両声類は最強かもしれない。

夜宵

第1話

「オハロ~!こんばんは!両声類系VTuberの

紫 沙茶ですっ!今日も雑談配信始めるよ~」


以下にも作ってますと言うような可愛い女の子の声が聞こえる。


ま、これ俺の声なんですけどね。


いつまで経ってもこの声には聞きなれない。


「あ、ぽん酢 桃さん!スパチャありがと~♡」


心の中でこんな物好きもいるんだなとか思いつつ、そんなことを悟られぬよう少し大袈裟にリアクションをとる。じゃないと、普段語尾に♡なんてつけない。


「ん?なになに?ショタボで挨拶して?いいよぉ~ンンッ…オハロ~!こんばんは!両声類系VTuberの紫 沙茶ですっ!お姉ちゃん、今日もいっぱいお話してね…?」


挨拶するだけで、コメ欄が騒がしくなる。

ショタボって結構難しいんだよな…。



そんなこんなで時間は11時。俺は明日も学校あることを思い出し、配信を閉じることにした。



自室のドアを開けるとちょうど向かいの部屋から妹の響音が出てきた。


「うげ、お兄じゃん…。キモイ女声配信は終わったの?」


琴音は俺が配信をしていることを知っている。最近は思春期なのか、俺に冷たい。


「キモイって…俺だって傷つくんだぞ?それにお前だってなんだかんだで協力してくれてるじゃないか…。」


「う、だってそれはお兄ちゃんのその顔とその声で頼まれたら…っじゃなくて!家族が炎上とかしたら嫌じゃん!!」


なんか最初に言ってたような気もするが、なんだかんだで優しい良い妹だなと思う。


「じゃ、おやすみ!」


「あぁ、おやすみ。」


気付けばもう12時を過ぎていた。

俺もそろそろ寝ないとだな。



そんなこんなでいつもと同じような今日が終わった。

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