第6話

時は過ぎ放課後になった。

つまり、桃咲さんに呼び出された放課後になってしまったわけだ。


ちなみに、匠と隼哉はもう部活に行った。

このことは話せていない。決して信用してないとかという訳では無いが、なんとなく言いづらかった。


裏庭に着いたがまだ桃咲さんは来ていないようだった。俺は携帯をいじって時間を潰すことにした。


Twitterを開き今日の配信のお知らせを上げる。


ちょうどその時桃咲さんが来た。


「ごめんなさい、先生に呼び出されてしまって…」


「いや、いいよ。そんなに待っていないし…。それで話したいことって?」


「実はその、私佐々野くんの事が…」


…ゴクリ…これはもしかして…。


「私、私…!」


…いや、さっきありえないと思っていたではないか…!


「あなたの事…すごく応援してるの!!」


「はい?」


…ちょっとまて、なんかよくわからんが彼女は今なんと言ったんだ???


「あ、そうよね。意味わかんないわよね…。言い直すわ。」

「私、紫 沙茶のファンなの。しかも重度の。佐々野くん、あなたが紫 沙茶で間違いないわよね?」


俺は全身の血がサーッと引いていくのを感じた。


「え、ちょ、なんっ…。」


「あ、そうよね、普通秘密にしていることよね…。困るわよね…。」


桃咲さんは焦っている。いや、困るっちゃ困るがそんなことはひとまず置いといて…。


「なんでわかったの?」


「やっぱりそうだったのね。私耳がいいのよ。最初はあなたの声質が紫 沙茶に似ているなぁくらいだったんだけど、この前佐々野くんが男の子たちとじゃれあっているところを見て、声が似ていたから…。ただそれだけなんだけど、紫 沙茶は両声類であることが武器だからその…えっと…。」


桃咲さんがこんなに早口で喋って焦っているところなんて初めて見た…。だけど、やっぱり分からないことがある。


「…俺が紫 沙茶であることを使ってなにか脅しでもするのか?」


「まさか!そんなことするわけない!!私はちょっと熱烈な紫 沙茶のファンってだけ!脅しなんてするわけないわ!!」


勢いが脅しそのものですけどね…。


「じゃあ、なんだって言うんだ…。」


「そうね、本題に入りましょう…。」



「私に紫 沙茶をプロデュースさせてほしいの。」



「え?」

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