第2話
家を出ると幼なじみの星影 唯愛にあった。
「あれ、紫穏じゃん!朝会うなんて珍しいね~」
「おぅ」
「つれないなぁ~せっかくだし一緒行こう~」
それは正直遠慮したいところだった。なぜなら、唯愛は学年でもトップレベルの美少女。つまりすごく男子に人気があるのだ。そんな美少女と一緒に学校に行くと男子に嫉妬にかられた嫌な視線の雨を浴びなければならない
。
だからといって、その誘いを断ったら断ったで…
「え?何?私の誘いを断るの?」
唯愛が蛇のように鋭い目で見てくる。思わずヒェッ…と喉がひきつった。
「いや、行こう!一緒行こう!」
男子も怖いがそれ以上に、唯愛が怖い。
それもそうだろう。唯愛は中学時代はこの辺では知る人ぞ知る「影の死神」と呼ばれる、不良だったのだ。当時は金髪にピアスバチバチ、メイクもすごく派手だった。
でも今は、キューティクルの光る艶やかな黒髪に、ピアスどころかアクセサリーは着けず、付けるとしてもシンプルなもの。メイクはとてもナチュラルになっていた。
性格は変わらず強気で、思ったことをはっきり言うが、サバサバしていると男女共に人気がある。
そんな人が幼なじみだったら、やはり妬まれることも少なくはなく、いわゆるイキってる系の陽キャにいじられることも少なくはなかった。
その度に唯愛が庇うが、男としては不甲斐ないというか、なんというか…。
それに、周りから見たら俺みたいなド陰キャと唯愛みたいな陽キャの中の陽キャ。未だに仲がいいということに疑問を持つ人も多い。
だがしかし唯愛は…
「ねぇ、昨日の深夜アニメ見た?」
オタクなのだ。しかも重度の。
小学生の頃に俺がラノベを読んでいたら、興味を持ったらしくそこからズブズブと…。
だから中学時代もそれなりに仲良くしていたし、俺も喧嘩の現場に引っ張られることも度々あった。いや、喧嘩の現場に行くのは嫌だけどな。
だが、不良をやめた今でも喧嘩をふっかけるやつは少なくなく…。
「おい、お前影の死神だろ?ちょっとツラ貸せよ。」
ハイ、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
典型的なチンピラktkr!!
「ツラ貸してあげるまでもないと思うけど?」
「…は?……グハァ!?」
はい、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
華麗な唯愛の蹴りktkr!!
「厨二っぽいその異名嫌なんだよねぇ~
それに、もう引退したって言うのに…」
どうやらまだまだ唯愛は最強のようだった
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