第142話 女教師や女子と一緒に観る深夜お色気アニメ(規制解除版)
勝手に変な妄想をして盛り上がる女教師花子。悠が騎士王になっている間に、花子は魔法少女になったようだ。とにかく、事案が発生しそうで危なっかしい。
「先生、一緒にアニメを観ようって約束したじゃないですか」
悠が以前約束した、一緒に規制解除BD版『魔神の刻印』を観る話を振る。
「あっ、そ、そういえばあの時……」
「それです」
「で、でも、悠君と二人でなんて照れちゃいます」
「いえ、姉も一緒ですが……」
「で、ですよね……」
少しがっかり気味になった花子だが、一緒にアニメを観るのには乗り気だ。
「では、私に任せてください悠君。魔神の刻印は視聴用の他に布教用もありますから!」
「ホントに布教用まで買ってる人いるんだ……」
けっこうガチな花子だった。
「それで、悠君? 私の部屋に来ますか?」
「いや、なんか怖いから家にしましょう」
「な、何もしませんよ! 襲いませんから!」
「事案発生になっちゃいますよ」
「でも、もう卒業しちゃったらこっちのものかも……(ぼそっ)」
「先生、聞こえてますよ」
一度酒に酔って抱きつかれているので信用されていない。花子の部屋で二人っきりになったら、絶対に変な雰囲気になりそうだ。
「姉も一緒なので、できれば家にしましょう?」
「は、はい……そうですね。ではBDは持って行きます」
「今夜はどうですか?」
「その聞き方だとドキドキしちゃいます」
「いや、アニメの話なので……」
悠が花子と話していると、ちょっと威圧感を出した百合華がやって来る。さながら深淵の魔王だ。
「ユウ君、末摘先生となに話してるの?」
「あの……一緒にアニメを観る約束を……」
チラッ!
百合華が美し過ぎて恐怖心を与えそうな流し目で花子をチラ見する。
「ね、狙ってません! 狙ってませんよ、師匠!」
「いえ、まだ何も言ってませんけど」
「前に一緒にアニメを観ようって話をですね……」
「へ、へえ……そうなんですか」
笑顔なのに迫力がある百合華の問い掛けに、ちょっとビクつきながら答える花子。
「お姉ちゃん……末摘先生は、あの事件の時に味方になってくれたから、ちゃんとお礼をしたいんだよ。もし末摘先生がいなかったら、お姉ちゃんは学園を辞めて遠くに転任していたかもしれないんだから」
悠が説明する。
ちょっとショタ好きで怪しい女性だが、根は優しく生徒思いの良い先生なのだ。そして、オタク同士ということもあり悠と気が合うのかもしれない。
「そうね……それなら」
「やったよ、先生!」
「やりましたね、悠君!」
何故か手を取り合って喜び合う二人。
「ベタベタ禁止!」
「ひゃいっ!」
やたら悠に触りたがる花子に、百合華の声が飛んだ。
「そういうことなら、ユウ君、あのお肉を使いましょうか?」
「良いね。たくさんあって食べきれないし」
「じゃあ、今夜はすき焼きかな」
「俺、買い物しとくよ」
今夜は卒業記念と花子へのお礼を兼ねて、すき焼きパーティーとなる。先日の高齢女性を助けたお礼に、高級和牛が贈られてきたのだ。大量にあるので冷蔵庫の中を占領していた。
「末摘先生、今夜はご馳走しますから、夕食は食べずに来てくださいね」
悠が花子に説明する。
「仲の良い姉弟とアニメを観ながら、高級和牛すき焼きパーティー……し、至福です……」
うっとりした顔で夢見る花子だ。
「言っときますけど、私の悠に手を出したら許しませんよ!」
「ひゃい! 狙ってません、狙ってませんから」
警戒だけは怠らない百合華だ。
そうして学園生活最後の登校日は終わり、悠は思い出の詰まった校舎を後にした。
入学前は、馴染めるのか不安だったり、百合華がボロを出すのではと心配だったが、今思い返せは良い思い出だ。支えてくれたり仲良くしてくれた人たちには、感謝してもし足りないくらいの気持ちでいっぱいになる。
さよなら、
三年間ありがとう。
校舎に向かって心の中でお礼を述べた悠が、背を向けて学園を後にする。
――――――――
「とりあえず、お姉ちゃんが帰宅する前に、スーパーで食材を買い揃えておくとするか」
学園からの帰りに買い物を済ませようと、悠は商店街へと向かっていた。姉と旅行に行った時のすき焼きを思い出しながら。
「すき焼きなら、豆腐、ネギ、しらたきと、えのき、しいたけ……かな?」
独り言をブツブツ呟きながら悠が歩く。
「春菊も入れた方が良いわね」
「あ、そうそう、春菊…………えっ?」
突然、独り言に割り込むように声をかけられ固まってしまう。
「あと、卵はあるの? すき焼きには卵が付き物でしょ」
悠が振り返ると、そこにはニマニマと少し怖い笑顔の貴美が立っていた。
「中将さん!」
「あんた、相変わらずボヤっとしてるわね」
完璧な着こなしで制服に身を包み、美少女なのにギラギラした獲物を狙うような目をした貴美が、まるで買い物デートのように自然に後を付けている。
「えっと、何で付いてきてるの?」
「違っ、違うから! ストーカーじゃないからね! 勘違いしないでよねっ!」
ちょっと葵みたいなストーキングだが、本人は否定している。
「中将さん、女子同士でカラオケ行ったんじゃなかったの? あと、自棄ワックとか?」
「アユが急用入ったって言うから今日は解散。てか、何で自棄ワックなのよ! なんかムカつく!」
「ええええ……」
やはり悠と絡んでいる時の貴美は輝いている。
「それよりさ、すき焼きやるの?」
「う、うん。末摘先生を読んで三人で」
「ええぇ~っ、花子ちゃんも来るんだ」
悠が危惧するが、この成り行きは絶対そうだ。
「じゃ、私も行こうかな?」
「やっぱりか!」
「良いじゃない、一人くらい増えたって。あっ、私の分の食材はお金出すし」
教室で女子三人に密着されているのをバッチリ見られているうえに、貴美の諦めない宣言まで聞かれているのだ。百合華がヤキモチやら嫉妬で凄いことになりそうなのは予想できる。
「断っても付いて来そうだし……」
「いいじゃない。ほら、私の制服最後の日なんだから。堪能させてあげるから」
制服のスカートをヒラヒラさせてクルっと回る貴美。健康的で張り艶のある太ももが見えた。クラスの男子達なら一撃で恋に落ちそうだ。
「中将さんのJK制服姿も今日が最後か……何だか不思議な気持ちだ。こんなに制服の似合うドS女子は中将さんだけだよ」
「あんた、やっぱりケンカ売ってるわよね。まあ、良いわ。また私の制服姿を見たいってなら、悠の前でだけ着てやっても良いんだからねっ!」
「いや、それはいいかな」
「何でよっ!」
急遽もう一人メンバーが増え、不思議な四人ですき焼きパーティーすることになった。
――――――――
「ただいまぁ」
百合華が帰宅する。
いつも
「あ、お姉さん、おかえりなさい」
すっかり馴染んだ貴美がソファーに座って挨拶する。
「あら……あなたは…………。悠、これはどういうことなのかしら!?」
仕事から帰ったら、
ヤバい!
お姉様がキレ気味だぜ!
何とかお怒りを静めねば!
いや、女神姉の
「お姉ちゃん、落ち着いて。どうどう、どうどうどう」
「私は
「いや、そんなこと言ってないのに」
でも、一瞬だけ巨乳に目が行ってしまう。
「ふふっ、あはっ、あははっ!」
貴美が笑い出す。
二人にとっては日常のやり取りなのだが、貴美にとっては氷の女王が変なセリフを言っていてコントのようだ。
「お姉さん、ほんと面白い。外では怖くて厳しそうなのに、家ではいつもそんななんですね」
「ああ、お姉ちゃんがポンコツなのがバレた」
「ユウ君、ポンコツって言わないでっ!」
余計にポンコツバレしてしまう。
これには貴美も笑顔になる。
「大丈夫ですよ。そっちの方が親しみがあって良いと思います。それに、学園でも最後の方は地が結構出てましたし」
「はぁ、もう卒業したからいいけど……」
とりあえず落ち着いた百合華に、悠が事の成り行きを説明する。
「途中で中将さんに会って、すき焼きパーティーに参加することになったんだよ。彼女も例の事件の時に、俺を
「ううっ、ユウ君がそう言うのなら……良いけど……」
弟に頼まれると断れないデレ姉だった。実は、悠に強く頼まれれば、超恥ずかしいことでもしてしまう。それが完堕ちした百合華だ。
「じゃあ、俺が料理の下ごしらえしてるから、お姉ちゃんはくつろいでて」
テキパキと食材を切ったり下ごしらえをする悠。見た感じは完全に専業主夫だ。
「ふふっ、悠の姿が完全に違和感無いわね。やっぱり嫁に欲しいかも」
貴美が、悠の主夫姿をまじまじと見て言う。
「あげないわよ」
「チャンスはいくらでもありますから」
「ぐぬぬ……」
「むぅぅ……」
目に見えぬ攻防を繰り広げ女の戦いをする二人には目もくれず、悠はテキパキと料理を続けていた。
やがて花子も来訪して全員揃った頃、すき焼きの準備も整いテーブルの上に鉄鍋が設置完了する。リビングのテレビが良く見えるような向きにして、花子が持ってきたBDをプレーヤーに挿入した。
規制解除BD版『魔神の刻印』鑑賞会の始まりである。
『あんあんあん♡――――』
テレビに映し出されるエッチな映像と艶めかしいセリフ。
「えええっ! 何なのこれ! 私なに観されられてるの!?」
エロアニメとお姉ちゃん大好きの悠、エロアニメとショタ大好きの花子、エロいのは全部バッチコイの百合華。三人のエロ魔人に囲まれ、エッチなアニメ鑑賞会に戸惑う貴美。
説明していなかった悠が悪いのだが、突然のエロ夜会に巻き込まれる貴美が困惑しまくりだ。散々『エッチなアニメ見せてよ』などと言っていたのに、いざ観させられると赤面しまくる純情な乙女だった。
果たして、貴美はエロ魔人達に洗脳され、ヒロインのように堕とされてしまうのか。それとも淫紋にも打ち勝ち、ドSフレンズのプライドを守る事ができるのか。
ちょっとエッチなすき焼きパーティーが始まろうとしていた。
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