第20話 大漁だー


翌日早起きをしたイガーとブー(イガーに無理やり起こされた)は2人でカルビクッパを大鍋にたくさん作った時

大変な事に気がついた


「イガーやばいよ」

「どうした?ブー!」

「塩が少ないの」

「ええー、塩が無かったら料理も下準備も出来ないじゃんか、、塩って王都まで行かないとないのか?」

「いや、この村の使う塩を買ったら王都の塩が無くなっちゃうよ」

「そんならどうすんだ?」

「ヨシっ!思い切って海に行こう!!!」

「なんだと?!海だと??ヤッホーそれは楽しみだぜ」

「ええー!喜ぶのかい!海風寒いんだよね!まあ久しぶりにアレも食べたいしね」


「ああ、早く行こうぜ」


「まだみんなの朝ごはんが先でしょ!ダメッ」

「へーい」




「そして最後にしっかり沸騰したスープに溶かした卵をゆっくり流し入れると、、、完成ー」

「おー!スープに入れた卵も美味そうだな」

「でしょ!コツはちゃんと沸騰させる事ね」

「へーい」

「さあ、みんな起きてきたから盛りつけるよ」


お椀にカルビクッパをお玉6杯入れて広場に来た人から順番に渡す


「ブーさんおはようございます」

「すいません、新人が遅く起きて」

「明日からもっと早く起きます」

「ブーさん、イガー君おはよう!毎朝ありがとうね」

「おじちゃんおはよー」「お兄さんだぞー」



「ナニコレー!ちょっとピリ辛で美味しい」

「朝からこれだけ具沢山でお米まで入ってると元気出るな」

「スープのお肉もウメェ」

「スープに卵入れるとこんな風になるのね!暖まるわー」



「皆さんおはよう御座います!

今朝は霜が張ってます!

広場はそんな寒くありませんが

風邪をひかないよう充分気をつけてください!


朝食のあと、農家さんと畜産の方々の所へお話しに行きます

食後は自宅で待っていてください

僕とイガーが順番にまわります


それ以外の方はいつも通りお仕事頑張ってください


あとギンとヤマトとトンガとトンゴは別の仕事があるのでノム爺の所で待ち合わせね


では皆さん今日も一日よろしくお願いします」




挨拶の後まず農家さんの所へ


「この様に取れた大豆を茹でて潰して塩を混ぜて

壺に入れて発酵させたのが味噌になります


蒸した大豆と炒めた小麦に塩水を入れて発酵させたのが醤油になります



収穫した各フルーツと黒糖を精製して白っぽくなったのを混ぜて煮たのがジャムになります


収穫した小麦を粉にした小麦粉と塩水を混ぜ合わせた生地を紐状に伸ばして乾燥させたのが素麺になります


牛乳にレモンや酢を入れて分離した物に塩を混ぜて

型に入れて発酵させたのがチーズになります、、


収穫したブドウを潰して発酵させたのがワインというお酒になります


炊いたお米を発酵させて絞ると日本酒というお酒に、!



、、、、」


「やだ!難しそうね!」「ブーさん、、作る時は一緒だよね?」「イガーくん、、手伝ってね」「まさかイガー君逃げないよねー」


「なんか俺に威圧してきて人いたぞ」


「フフフ」




結局色々な調味料や加工品を説明してたら結構時間が経ってしまった


とりあえず今日のところは軽い説明で解散して

後日、仕込む時に立ち会う約束をした


麹とか精製とか分離とか発酵とか、、難しいもんね!


地球でもっと料理の勉強しとけばよかったとゴチるブーであった


あとは魔石の使い方も教えないとなー!


あとは、、、「ノム爺ー」


「なんじゃ?そんなに急ぎおって」


「あのさ、、」


ノム爺に装備を見てもらってた4人に割って入り

壺やら、大食いで使う器やら色々頼んでおいた


すると「そろそろ助手が欲しいのお」とゴチられた



ヨシッ!コレでオッケー

「さあみんな!行くよ」


「うす」「了解です」「今日もお肉ー」「ゴールデンカウの金ベコって奴もっと欲しいな」



ああでもノム爺に凄い頼んじゃったから申し訳ないな、、、


手先の器用な獣人をノム爺のフォローに付けたい、、、


誰かまた村に来ないかなーー




「みんな手を重ねて!行くよ!ビー、移動!」


「ビー」シュンッ



ザッパーン!


ヒュオオー、、ザッパーン




「「「「えっ!海?」」」」


「ヤッホー!海だー」


「あ、ごめん、4人には海に行くって伝えてなかったね」


「あ、いえ、、海で何をするんですか?」

「海風さむっ!」

「生臭い匂いがするな」

「脚がズルズル動くー」


「ズバリッ!海の幸をしこたま狩ります」


「「「「オー、流石ブー様」」」」


「ただの食いしん坊だろ、、」


「はいソコッ!ウニを食べたこと無い人は黙ってて」


「うに???」


「なんだろう、、でもブー様が美味いと言うなら間違いないはず」


「しかし、、我らは水の中で息が出来ません!」


「フフフ、、ジャーン」(ドラえもんじゃないからね)ブーの心の声



「この小さい白い魔石をネックレスにしたのを6つ用意したからみんな着けて


さらに、脚にコレを着けて、、完成


みんな行くよー


ヒャッホー」 



「???えっ、、、ちょちょ、、ブー様ぁー」


「待ってくださーい」


「ヤッホー」


「ええー、僕泳げないのにー」


「ワシも沈む、、、、、ブクブクブク」


勢いよく走って海に突っ込んだ5人はビックリした



何故なら海の中で息が出来たから!



首に着けた白い魔石が結界を張って水が入らないようになってる


それだけなら窒息するんだけど

例えば村に結界を張ってて水没したとする

そしたら白い魔石は結界を張った管のような物を水上まで伸ばして空気を取り込んでくれる


ちょっと反則的な対応だとは思うけど


イガーの爪だけに炎が居続けるとか


こっちの世界って融通が効くんだよね!


今までも不思議に思う事が多々あったけど


深く考えないようにしてる


そんな訳で今僕達の身体からはシュノーケルみたいな管が海上に伸びて空気を吸える


白い魔石様々だよホント!




「、、、」


「、、、、、!!、!!」


「、、!!、」


「、、!、!!」


空気がないから何を話してるのか分からない


多分驚いてるんだと思う


「フフフ」ブーかジェスチャーで先に行くよ、と伝え泳ぎながら脚に付けた空色の魔石を発動


すると魔石から勢いよく出た水流で水の中を素早く泳げる


確かイカの推進力がコレだったはず!



ヒャッホー


「、、、」


イガーはすぐ追いついてきた


他の4人はどうかな?


あ、、ギンとヤマトがきたね


トンガとトンゴは、、、?



ダメだった


ブーとイガーが近付いて脚を指差して教えたら

何とか出来た



そして今僕達6人は海底にいるハマグリみたいな貝類、ウニ、サザエみたいな生き物


更には伊勢海老みたいなロブスターをどんどん捕まえてる


皆んなの腰に網を付けてるからある程度貯まったらイガーの収納に入れてもらおう




そしてたくさん海の幸を集めてた頃


目の前を大きな魚が通った!!!


わ!デカい!


体長20メートル位あるピンク色の鯛みたいな魚が泳いでた

 


コレ食べられるんじゃないの?


とジェスチャー


するとイガーが水流MAXで突っ込んで爪を頭に突き刺した


お見事!!


こちらに振り返りガッツポーズ



フフフ、やっぱりイガーも食いしん坊だね



そしたら他にもこの鯛みたいな魚が何匹も泳いできたから

みんな一斉に攻撃開始


トンガとトンゴは装備を置いてきたから追いかけて頭を殴ってた


ギンとヤマトは武器だけ身体に付けてたから

ミスリルナイフとクナイで仕留めた!


皆んな良いね!


コレで5匹


もっといないかなー



と思ったら、、、真っ暗になった、、、


え?


海の中で?、、真っ暗???


目の前にいるギンとヤマトが慌ててる


どーしたの???


振り返ったブーの目の前に


めちゃくちゃデッカいタコが現れた!!!


ギャー!!!タコキモい



ブーはパニックになり魔力全開の本気パンチを化け物ダコにお見舞いした


ゴドゥンっ!!!


海の中なのに衝撃音と衝撃波で吹き飛ばされる他の5人!


「、、、」

「、、、、!、、」


「、、!」

「!、、」

「!!!!」



ブーが気がついたら頭が半分消えたタコが沈んでった


あれー???おかしいなー


みんなもいないので不思議に思い待ってるとすぐイガーが来た


なんか怒ってるけどまあいいや


沈むタコを指さして2人で拾いにいった



海の中でも重いって、、このタコ何人前かな、、


300人前くらいありそう



そんなバカでかいタコもイガーはヒュンっと収納してくれた


フフフ、本当に便利なスキルだね



そして更に皆んなで沖へ進むと、、、


コレは!!!!


ホタテの群生地だー


「!!!」

「!!!!!」


指で下に何かいるぞってイガーが騒いでる


フフフ、しかも地球のホタテの5倍くらいありそうな程デカイよ!!


ビッグホタテ?


名前がわからないや


とりあえずバコンって叩いて〆てから


イガーに渡す


ほかの皆んなもバコンって叩くんだけどギンとヤマトでは攻撃力が足りないのか倒せないみたい


逆に食われそうになってて焦ったけど

持ってたナイフとクナイで刺し殺してた



あー焦った!



防御力高いねこのビッグホタテ



結局4時間くらいの間にゲットしたのは

めちゃくちゃでかいタコ

ビッグホタテ

ウニいっぱい

サザエいっぱい

ロブスターいっぱい

牡蠣いっぱい

20メートル級のピンク色の鯛5匹



さあ、帰ろう!!!暗くなると陸がどっちか分からなくなる


たまに海面から陸を確認しながらみんなで帰る、、、んだけど


結局イガーが煽って競争になってた


もお危ないなーイガーは


海面に出るブー


「ビー、陸まで移動」シュンッと移動したブーであった



「ハァッ、、ハァッ、、海ん中進むのムズッ

やったー俺が1番だー!」


「フフフ、おかえりイガー」


「アアアアッ!なーんでお前が先に、、、パタッ」


「あ、倒れちゃった!フフフ」


1番負けず嫌いはブーであった!!!!



「ブモー!疲れたー」

「やはり、、我らは陸が1番であるな兄者」


「よっしゃヤマトには勝った!」

「フンッ、さっき投げたクナイを拾ってから帰ってきたんだし」


「あ!ねえねえイガー!1番大事な物忘れてるよ」


「あっ?!なんだっけ」


「海水」



えっ?液体って収納に入るんですか?


って聞こうとしたらイガーさんが手をかざすと

近場の海水が減ってった、、、


「は?」


「嘘だろ」


「おいおい、、やべーな」


「マジかよ!」


「フフフ、、流石異世界だね」


海水が無くなった所で小さい魚がピチピチ跳ねていたので


ギンとヤマトが海水のある所まで運んであげてた


「優しいな」


「いえ」



「さあ、帰るよ!手を合わせてー」


パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、ベチンッ


「いてっ」


「ビー、家まで移動」「ビー」


シュンッ



パッ!!


「オオー、、やっぱり慣れない」

「うわっ、一瞬浮く感じが、、怖いな」

「ウゥッ!」

「アッ、ヤマト目を閉じてたー」

「ブー最後強めに叩いたよな」


「えっ!何のこと?」


「とぼけんなよな!」


「フフフ」


「コラ待て!俺にも叩かせろ」


「あの2人仲良しだな」


「ああ、、兄者と俺みたいだ」


「ヤマトも俺と追いかけっこしたいか?」


「は?クナイ投げますよ?」







「さあ皆んな!今日は海の幸だよー」


網の上にはビッグホタテのバター醤油


異世界ロブスターの鬼殻焼き


サザエみたいな貝の壺焼き


お化けダコのガーリックバター


ピンク鯛のホイル焼き


焼き牡蠣


殻付きウニは生のままどうぞ



「クゥー、、美味い」「ウマイ、ウマイ、うーまーいー」「やだ!漏れそう」「全部ウメー」「アタシ海の幸大好物になったわ」「キャー!」「えーん、、ウニ盗られたー」「この貝投げたら痛そうだな」「ホイル焼きにレモン掛けたらめっちゃ美味いぜ」「おかわり」「おかわり」「死んでもいいー」「焼き牡蠣やべー」「ウニウメェ、、略してニーウーメーだな」「村長タコ噛み切れる?」「バカにするでない!飲み込むのじゃ」「村長それ詰まるよ、、」「サザエの下のぐるぐるんとこ苦くて大人の味ね」「サザエ嫌い、苦い」「パパー、ロブスター食べたあと洗って飾ってもいーい?」「おー!!ちゃんと洗わないと腐るぞ」「このホタテってのに紐を付けたら素晴らしい服が出来ると思うの」



この村ではじめてのシーフードバーベキューは

お肉以上に盛り上がりましたとさ


特に猫系の獣人のシーフードへの熱意は凄かった


ロブスターとかバキバキ噛み砕いててビックリした



「トンガ達はどれが好き?」と焼きながら話してたら


「ワシはこのロブスターですね!」と、トンガ


「えっ兄者はそっちなんだ!俺はビッグホタテってのがお肉みたいでたまりません」と、トンゴ


「僕はこの牡蠣っていうのが最高です!もはや飲み物みたいです」と、ギン


「あれ、ギンはそっちなんだ俺はこっちのウニってやつだよ!ちょっと取るのにコツがいるけど甘い」とヤマト


4人とも幸せそうに話す。


フフフ、海の幸気に入って貰えて良かった



あれ?イガーは?


「さっき木の上からウニを落としたらよ、、グチャッて潰れて食う所が無くなった


俺はウニは好きじゃねえ!」



「フフフ、、アホだねイガーは」


「なんだとこの野郎、、ハチミツの壺に海水入れとくぞ」


「ほー、、そんな事やったらエンペラーとタイマン張らせるからな」


「嘘です、すいませんでした」


「フンッ」



「あれ?ハマグリって奴が残ってるぞブー」


「ああ、それは明日の朝スープにするからいいの


美味しいんだよ!ハマグリのお吸い物」


「へー、、本当食いしん坊だな!何でも知ってる」


「フフフ、タコの残りも貯蔵室に置いといてね! 

今度たこ焼きやるから」


「?!?へーい」


「今度は鰹節が欲しいからカツオと、、昆布、、あと煮干しも欲しいかな!あー久しぶりにシーチキン食べたい」


「まだ海のもんあんのかよ!しばらくはいいよー

あっ!でもさあの白い魔石良かったな!

やっぱり俺はスゲー虎だぜ」


「ハイハイ!空色の魔石もっと大きくしてよ」


「は?!アレが今の全力なんだけど!」


「ゴールデンカウでレベル上げだな」


「ええーアイツはえーし、かてーし、、苦手」


「なんだ!自分より速いのが怖いんだ、、」


「ほー!!煽り方がうめえなこんちくしょー

よーしっやったる!あんな奴一発だぜ」


「ハイハイ、、口だけなら何とでも言えるさ」


「グギギギ」


「プッ!タコみたいに赤い」


「ハチミツ舐めてこよ」


「おい!待て!」


「イッシッシッシ!ハチミツが絡むと本気で怒る」


「はぁーまったく!子供みたい」


「何だと!毛が生えてる子供が何処にいる」


「やれやれ」






網の前で食べながら海水を煮詰めるイガーとブー


離れたり、くっ付いたり、飛び跳ねたり、叩かれたり、怒ったり、、、あの2人観てるの飽きないね!なんて村人達が話してるのに気付かない2人でした



気付いてないのかな?ずーっと2人共笑顔なんだよー




ちょっと前までつまらなそうな顔して毎日過ごしてたのに、、、




「今日も思ったが

あの2人はやっぱり強すぎるな、、我ら4人は一刻も早く追い付かねば」

「うむ」

「頑張ろう」

「おー」




結局夕食時間中ずーっと海水煮てたら

みかん箱8個分塩が出来ましたとさ



めでたし、めで「カツオ取りに行くよ」


「やなこった!へっへーん」




あーもーうるさい2人だなー




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