第3話 唐揚げ
村が発展途中なので基本的に休みなどない
だがしかし
朝早く起きて養殖場へ様子を見に行ったあとは
割と自由なのだ
何故ならめちゃくちゃでかいこの魚達は
夜寝てるから!!!!
朝と夕方頃に餌をあげて、後は適当に掃除とかやれば終わってしまうのである
忙しいのは人間達が魚を買いに来た時や魔族が買いに来た時
あとは魚のサイズによって湖を変えてるので
その引越しなどなど
基本的にはちょろっと働いたら終わりである
今朝も餌やりを終えたイガーは
「じゃあお先にっ」
と言いながらぴょんぴょんと飛び跳ねて行ってしまった
「まあ、本人は仕事上がったつもりだけどよ
皆んなの為に狩りに行ってるからな、、
ありゃあ休み無いのと一緒じゃろ」
狼獣人のおじいちゃん「アルフ」は仲間とゴチる
「まっそのおかげで美味い飯が食えてるんだ
助かってるじゃねえかじっちゃん」
「そうじゃな、、あんなに小さくて頼りなかったのにな、、月日が経つのは早いな」
「やったぜ!今日はこの前のピリッとする実を収穫したかったんだよな
ヨシっ!胡椒は根っこ毎麻袋に入れて
2本もあればいいかな
近所のおばちゃんに投げっぱなしにしよう
イッシッシッシ!
あとは、、何か獲物は、、」
ぴょんっと木の上に登ってから辺り一面を見下ろすイガー
「お!みっけ」
少し先に10羽ほどの火鶏の群れを見つけた
トサカと羽が真っ赤だから火鶏
目が合うと喧嘩キックをかましてくる
ちょっと面倒臭い鶏
まあでも、、結構雑魚だけどな。俺にかかれば
何でも熊が言うにはダチョウってのに似てるらしい
アレは油で揚げるとめっちゃ美味いんだよな
しかも今試作中のあのタレに漬けたら、、もっと美味いだろな
よっと
ぴょんぴょん飛び跳ねて火鶏の近くに行くイガー
周りの景色に同化させて見つからないように気配を消す
スキル!「「気配遮断と隠蔽」
その状態でそろり、そろりと目的地へ
この辺りかな!
狙いを決めてジーーっと待つ
ウシシシ、、気付いてない。
地面の虫を食べてやがる!!
今だ!!!!!
ジャキンッと伸ばした爪の間で首の細い所を
ガシッと捕まえる
後ろの方だった2匹は走って逃げてしまったが
残りの8匹は捕まえた
仕留めてはないので今もバタバタ暴れている
「!いい加減大人しくしろいっ」
ビシィッ!
でかい声で威嚇をすると観念したのか火鶏達は暴れなくなった
持ってきた縄で首に巻き
8匹を繋げて引っ張っていく
殺してから背負うと重いからな
歩かせた方がよっぽど楽だと独りで頷く
「やっぱり俺は世界一の虎だぜい」
帰ったら血抜きをして早速漬け込むか、、
今日もご馳走だな
最近ご馳走続きでちょっと怖いな
まあいいか
門番のロバ獣人のロームにただいまと伝えて村に入る
「イガー、今日もご馳走だな」
そう言いながら喉が鳴っている
「そうだろう、、俺は凄いんだ」
「ああ、、オマエは世界一の虎だな」
「へっよせやい、いやー照れちまうぜ」
人差し指を鼻下に擦る
乗せやすい奴だな、とロームはゴチた
冒険者を長くやってきたがこんなに調子にのる獣人も珍しい
まあ、たしかにご馳走だけどな
王都ライザーでは火鶏を飯屋で頼むと銀貨2.3枚はいく
それにエールも頼めば豪華なディナーだ
討伐成功した時なんかは仲間とよく火鶏を頼んだな、、
久しぶりに火鶏を観たから昔を思い出したローム
「アイツら元気かな、、、」
今は身体の怪我の為引退した「雷の槍」のリーダーの獅子王ザルムンド
久しぶりに顔見てえな、、、
「あっイガーのおっちゃん」
「わー火鶏だー」
「すごーい」
村に入るなり火鶏を見つけた子供達が近寄ってきた
「あーこらこら、蹴られたらやべーから離れとけよ」
「、、、はーい」
ルンルン気分で家に帰ってきたイガー
「さて、、どうするか、、8匹は多いな!」
飯にするなら4匹もあれば足りるか
残り4匹はどうしよう
「おー、イガーまた大量だな」
丁度良いところに加工屋のドワーフのノム爺がやってきた
「ああ、今夜もご馳走だぞノム爺」
「またエールが進みそうじゃのう」
フォッフォッフォッと顎髭を触りながら嬉しそうなノム爺
「そうだ、なあ、コイツらを育てるってのはどうだ?
番で残せば子供産まねえかな
卵も食いてえし」
「そうさのう、、たしかー火鶏は毎日無精卵を産んで
一年に一回有精卵で10匹くらい一気に産んだはずじゃから
その有精卵の時に食わなきゃ増えてくな」
「やったぜ♪んじゃ頼むよノム爺」
「はぁーまったく、年寄りの扱いが荒いのー、、オマエも手伝えよ」
「あいよっ」
ノム爺の店に行って柵に使う板を運ぶ
ついでにその辺にいた子供達も巻き込む
「オマエら、手伝わなかったら晩飯抜きだぞ」
と脅したら
「なんだとー、俺が1番役に立ってやる」
「一番手伝った子にいっぱい頂戴ねー」
とやる気充分。
さてはコイツら、、暇だったな!
イッシッシッシ
板を一緒に運んでからは早かった!
何が早いってノム爺仕事早すぎ!!!
まずは先が鉛筆みたいに尖った丸太を等間隔で突き刺して
横板をトンテンカントン、、竹を尖らせた釘みたいな物をハンマーで打ちつける
たまに竹がパキッと割れるのもあるけど
そん時はそん時だ
2つ3つ余計に打ちこみゃ終わるのよと言わんばかりにトンテンカントン、トンテンカントン
最後に出入り口の開く扉を作って打ち付ければおしまい
「ノム爺!!めっちゃはえーな」
「あたぼうよ!俺こそが世界一の大工でい」
「いや、加工屋だろ、、しかも世界一って俺のセリフパクるなよな」
「ガハハ、、男が細けえ事言うな」
肩をバシバシ叩かれた。
痛ーし、、ドワーフ力つえーよマジ。
「んじゃまた後でな。晩飯楽しみにしてるぞ」
「へーい」
さて、火鶏を番で2セット放りこんで
残りの首をはねて
逆さまにして血抜き、、
その間に水と乾燥した餌「小麦、とうもろこし、古米、クズ野菜」を用意して
ホラっ早く卵産んでくれよ!っと
水とご飯を用意して部屋に戻る
そろそろ血抜きはいいかな、、ヨシっ!
そしたら羽を全部ムシって
あっ!この羽何かに使えるかな、、
「おーい、子供達ー」
「はーい、、なにー?」
「コレノム爺んとこ」
「はーい、、、何で僕たちが居るのわかったの?」
「、、、勘だな」イッシッシッシ
「、、、」
骨はスープに使うとして
あとはこの前、、夏に枝豆が美味過ぎて塩振ってほっといた奴がどっかの壺に、、、
あった!
「腐ってねえよな?」内心ちょっと心配だ
みんなに何かあったらこの村にいれなくなるからな
一応、、青い魔石で貯蔵室を冷やしてあるから大丈夫だとは思うが、、
鑑定スキル発動!
「大豆の塩漬け」「2ヶ月発酵中」「美味しい」
あ!良かった。美味しいって出てきた
一応皆んなには内緒にしてる、この鑑定スキル
親父が亡くなる前に「誰にも言うな」って言ってたしなー
鑑定スキルで美味しいって出てきたから安心して使える
一口大に切った火鶏に発酵した大豆を混ぜる
後は揚げる前に大豆を取ってから揚げれば完璧だ
イッシッシッシ「皆んなまたイガーうめーよ」って絶賛の嵐だな
いやーつくづく自分の才能が怖い
王都に行って料理人になるか?俺
それも楽しそうだな。
でもなー、、、、
この先を色々と考えながら
昨日捕まえた野ウサギ達も塩に浸けて壺に入れて貯蔵室に置く
「ふう、結構いっぱいになってきたな、、虎って収集癖でもあんのかな、、親父もいっぱい備蓄してたし」
他人には見せられないのであっちこっちの壺に
漬けてある物の名前だけ書いた紙で蓋をしてるだけ
増え過ぎて覚えきれなくなってきた。
まあ、深く考えても仕方ない
困ったらまた鑑定スキルを使えばいいや、めんどいし
本来のめんどくさがり屋な性格も鑑定スキルのおかげで何とか食中毒に成らずに済んでるし
たまたまほっといたのが「美味しい」と鑑定されるので
奇跡の料理が出来ていた虎獣人のイガーであった!
めんどくさがり屋と収集癖と鑑定スキル
ハイコレもうベストマッチです!
、、、料理に関してだけね
「さて、うさぎの処理が終わって、、あ、骨、、もうめんどいな」
結局鳥の骨は鍋に水入れてから一度沸かして火を止めたまま放置した
独りでスープとメインなんて無理だし
やめやめ!
揚げ物って意外と集中力いるんだもん
俺アッチもコッチも出来ないから
ちゃんと大豆を取って、、、それっ
熱した油に鶏肉投入!!
ジュワーーーー
「んー旨そう!」
最後に竹箸で揚げた鶏肉を刺して
器に持ってと、、
ヨシっ
昨夜の兎の串焼きに続いて新商品!
「「火鶏の串揚げ」」だな
なんかこう串焼きってそそるよな
我ながら美しいぜ!
「おーい!子供達ー!一緒に運ぼうぜー」
「アレ?いなかった」
まあいいや、本当は収納も出来るけど
コレも親父に他人に見せるなって怒られたからな
えーっとでかい木の板に、、葉っぱを敷いて
そこに唐揚げを「うりゃー」
横にレモンを添えて、、、完成
1メートル四方の板5個も出来ちゃったぜ
我ながらスゲーな
イッシッシッシ
みんな喜ぶぞー
「ソレッ」ぴょんぴょんぴょんぴょん
「おーい、村長ーー!みんな呼んで晩飯にしよーぜー」
「むっ!もうそんな時間か。あいわかった」
リンゴーン、、リンゴーン、、リンゴーン、、リンゴーン、、
「わあい、イガー今日はご飯なにー?」
「コラッ!蒸した芋を持ってって言ったでしょー」
「やーい、怒られてやんの」
「コラッ、オマエも葉っぱを持っていけと言っただろ」
「ウフフ」
「チェッ」
村中に鳴り響く鐘を鳴らせば
ワラワラと家から畑から、みんな集まってくる
急いで準備をする中
1人居ない事に気付くイガー
「あれ?アイツどこだ?」
「ん?イガー兄ちゃんなにー?」
「ん?いや、ぶーの野郎がいねえなーと、、」
「本当だ、じゃあ呼んでくるね」
「、、ああ」
全くけしからん!俺が一生懸命唐揚げってやつを作ったのに
どんどん冷めてくじゃねえか。
イガーは独りゴチた。
「ごめーん、、お待たせー!」
さっき呼びに行った子供と一緒に歩いてくる熊のぶー
「ブーのおっちゃんスープ作ってたから遅くなったんだって」
「えっ!ああ、、そうか」
ほー、熊公にしちゃあ気がきくな
熊のブーが両手で持つくらい大きな鍋
ドスンッと置いて皆んなに配る
白いスープに緑や赤色の野菜が入っていて美味しそうだ
それに湯気がモウモウと上がって暖かそうでいい
少しずつ寒くなってきたから
準備が出来たのでみんな座って村長を観ると膝を着き
両手を合わせ大きな声で話す
「創造神様、森の神様、獣王神様、今夜も恵みの糧を我らに与えて下さりありがとうございます
それではみんな、頂きます」
「「「いただきます」」」
1人、1人の前に葉っぱの器に唐揚げと蒸した芋、それに木の実、フルーツコップにはエール
子供には水、あともう一つのコップにはブーの作った白いスープ
「「「うめぇ」」」
「「美味しい」」
「「スープもうまっ!アツッ」
「「ちょっと、大丈夫?フフッ」
「「「イガー、ブー、今日も美味いぞ」」」
「本当!蒸した芋も甘いし、木の実も香ばしい、それに小さいけど赤いこの実も酸味があっていいわ」
1人やけに食レポうまい女子がいるな
イガーはこの瞬間が嬉しい
みんなが自分の作った料理を美味しいと言ってくれる
「ああ、うめえ」
しみじみとこの雰囲気と料理を味わっていると
横から茶々が入る
「白いスープに何が入ってるか?虎にわかる?」
小さい声だ。
気にしてなければ聞こえなかったかもしれない
だがしかし!この声に妙にイラつく自分がいる
「ああっ?なんだと?スープだと?」
話しかけてきたのは間違いなく熊だ
イチイチ顔を見なくてもわかる
何なら気配でも分かる
スープに何が入ってるかだと?
どれ、、ズズズッ
これは、、鶏の骨の出汁?、野菜と、、牛のミルクか?
あとは、、ゴリッ、、ピリッ
ん?!?!
「、、、何でだ?俺は胡椒の場所を教えてねえぞ」
「、、フフッ」
「おい熊野郎、、まさか俺を付けてきたのか?」
「、、まさか、、めんどくさい」
???解せん!!
ジィーッと睨むも笑顔で食べてる熊のブー
ちっともわからん!
ええい、やめだやめだ
わからん事は深く考えない、
とりあえずうめぇからいいや
「フンッ、俺の唐揚げってやつもウメーだろ」
「、、、!!」
熊のブーは考える、、
そういえば、、一体いつ「唐揚げ」をこの虎獣人は知ったのか
しかもほのかに懐かしい香りがある
いや、昔食べたのはもっと醤油の味と香りだったが、、
コレには少し醤油が使われてる???
なんで?、?
大豆はたしかにあるけど、、発酵させる知識がこの世界の人には無いはず、、
おかしい、、
「んんーんー」
イッシッシッシ
美味すぎて唸ってやがる
今夜は俺の勝ちだな。
結局お互いにやられたんだが
お互いに美味かったから満足した夜でした
しかし謎が深まる熊のブーと虎のイガーの出生
スキルも色々持ってるし、強いし!
こんな森の奥になんで???
その答えはもう少し先の話
村長「さあ、みんな!そろそろお開きにして
また明日も頑張ろう!じきに赤ちゃんも3人産まれるでな、今年中に小屋をあと3つばかり増やそうと思う
ノム爺、ブー、イガー頼んだぞ、あと子供達にも出来る範囲で協力頼むからな
とにかく冬までにもう少し食料の備蓄をよろしく
狩りも無理のない程度にな
では、解散!
ごちそうさまでした」
「「「ごちそうさまでした」」」
「あー美味しかった、、あっ食後のデザートに
冷たいハチミツでも舐めようかなー」
結局ブーはブーだった
朝から晩までハチミツかい!
誰かが突っ込んでいた
虎獣人イガーー
レベル28
体力1500
力3800
魔力900
防御1200
素早さ9800
スキル「○○の威圧」←未覚醒
「気配遮断」
「景色同化」
「弱点見極め」
「暗殺」←複合スキル↑上記3つをまとめて暗殺
虎獣人の固有スキル
「魔石生成」星5⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
「収納」星5⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
「「鑑定」」星7⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
加護「○○の加護大」本人はまだ知らない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます