#04 反撃
朝、教室に入ると、タカコが俺の方見てニヤニヤしていた。
なんだ?アイツ。 ニヤニヤして気持ちわりーな
そう思って席に座ると、少し遅れてサヤちゃんもやって来た。
「おはよう」
「うん、おはようアツシくん♪」
「ふふ」
土曜のいちゃいちゃを思い出すと、自然と笑みが零れるのが自分でも分かる。
ほんの少しだけの甘酸っぱい二人の空気に幸せを感じていると、タカコがやってきて、この空気をぶち壊した。
「おやおやおや? 二人はやっぱり付き合ってたんですねぇ? 土曜日みたいにいちゃいちゃしないんですかぁ?」
こいつ、何か知ってるのか?
嫌な予感がする・・・
俺はサヤちゃんに目配せして、二人ともタカコのことを見向きせずに、カバンの中身を机にしまったりして無視した。
すると今度は「トボケても無駄だよ~? ほら?これ、二人が玄関先で熱い抱擁しながらブチュブチュしちゃってるの、綺麗に撮れたんだよ~?見てよ~」と言って、スマホの画面を見せてきた。
しまった
タカコは近所に住んでるから、玄関先での出来事は見られてもおかしくない。
「玄関先でこんなに熱々なら、家の中ではどんなことしてたのかな~?」
「あーいやらし~! エッチしまくりだよね! これはみんなに教えてあげないと!」
教室を見渡すと、クラスメイト達はみんな、俺たちに注目していた。
サヤちゃんは、真っ青な顔をして唖然と固まっていた。
またか
何度目だろう。
タカコにこうやって理不尽に追い詰められるのは。
俺は黙って席を立ち、タカコに近寄る。
無言のままタカコの頭を掴み、思いっきり振りかぶって頭突きを食らわせる。
「女に手を上げるのは最低だけど、俺は女の子を守る為なら、暴力もいとわん」
そう言ってから、頭を押さえて蹲るタカコの手からスマホを奪う。
奪ったスマホを床に置いて、力の限り何度も足で踏みつけた。
画面は割れるけど、粉々に出来ないので、今度はイスを持ち上げ何度もイスを叩きつけた。
「な、なんてことすんのよ!!!」
再び頭を掴み、大きくふりかぶって頭突きを食らわす。
「お前とは縁切る。 ウチの親通してお前の家とは絶縁だ」
そう、コイツに色々広められて苦い思いをしていたのは、俺だけじゃない。
ウチの家族もだし、なんならご近所さんみんな同じ様にコイツの悪ふざけに嫌な思いをしてきたのだ。
「二度と話しかけるな」
タカコはぶつぶつ言いながらスマホの残骸を持って席に戻るが、この日クラスメイトは皆、タカコの相手をしなくなっていた。
その後、タカコが広めようとした「俺とサヤちゃんがエッチしまくり」という話は、一部の友達に「まだキスまでだよ。流石に初カレ初カノでそこまでする勇気無いよ」と説明すると、すんなり信用してもらえた。
また、タカコの家には、ウチの親が近所中に呼びかけ、集団で抗議しに行った。
タカコの母親も大概な人だったが、流石にご近所中からの抗議に慌ててタカコを殴り飛ばしてかなり厳しく𠮟りつけ、タカコの父親(この人はまとも)は俺んちまでタカコを引きづってきて、玄関先で親子土下座を披露した。
この時俺は「もう二度と顔も見たくない」と会うのを拒絶し、ウチの両親が対応した。
それからはサヤちゃんとは熱々のままで、学校でもいちゃいちゃするようになった。
流石に人前や外ではちゅっちゅしなくなったけど。
幼馴染のタカコから解放された今、幸せ一杯だ。
タカコ編 完
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