第9話 クッキングパーリー


ポリポリ、、ふぁー、、ん?


あっ!


昨日は途中で気を失ったんだった



でけー蜂もいたし


なんなんだよアイツ、マジで


え???オークエンペラー倒したの??


あの熊野郎??もしかしたら俺より強いかも?なんて思った事はあったけど


マジだったとは!



マジ喧嘩しなくてよかった。


下手したら殺されてたかも俺


今後は気をつけなきゃ、、、



はあー!





どうやって倒したんだろ、、


それに俺あの時でけー魔石作れたよな


他の属性でも作れるかな、、。


うううー試してえ




まだ魔力完治してないからな、、明日か明後日かやってみよ



「やあ、おはようイガー」


「は?、、いつの間に扉開けた?」


「え?何か頭抱えてるとき?」


「は?普通ドアを叩かねえ?」


「トントンってやったよ?」


「え??俺が気づかなかっただけ?」


「、、うん」


「、、、はあー」


「フフフ」


「それで?何のようだ?」


「えっ、狩りは終わったけど!まだおもてなしの準備終わってないじゃん」


「あっ!!忘れてた」


「ほらーやっぱり、、だから来たのさ」


「クソっ!なんか負けたみてえで悔しいな!

仕方ねえ、、早くやろうぜ」


「なーんで主導権握るかなー」


「うるせえ、、大体お前はあの時どうやってエンペラーを、、、やめた、、イチイチ言わなくていい!

そのうちオマエを越えてやるからな!フンッ」


「フフフ、、頑張ってね」


「チッ!調子狂うぜ」


「オークエンペラーを本番に使うとして、、

今日は色々な味付けでハイオークで試作してみない?」


「ああ、わかった」


「じゃあこの前の醤油出して?」


「は?なに?ショーユ?」


「えっ知らないで作ったの?ありえなーい」

大袈裟にほっぺに両手を添えるブー


「どんな料理だ?」


「この前の唐揚げだよ、、味付けに使ったでしょ?」


「ああ、、それはこの、、、みんなには言うなよ」



貯蔵室まで歩いて行って開けると冷気が出てきた


「やー寒いね!青い魔石置いてるんだね!感心、感心」


「そんだけかよ!黙ってて損したぜ」


「え?だってBランク位から出るじゃん魔石」


「えっ?」


「え?」


「、、!」


「ほらっ!昨日のオークジェネラルからもこの卵サイズの青い魔石出たよ!

多分氷のスキル持ってたんじゃない?」


「え!知らなかった」


「ちなみにオークキングからはこの拳サイズの赤い魔石とー、、オークエンペラーからは真っ白な拳サイズの魔石ね」


ゴロン、、ゴロンと3つの魔石を出すブー




「おー!マジか!すげー、、拳サイズの魔石かっけー」



自分の父親がこの拳サイズの魔石を作れてたので

憧れだった


とうとう自分でも、、作った訳ではないが

手元にある、、そう思っただけで今まで頑張ってきた甲斐があったと実感する


眼をキラキラさせて魔石を観るイガーを微笑ましく眺める熊獣人



「さあ、コレは君の物だよ」


「は?俺はジェネラルと、、キングまでだ」


「別にいいよ!エンペラーのもあげるよ」


「いーや!それはダメだ!俺は施しは受けねえ」


「そんなんじゃないし、村長に話したらイガーに渡していいって」


「、、、マジか?」


「うん」


「後で返せッて言わない?」


「言わない」


「ヤッホー、、、なあなあこの白いのってどんな効果があんだよ知らねえか?」


「えーっと確か白は結界かな、、小さいのは野営する時重宝するし、、中位ならこの村くらいは包める、、、もっと大きなのになると王都位包めるのもあるよ!!まあそんな大きなのはドラゴンとかSSランク倒さないと出ないけどね」



「へー、やっぱり物知りだな!エンペラー倒すだけあるぜ」


「ハハ、、まあ割と歳いってるからね」


「へ?幾つだっけ?」


「28だよ、言わなかったっけ?」前の前世いれたら60オーバーだよ、、


もはやイガーは孫レベルだね、、ハハ



「ぶっ!なんだよ、、オッさんかよ」


「、、今何て言った?キラービー呼ぶよ?」


「嘘、、嘘です、、パイセン、、さーせん」


「全く、、ほら!醤油どこ?」


「ショーユったって、、この豆だろ?」


「あ、、、まだ未発酵だね、、それにもっと潰さないと」


「へー、、未発酵?」


「発酵はもっと時間を進ませるのさ、、1年とか、、潰してからね」


「へー」


とりあえず潰すのはすぐ出来る!

問題は時間か、、、


「もし黒の魔石があればすぐなんだけどね

アレは重力とか、時間の流れに関係してるから」


「黒の魔石?、、黒の魔石は見た事ないな」


「そう、、結構レアだよ」


「ふーん」


無いものは仕方ないとして

とりあえず豆を潰して、ソレにオーク肉を漬け込む事に決めた



「あとはトンカツかな!やっぱり」


「とんかつ?」


「そう、、小麦粉、卵、パン粉に漬けてから揚げる料理」


「へー、、詳しい、、というかやっぱり料理すげー知ってるよな」


「、、まあね!」


「んで、そのパン粉ってなんだ?」


「ああ、、パンもないもんね!じゃあ今日はパンを作ろうか?」


「ああ、、教えてくれ」




まだ観ぬ初めての料理


イガーはワクワクが止まらなかった。



釜が無いとできないと言うのでイキナリブーは出て行った


何でもノム爺に頼むらしい


俺はその間に小麦を臼で引いた物を用意する係だ






「フンフーン♪♪♪」


ゴリゴリッ、、ゴリゴリッ、、ゴリゴリッ


ゴリゴリッ、、ゴリゴリッ、、ゴリゴリッと 



よし!こんなもんか


小麦を貯蔵してるとこにいつの間にこんなもんがあったんだ?


こんなもん作るのはノム爺だろ?


それと、、ブーか!


本当にアイツは何者なんだ?


やべーだろ、、、



魔石をゲットしてご機嫌なイガーだが

冷静になって考えるとやはりおかしい


あまりにも熊獣人のブーは常軌を逸している、、、




まさか、、、伝説の料理人???




いや、あんなクソマジーハチミツって奴を飲む奴だ。

やっぱり変な奴だな、、、うん




麻袋1つ分もやりゃ流石に足りるだろ

そろそろ戻るか、、、



小麦粉を用意したイガーは家に戻る途中

ノム爺とブーを見かけた



何でもこの広場に石窯なる釜焼きってオーブンを作るらしい


何でもコレは火を焚いて

温めるのだが

その温度が半端じゃ無いらしい



200℃って言われてもイマイチピンッとこないが


ブーに「イガーの灼熱のスキルみたいなもんだよ」と言われ


それは流石にやべーだろ、、と思った



肉焦げるんじゃね???



よく分からんな!


わからない事は深く考えない!


ソレがイガーの良いところである




「仕上げはノム爺に任せて、早速パンを作りに行こうよ」


「ああ、、頼む」




ベースは出来てるが


周りのデザインが気に入らないとか、何とか言って

まだ拘りたいノム爺


フフフ、、根っからの職人気質だね!ドワーフ種族はやっぱり凄いや!






「さて、ではこれより、、パン教室を始めま〜す」


「「「わー、ブーさんよろしくお願いします」」」




何でこんなことになった???と、ゴチるイガー


周りには村中の女性陣が集結している


「私ブーさんの声初めて聞いたわ」


「私も」


「意外と話し方が紳士ね」


「うちの娘とどうかしら、、」





「、、、」


賑やかだ!


みんな観ながらあーでもない、こうでもない、、と喋りまくってる


そのせいでアイツの声がほとんど聞こえない


聞こえたのは最初の挨拶くらいだ


「やっぱりブーさんは無口ね、、説明がもう少し欲しいわ」

「本当ね」


とか言いたい放題言ってるけど!


さっきからアイツ喋ってるぞ!!!




観るにみかねたイガーがブーの横に歩いていく


「あれ?どうしたの?」


「この生地って奴を捏ねるんだろ?俺がやるよ」


「、、、ありがとう、、」




「「「あら、イガー君に代わったわよ」」」


「「「イガー君、、説明お願いねー」」」



「へーい」




「そして充分捏ねたら布をかけて少し待ちます

この時、暖かいといいので小さい赤い魔石を側に置きます

これからこのパンを村のみんなに作って頂くと思うので魔石は村長か僕に言ってくれれば配ります」



「えっと、、捏ねたら生地ってのを休ませるそうです


んで、、この赤い魔石を近くに置いとくと生地が膨らむそうです


この魔石は今後村長かこの熊獣人のブーに言ってください」



「あれ?何で同じ事言ってるの?」


「気にするな」



自覚ねえのかよ!吹いたわ





待ち時間はブーが紅茶を用意した!


せっかくなので牛獣人のトムさんの奥さんにミルクを持ってきてもらい

ミルクティーも楽しんだ!


「「「やだ、なにこの飲み物!美味しーい」」」


「「「ねっ!私はミルクティー派かな」」」


「「「私はこっちのレモンティーって方かな」」」


「こんなの知ってるなんて、やっぱりうちの娘にどうかしら」




さっきから1人だけ娘推しつえーのがいるな!全くもってけしからん


何故かイガーが独りぷんぷんしている




「では、生地が膨らんできたのでそろそろ分割します」


「えー、生地を食べたいサイズに分けるそうです」



ここではブーとイガーが一緒に成形する


先にブーがやって、説明してから


同じようにイガーがやって、説明する



今日焼くのは基本のロールパン

膨らませた生地を丸くやって焼くだけ

割と簡単なパン


だけど奥が深い

酵母の味と小麦粉の味がストレートにくる

美味しいパン屋はロールパンで選べ

って誰かが言ってたような?



今回用意した酵母は熊獣人のブーが前から用意してた

乾燥フルーツを水に漬けておいた酵母水


とりあえず村でも栽培してるレーズンに似たフルーツから作ってみた。


まあ、酵母が無くてもとりあえずはパンになるので

気持ち膨らんでくれればいいかなー位だ




あとは生地を掌サイズに丸めて鉄板に乗せて

仕上げにバターを塗る



トムさんの奥さんに「もっと持ってくる?」と聞かれたが

イガーがまだこの前のを持ってたので足りた




そしてもう一度だけ火の魔石で少し膨らませてから


焼成に入る



「オーブンの温度は180度で15分


あとは焼き色で調節して下さい」



「釜の横に温度計なる物をノム爺が用意してくれました

この温度計って奴で180くらいにしてから、パンを入れて15分くらいだそうです」



「「「はーい」」」


「では、次はコーヒーをどうぞ」


「今度はコーヒーって飲み物だそうです」




焼き時間が少しあるので、今度はコーヒーを用意した熊獣人のブー


みんなに行き渡り飲む



「「「えっ!にがっ」」」


「、、コレは、、にげーな」


「そう??僕は大丈夫だよ、、、あ、苦い方はミルクを入れてください」



「みなさん、苦かったらミルクを入れれば良いそうです」




ソレを聞いた女性陣はコップヒタヒタになるまでミルクを足してから飲んでいた



「「「あらやだ!さっきまであんなに苦かったのに、、、


コレ美味しいわね!癖になりそうだわ」」」



ミルクを入れた事でコーヒー牛乳、、もとい、カフェオレになったから飲みやすくなって喜んでいた



あと、、こんなに真っ黒な飲み物を飲ませて平気なのか不安だったので

村のみんなのリアクションをみたら

何とか大丈夫そうかなーと、、


やはり最初はカフェオレかなー




「最後に紙に書いたレシピを配ります。

時間があるとき、釜が危ないのを充分考慮して

みなさんで色々試して下さい


この基本の生地に乾燥させたフルーツや木の実

薄く切った干し肉


さらには焼けたパンを切って

色々挟んで食べても美味しいです


今日は忙しい中ありがとうございました。


また時間がある時にお料理教室をやりたいと思います


今新たにお砂糖という甘い物を作ってます


それが完成すればお菓子も作れるようになります


、、、ハチミツは絶対あげません!誰にも、絶対、、、




みんなでケモフィーに新しい風を巻き起こしましょう


これにて第一回ケモフィーレッツクッキングパーリーを終わりにします」





「えーと、、各々配った紙の通りパンを作りまくって下さい

だそうです


子供が来たら危ないのでこの釜焼き場は子供禁止でお願いします


またやる時はみなさん出来るだけ参加してください、、今後も新しい食べ物をここで披露して、みんなと楽しく、美味しい食を共有していきたいです


では各自焼けたパンを持ち帰って夜ご飯と一緒に食べてください」






「「「ありがとうございました」」」




挨拶のあとはみんなで片付けをして


夜ご飯の準備、、、と思ったら


配ったパンを早速みんな食べてた


「「「ッッッっっヤダー!!!このパンって凄い美味しいーーー」」」


「「「キャーーーふわふわーーー」」」



「娘をもらってー」



やっぱり1人だけ変なのいるよな!



「「「先生っ!これからもよろしくお願いします」」」



みんな予想以上にパンが美味しかったみたいで

気合がめっちゃ入ってしまった


やはりこの世界でパンはまだ早かったのか、、


独りゴチるブーであった







「あ、、そーいえばパン粉用のパンはある!?」


「えっ?!、、、、」



作ったパンがいつの間にか無くなってたので

次の日もう一度みんなでパンをたくさん作ったとさ



因みに通り過ぎた男衆に「パンはどうでした?」と聞いたら「なにそれ?」って顔されたからイガーとブーは2人で笑った


奥さん達は旦那にあげてないらしい





美味しい物は誰だってたくさん食べたいよね


旦那に隠すのはどうかと思うけど、、


また作ってみんなに配ろう


みんなで楽しく美味しく食べれるなんて幸せだよ




この村に来てよかった。







パン作りを終えた後

独り自分の部屋で魔石作りに没頭するイガー



「時間経過、、、時間経過、、、太陽が登って、月が出る


明日、明後日、明明後日


朝、昼、パン、、、パンじゃない、、晩



塩漬け大豆に時間経過を、、、


春、、夏、、秋、冬、、、1年、2年、3年



ムムムムムム、、、ーーーー


うりゃーーー」


 

ピカーっと掌の中で光る!!!


恐る恐る中を観るイガー



「コレは、、、」






ちゃんと出来たのか分からなかったので

とりあえず塩漬け大豆の壺の近くに置いといたイガー




その後今日ゲットした大きな魔石を眺めながら眠りにつきましたとさ




「コレ以上でかいのがあるのか、、、


俺は世界一の魔石を作ってやる」



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