーズ

白鳥獣人はとにかく綺麗な羽を拡げる


フゥ、、、フゥ、、と出演者の息遣いが聞こえるほど静まり返る広場



シーンと静まりかえる村人


すると誰かがパチパチと拍手をする


それに釣られて皆んなで拍手


「スゲー」

「かっこよかったです」

「可愛いー」

「トムさんデカい」

「ノム爺スゲー」

「太鼓かっこよかったよー」

「メリンダ歌うまーい」

「ブーさんも良い声!」

「エロかったよー」


熱気冷めやらぬ中

そんな感じであっという間に3時間!


時間はもう夕方


焼いた数は1000枚


一枚が両手で丸を書いた位デカい物だ


きっと大丈夫!準備万端だ!




「えーみなさん席に着いたでしょうか?

先ほどは出し物を見て頂きありがとうございます

まだまだ練習中なので今後も頑張って

より高い完成度を目指したいと思います

もし、今日の演出を観てやってみたいなーと思った方はいつでも声を掛けてください。

よろしくおねがいします


さて、ではこれより村人ほとんど参加の大食い大会の予選を始めたいと思います


何かあった時の為に僕と村長、ヤミーさん、ロームさん、ノム爺は参加しません!喉に詰まった、気分が悪い人は手を挙げて下さい。

大食いの基本です、よく噛んで食べてください

お腹がいっぱいなら無理をせず中断してください

勝負とは言え皆んなで一生懸命作りました。

よーく味わって食べてください

水はテーブルに置いてあるので各自でお願いします

おかわりも目の前にたくさん用意してるので各自取って食べてください

食べ終わったらお皿を重ねて置いてください


子供、女性、男性、、各上位8名が決勝進出です


それでは、、よーい、、、スタート」



「うまっ」

「やべーうめー」

「何枚でもいけるぜ」


「さあ、始まりました大食い大会

実況は私熊のブーがやらせて頂きます

おっとー、、トンガ選手早いっ開始3分でもう2枚目に突入だー」


地球で観た大食い番組の真似をして場を盛り上げるブー


しかし、、それが思わぬハプニングに繋がるとは、、、この時誰も予想していなかった




「さあトンガ選手が一歩リードか、、

おっと!女性選手からはメリンダ!象獣人のメリンダが一歩リード

綺麗な歌声を支えるのはやはり胃袋かっ!


そして子供からはトムさんの子供!ポム君だー!

こんな小さな身体のどこにお好み焼きが入っていくのか不思議でなりません、、、


さてこのお好み焼き、、実はお米も少し入ってますからね

後から後からお腹で膨れます

飛ばし過ぎて爆発しないよう気をつけてくださいねー


おっと!トンゴ選手も2枚目ー


ギン選手、ヤマト選手も2枚目ー


さあ、みなさんどんどん食べちゃってー♪


何とここで優勝賞品を発表しちゃいまーす!!!


もしも、、ここで、、1位を取ったらー、、、


我々狩り組とレベル上げに参加してもらい

進化をプレゼントー」




「ブフォッ!」

「マジで!」

「キャー進化したーい」

「俺もー、俺も進化したーい」

「いっぱい食べなきゃ、、いっぱい食べなきゃ」

「ウッ、、喉に、、ウグッ」


「ヤミー、あそこの豚獣人だ!顔がやばい、詰まってるぞ」


「あいよ!っ」

すぐさま駆け寄り背中をバンバン叩くヤミーさん


「ウゲホッ、、ゴホッ、、ゴホッ、、ウウウッすいません!」

「気にするな!だが助かって良かった」

「はいー」



「おっとーここで優勝候補のトンゴ選手が脱落ー

急ぎ過ぎて喉に詰まらせてしまったー

お好み焼きを地面に落としたら失格となります

皆さん気をつけてくださいー


さあコレで優勝候補は、、、トンガ選手、、ギン選手、、、トムさん、、、メリンダ選手、、、!


辺りに絞られるか、、どうした皆んな、、もっと頑張れー!」


軽く煽ったつもりだった


だがブーが「頑張れ」と言った


それに応えようと必死に食べ進めた結果



「オエエエエエッ!」


「キャー、、吐いたわ」


「ウゲエエエエエー」


「ウオイッこっちも吐いたぞー」


「うわっ匂いがキタッ、、も、、もう、、ダメエレエレエレエレー」


「ウゲエエエエエ」


「オエエエエエ」


「ブフォッアァッ」


辺りは大惨事になり、、、結局、、、



中止になりましたとさ、、トホホ



「お前があんな煽るからだ」


「面目ない、、つい」


「ついもクソもあるか、、せっかく皆んなで一生懸命作ったお好み焼きを、、もう食べられない人が出るかもしれないんだぞ」


「ウゥゥッ、、そんな、、責めないでよー」ウワーンと落ち込むブー


しかしそんな姿は見たことないのでもっと責めようとするイガー


「お前のせいだぞー」


「ウッウッ」


「お前が悪い」


「ウウウッー」


「ハチミツもやめろー」


「、、、ブチッ、、ハチミツは関係ねえだろークソがー」


「ギャー」


結局また怒られるイガーでした!



ん?結局誰が決勝なのかって?


立候補にしましたとさ



フフフ、、



今回の出し物は女性メインな感じだったからなー


もう一つ男性メインで水着だけのグループも作ろうかなーと密かに考えるエロブーであった


Tバックにしたらいいかもね!フフフ



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