第4話
「お、紫穏!おはよ!」
教室に着くと、親友である七瀬 匠が元気よく挨拶してきた。
「はよー」
「眠そうだなぁ…笑なに?寝てないの?」
「寝てないわけじゃないか、夜は遅かった。…し、ちょっと疲れが…。」
「なによ、疲れって。私のせい?」
あ、やべ、これ怒ってるやつだ。
「そんなことはございません!すいませんでしたぁ!」
「まぁ、いいけど」としぶしぶ唯愛は去っていった。
「ふぅ…大変だったぜ…」
「お前…学年のマドンナと登校するのが嫌とか…男子に殺されるぞ?」
…まぁ、たしかに。
それに、変わるきっかけをくれた唯愛の事は嫌いではないし、ちょっと悔しいがとてつもない美人だと思う。そんな人と一緒に登校できて嫌な人はいないだろう。
じゃないと今俺はぼっちだろうしな。
実は匠と仲良くなれたのも、唯愛のおかげである。
高1の時…今高2だから1年前か。
俺はコミュ障故に自分から声もかけられず、だからといってオタクだからか声もかけられず…と完全に陰キャだった。
いや、もちろん今も陰キャだが、当時と比べたらだいぶ充実していると思う。
そんな俺を見兼ねて、唯愛はクラスでもそこそこ人気のある秋野 隼哉に声をかけた。
隼哉は陽キャにしては珍しくラノベオタクだったのだ。しかも、俺よりめっちゃ詳しかった…
だが、隼哉はオタク以前にとても良い奴だった。だから、早く打ち解けることが出来たし、高2ではクラスが離れてしまったが、昼食はいつも一緒に食べるし、親友とも呼べる存在になっていた。
その後隼哉と幼なじみだという匠とも仲良くなり、よく3人でつるんでいる。
匠は隼哉より先にオタクになり、隼哉にラノベを進めた本人らしいが、オールラウンダーゆえに隼哉には知識量が劣るらしい。匠はそれを悔しがっていたが、俺から見ればアニメという括りだけで見れば、3人の中で1番知識量がすごいと思う。
え、俺はって?俺は隼哉程でないが狭く深く派である。3人の中ではゲームの知識だけは負けないと思っている。
とにかく、こんないい親友と出会えて、学校生活に対する充実感が変わったのも唯愛のおかげということが言いたいのだ。
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