噂好きのスピーカー タカコ編
#01 過去の悪行
月曜日の朝、学校に向かって歩いていると、バカが絡んで来てウザい。
「ねぇねぇ、アツシぃ、サヤちゃんと土曜のデート、結局どうなったの?」
「どうもなってねーよ」
「エー?ホントに~?」
「朝からうるせーな。ほっといてくれ」
コイツはタカコ。
近所に住むコイツとは、保育園から高校まで同じトコに通ってる、いわゆる腐れ縁ってヤツ。
んで、朝からコイツはナニを騒いでいるかというと、二日前の土曜に、俺がクラスメイトの女の子と二人で遊びに行った話を聞きたがってるわけだ。
その子の名前はサヤちゃんと言い、席が隣で最近仲良くなって、色々話してたら同じ新作映画を見に行くつもりだったことが分かり、だったら一緒に行こうと誘われて、この土曜日に二人で映画見にいって来た。
で、実際のところは、映画見たあと色々ウインドショッピングとかカフェでパンケーキ食べて、帰り家まで送って行ったら告白されて、付き合うことになった。
だが、タカコだけには絶対に教えない。
俺はコイツのことを1ミクロンも信用していないからな。
小学生5年の時、タカコとタカコの兄貴と俺とでプールに遊びに行ったとき、タカコの兄貴とちんちんに毛が生えた話で盛り上がっていたら、それを聞いていたタカコが、次の日に学校で俺にちんちんに毛が生えた話をクラス中に言いふらしやがった。
そのせいで俺のアダ名が「チン毛マン」になった恨み、俺は忘れていない。
更に中学に上がり、俺にも好きな女の子が出来ると、普段は俺の事「アツシ」って呼ぶくせに、その俺が好きだった子の目の前で俺の事を「チン毛マン」と呼びやがった。
当時、その子とようやくお喋り出来るくらいには仲良くなり始めていたのに、その子が俺が居ないところで俺のこと「チン毛マン」と呼んでいるのをたまたま知ってしまい、絶望すると同時に俺の初恋は終わった。
そして、ここで話は終わらない。
俺が好きだったその子と、急に距離を置き始めたことに気が付いたタカコに、理由をしつこく聞かれて「お前がチン毛マンとか言うからだ!お前のせいであの子まで俺のことチン毛マンって呼んでるんだぞ!」と怒ると、翌日には”チン毛マンがチン毛マンって呼ばれてフラれてイジけてる”と言いふらされた。
因みに、その後その好きだった子とは、卒業まで目も合わせなくなった。
彼女が出来たこと、コイツに知られたら何言いふらされるか分かったもんじゃない。
それに、もしそんなことになれば、サヤちゃんからの俺の信用もガタ落ちになるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます