第2話 ぶっ壊れスキル


獣人村ケモフィーの朝は早い


日の出前には起き

皆やるべき事をやっている


川へ行きその日使う水を家まで運ぶ子供達


朝食前に畑へ行き野菜を収穫する母親


養殖場へ行く前に薪割りをする父親など


皆思い思いの朝を過ごしていた





そんな中熊獣人のブーは、、、


「はぁ〜、、、、、、ぅ、、、


よく寝た、、、」




体にはワンピース のような白い寝巻きと

頭に白い帽子?

誕生日に被るような先っちょに丸い綿毛が付いてる帽子だ


何故かソレを被らないと眠れないらしい



まだ眠いのか半目でウトウトしながら洗面所に向かい

顔を洗い、歯を磨く


「ゴシゴシゴシ、、ガラガラペッ」


その後は日課の朝食はちみつタイム


貯蔵室に行きはちみつが入ってる壺を探す


「え〜っと、、コレは、、ない


コレも〜、、ない


あれー、、、ないぞー」




3分後


「パニック!、、、どうしよう、、朝ごはんがない」



朝ごはんない朝なんて考えられません


急いで支度をするブー


背中に壺を三つ背負っていざ出発



目指すは蜜蜂小屋


開拓で来たその日から


蜜蜂小屋を作ってたので


準備万端



家を出る頃には目も覚めたので

急いではちみつ採取に出かけました



村の門番、ロバ獣人のロームに挨拶をして村を出る


「おはようローム」


「おはようブー、、昨夜のワニうまかったよ」


「うん」


「どこまで?」


「ちょっとそこまで散歩」


「はいよ!気をつけてな」


基本的に村はもうずーっと誰も襲ってこないので


どちらかと言うと村から子供達が出ない為の門番ともいえる


まあ、たまに魔物が来たこともあるが


せいぜいCランクの魔物まで


♂ロバ獣人のロームは獣王都ライザーでBランクグループ「雷の槍」に所属してたので安心して門番を任せられる強者だ。


門番はもう1人

同じく雷の槍に所属してた兎獣人のジャイアントラビットの♂ヤミー


この2人が交代で門番をしてくれるから助かってる


ロバ獣人のロームは索敵能力スキルを持ってるので

魔物が近寄ってきたら村に警報を出せるし


兎獣人のヤミーは耳が良いので門番にぴったり!


2人とも村を開拓する丁度その時


冒険者を辞めようと思ってたので村長が誘ったら来てくれた


なので開拓時代からの仲間だ







えっほ、、えっほ




30分かけて着いたはちみつ牧場


広さ東京ドーム位の敷地に養蜂箱がびっしり


その数なんと1080個


いくら何でも多過ぎたかな


と我ながら思うブーであったが

それは仕方ない



何故ならブーの持つ固有スキル


「「「無限♾はちみつ」」」のおかげ


このスキルがあれば


ミツバチの女王を生成、飼育、はちみつ採取まで


必要な養殖箱、スペースの確保、女王ハチ自体を魔力で作り、さらにはその女王蜂が実際にハチを産むという


とんでもスキル!!!



「「極レア⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎星6個」」



なんとブーはユニークスキル持ちのレア個体熊獣人だった


しかも前世で日本知識持ち




変な話ブーさえいれば


花さえある場所ならはちみつに困る事はない


なのでブーは常日頃から花があるか気にしながら生きている


見た事ない花を見るとすぐこのスキルではちみつを獲って味見する食いしん坊熊、、もとい残念熊である





しかしこのハチミツには秘密がある





「やあ、こんにちはビー」


ブーが挨拶をすると主であるクイーンキラービーが近寄ってきて顔を擦り付けて来る


熊獣人のブーも立つと3メートルくらいあるデカさだが

クイーンキラービーも触覚を含めるとそれに近い


だから猛ダッシュで甘えてくるとビックリする




「フフフ、くすぐったいよ、、、ごめんねしばらく来なくて

またはちみつを持っていってもいいかい?」


「フルフル」


自分の産みの親、創造主たる熊がはちみつを持って行っていいか聞いてくるのが


そんなのは当たり前だと言わんばかりに首を振る



そしてまた抱きつく


「フフフ、、いつも可愛いーねービーは」


頭を撫でるとより一層喜ぶビー



久しぶりに会えて喜びを抑えきれないビーはここぞとばかりにうんと甘えようと思ったが


主人がお腹を空かせてたら大変だと

自分の気持ちを抑え付けて

仲間を呼ぶ


「ビービー、、ビー」


命令したらすぐハチミツを持ってくる蜜蜂達


クイーンキラービーはSランクの魔物


そのクイーンキラービーが産む蜜蜂達はランク外


最下位のFランクより下


何故ならミツバチは他の生物を襲う事がない

超安心、安全の昆虫だから


どちらかと言うと捕食される側の激弱昆虫だ



ただし、、クイーンキラービーの命令で超蜂球「チョウホウキュウ」だけはとっても危険!!!


クイーンキラービーの命令で敵に突撃し

自分の体温を80℃にまで上げて

相手を熱で殺す技



クイーンキラービーが命令しない限りこの技を使えない為


危険度はクイーンキラービーだけに付けられてる




これだけ聞くと数も凄いけど

Sランクになるほど???と疑問に思うだろう



それもそのはず

戦闘力でランクを付ければせいぜいAか、、巣に早めに気付けばせいぜいBランクだろう




問題なのはこの「はちみつ」


実はこのハチミツ、、ポーションである!


獣人にはほぼ聖女やヒーラーが居ないので

自己治癒力や、ポーション頼りになるのだが


このハチミツがポーションなので


冒険者の間でクイーンキラービーを討伐したら

ハチミツを全て貰えるのだ



それならブーのように飼えばいいのでは?

と思うかもしれないが

ハチミツスキルを持ってないと

そもそも生息地を見つけられない



スキルレベルが低いと見つけても飼育出来ない


ハチミツ盗むのが見つかったら戦闘開始


人の言う事を聞かないので勝てないと分かると全魔力を一気に爆発させて自爆



上記の理由でこのポーションの価値が高いのがお分かり頂けるかと。


人間界には薬草と浄化させた水でポーション生成スキルもあるみたいだが


獣人には縁のないはなしである



獣人は弱肉強食で生きる為の戦闘スキルがほとんど




なのでポーションはとても大切


クイーンキラービーの巣を見つけて冒険者を引退した者もたくさんいる


一生分のお金が稼げるからだ





切り傷、擦り傷、身体の痛みはポーション


指の切断や刺し傷にはハイポーション


片腕の損傷や出血多量など命の危機にはフルポーション


即死を瞬時に免れるエクストラポーション



その場所、その場所でハチミツポーションのレベルが変わるので

あとはゲットしてからの運だ




1番最高級のエクストラポーションだと1瓶金貨1000枚以上


日本円で約1000万円


それでも大切な人の命を守る為なら安いと、世界中で品薄状態だ!!!





因みにこの場所で採れるハチミツは上から2番目のフルポーション





、、、



ブーは毎日舐めまくってるけどね!!



そりゃあもう、、浴びるほど、、、




ミツバチ達がみんなでツボに入れてくれたので壺はすく満杯になった


用意してくれたハチミツの壺を端っこに置いて


広場の真ん中にクイーンキラービーと一緒に歩いて行く熊のブー




ポケットから民族模様のバンダナを出し額に結び

村長から頂いたフクロウの羽を両手に持ち踊り始める熊獣人のブー



それと一緒に踊るクイーンキラービーとミツバチ達



「アーアーアーアー、、アーアーアーアー、、アー」


「アーアーアーアー、、アーアーアーアー、、アーー」


ミツバチ達がシャンシャン鳴る楽器を持ち


クイーンキラービーが風魔法で辺り一面の花々を風に乗せる


歌と踊りと森の大合唱



「アーアーアーアー、、アーアーアーアー、、アー」


「アーアーアーアー、、アーアーアーアー、、アー」




、、、





時間にして僅か五分ほど


軽いステップで踊る熊獣人のブーとクイーンキラービー、さらに数千匹のミツバチ達


音と風魔法による花びらで


とても幻想的な踊りであった!



踊り終わるとまたクイーンキラービーの頭を撫でてあげる



ハチミツを貰う時は必ず一緒に森への感謝を忘れない



生きとし生ける者


皆必ず大地の恩恵を受けて生かせてもらってるから


熊獣人のブーはそれを決して忘れない


幼い頃に目に焼きつけた父親のように自分も成りたい







「、、しかし増えたね、、、」


1080箱1つ1つに手のひらサイズのミツバチが100匹×1080箱だと、、、


とんでもない量のミツバチだと来るたびに思うブーさんであった



来た時に凄い数だなと思ったが

踊ってる時ははらに凄い数だった



どうしよう、、また増えてるよね、、あー大変だ!


笑いながらクイーンキラービーを撫でるが

この数に一気に襲われたらブーですら危ないかもしれない


と少しだけ焦った。




「フフフ、、いつもありがとう、、また来るね


あ、ビー、、そろそろミツバチ増やさないでね


これ以上増えたら大問題になっちゃうから」




ハチミツがいっーぱい入った壺を何とか持ち運びながら

ビーにお願いをする



自分から頼んでおいて勝手だが

余りにも増え過ぎたのでここらで止めとこう



右手を頭にビシッとやりながら

「わかりました」と主に伝えるクイーンキラービー



「あ、忘れてた!ハイコレ」


クイーンキラービーに昨夜のワニのぶつ切りを渡す



ミツバチ達は食べないけどクイーンキラービーは肉食だからね


ミツバチも死んだ昆虫とかお母さんの為に運んでるし




クイーンキラービーは自分と同じサイズでもガンガン捕食する獰猛さもあるから

ブーは会いに来る時なるべく多めに食料を持ってくる事にしてる



身体は大きいけど

胃が小さいのかそんなに食べないしね




「フフフ、じゃあまたね!誰かに見つからないでね」


振り返ると蜂達がみんなで見送ってくれてる


いつも思うけどこのスキルがあって本当によかった




熊獣人ブー


レベル52


体力5800


力8000


防御力4300


素早さ6200


魔力6000


スキル「無限♾はちみつ」星6個

「森之王」星5個

「食いしん坊」星5個


加護「アイヌ神アンヌムツベの加護大」





ハチミツを零さないように


途中で少しずつ舐めたのは内緒



「あー美味しい!やっぱり朝はハチミツだね」



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