第129話 親の前でもイチャイチャしまくるお姉ちゃん

「はぅ~ん、ユウ君……ぺろっ、ちゅっ」


 家族団らんのリビングに百合華のつやっぽい声が響く。大晦日の歌番組を見ながら、抱きついた百合華が悠をペロペロしてるのだ。

 親がいる時は抑え気味にして、目を離した隙にエッチなことをするという、強弱付けた多彩な攻めを繰り返し、どこまでも羞恥心と背徳感で追い込んでくる。


「ダメ、バレちゃうよ……続きは部屋にして」

「どうしよっかな~っ、最近のユウ君は生意気だしぃ~」


 生意気も何も、百合華が勝手に興奮して弟の奴隷に堕ちそうになっているだけなのだ。まさか、こんな仕返しで恐ろしいオシオキをしてくるとは想像もしていなかった。


 父親がトイレに、母親が風呂の準備に行った、ほんの僅かな時間を狙って、繊細なフェザータッチで体のある部分を撫でて昂らせる。細く美しい姉の指が、自分の体をまさぐっているだけでも興奮するのに、それが超絶技巧ウルトラテクニックで追い込まれるのだからたまらない。更に親にバレるかもしれないという背徳感の相乗効果だ。


 もはや陥落しそうな心を必死に堪えて、見つからないのを願うだけである。


「ほぉら、ユウ君のあれ、親に見られちゃうよぉ~」

「あああ……もうやめてぇぇ……」

 今、親がリビングに入ってきたら言い訳できない。


「ねえっ、このまま最後までしちゃおっか?」

「無理に決まってるだろ……親にバレちゃう」

「私がふざけて上に乗ってるだけだって言えば大丈夫だよぉ」

「そんなワケあるかぁ~」


 この姉なら、本当に親の前でこっそり合体するのではと恐ろしくなる。まさかと思うことを実際にやってしまうのが百合華だ。


「ふふふっ、ユウ君のぉ~エッチな姿、見てもらおっか?」

「あああああ……もうダメぇぇぇぇ……」


 うああ……

 バレちゃう……

 もう限界だっ……

 最近は勝ってると思ってたのに、こんな恐ろしい作戦で反撃してくるなんて……


 ガチャ!

 サッ――


 幹也がリビングに入った瞬間、百合華が速攻で色々隠してしまう。普通に抱きついているだけに見せて、平然と会話をする。


「ユウ君、この歌良いよね」

「う、うん……」


「おっ、この歌はお父さんの若い頃にも流行っていたんだぞ」

 幹也が会話に参加してくる。娘とコミュニケーションとりたいお年頃だ。


「ユウ君、ちゅぅ~っ!」

「お姉ちゃん、待って、お父さんが見てるから」


「元は有名なロックバンドが歌っていたんだけど……って、聞いてないのか……」

 娘が相手をしてくれず、幹也がちょっとヘコんだ。


 親の前でキスをしようとする百合華と、必死に止めようとする悠に見えるのだが、実はそれだけではなかった。服で隠しながら、下の方では百合華の指が超絶技巧ウルトラテクニックで絶賛大暴れ中だ。


 ぐぁぁっ……

 もう許してぇぇ~っ!

 こんなの経験しちゃったら、もう一生お姉ちゃんに逆らえないよ……


 ガチャ!

「ねえ、そろそろ年越し蕎麦を食べましょうよ」

 絵美子が戻り、蕎麦の準備をしようとする。


「あ、お母さん、私も手伝います」

「ありがとう、百合華」


 ほのぼのとした義理の母娘の会話になり、悠から離れた百合華がキッチンへと向かう。


 大暴れする姉の指から解放され、ほっと一息ついた。

 絶妙なテクで、緩めたり激しく攻め立てたりと、いつまでも許してもらえないのだ。まさに悪魔のような無慈悲で執拗なエロさ。それが悪魔姉百合華だった。


「そ、その……悠君も大変だな」

 解放された悠に、幹也が声をかけた。


「い、いえ……」


「百合華は、あんな子で大変かもしれないけど、悠君に色々迷惑をかけてしまうかもしれないけど、ボクにとっても大切な娘なんだ。どうか、末永く幸せに仲良くしてやってくれないか」


「はい、もちろんです。絶対幸せにします」

 悠は胸を張って答えた。


「よかった。今考えると、百合華の相手が悠君で良かったよ。最初はビックリして反対しようと思ったけど、でも今は悠君だから任せられると思ってるんだ」


「お父さん……」


「あんな我儘で理不尽で変わった娘と生活して行けるのは悠君しかいない気がする。それに、大事な娘を何処ぞの馬の骨になんか嫁にやれないしな。その点、悠君なら安心だ」


 一時は家族会議で大問題となり反対されるのかと思っていたが、今では認めてもらえているようだ。あの百合華のことだから、反対されても強硬路線をとったり駆け落ちしてでも結婚しただろうが。

 何にせよ、周囲から祝福されてゴールできそうで安心だ。



「はい、ユウ君、お蕎麦できたよぉ~」


 テーブルの上に年越し蕎麦が並ぶ。

 ネギと海苔の乗ったシンプルなスタイルだ。


「お父さん、さっき私の悪口言ってなかった?」

「い、言ってないぞ。相変わらず地獄耳だな、百合華は」


 娘に問い詰められてビビる幹也。

 相変わらず百合華には弱いようだ。


「じゃあ食べましょうか」

「「「いただきまーす」」」

 絵美子の声で一斉に食べ始める。


「ユウ君、いつものように『あーん』で食べさせてあげるね」

「いや、蕎麦は自分で食べるから」

「はい、ふーふーふー」


 ふーふーで冷まして口へ運ぶ過保護姉。


 ぎゅぅぅぅぅ~っ!

 わざと胸を押し当て密着する。


「どう、美味しい?」

「う、うん……」


 あああ……

 親の前はホントにヤメてぇぇ~

 恥ずかし過ぎるから。

 このオシオキが何気に一番キツいんだけど。


「おい、百合華。あまり人前では止めないか?」

 見かねた幹也が声をかけた。悠が困っているように見えたからだ。


「お父さん! 私たちの清い交際に文句あるの!?」


「ブッフォォォォっ!」

 百合華のトンデモ発言で、悠が蕎麦を吹き出しそうになる。


 おおお、お姉ちゃん!

 清い交際とか、どの口が言ってんだ!

 エッチしまくりじゃないか!

 この家でエッチしてない場所が無くなるくらい色々な場所でするとか、エッチした跡を刻み付けてマーキングするとか、アブノーマルなことを言ってたのは何処の誰だよ!


 一方、娘の迫力に圧されて黙ってしまう幹也。

「い、いや、そういう訳では……」


「お父さんは、娘の純愛を見守ってよね。は~い、ユウ君、あーん」


「ちょっと待って、自分で食べるから」


「もぉ、ユウ君ってば、いつもの口移しでないと満足できないのかにゃ~?」


 まさかの、蕎麦を口にくわえて顔を突き出すハレンチ姉。暴走ここに極まれりだ。


「いつもとか言わないでぇ~親バレ恥ずかし過ぎるぅ~」


 目の前で展開される糖分過多みたいな甘々イチャラブシーンに、幹也と絵美子が先にダウンしそうだ。


「うっ、娘の痴態を見てるこっちがキツい……」

「ああっ……また眩暈めまいが……」


 わざと親に見せつけるような、悠を羞恥で追い込むオシオキは続く――


 ――――――――




「百合華と悠、どっちか先にお風呂入っちゃって」

 片付けも終わり、皆でテレビを観ているところに絵美子が声をかけた。


「あ、私は部屋でやる事あるから、ユウ君が先に入っちゃって」


「うん」


 何か怪しいと思いながらも、まさか親がいるのに一緒にお風呂はしないだろうと思い、風呂へと向かう。そのまさか・・・を平然とやるのが百合華なのだが。



 ガラガラガラ――

「ふう……やっと解放されたぜ」


 浴室に入ってホッとする。

 リビングでは、エロ姉の手が隠れてコチョコチョとカラダ中を這いまわり、いつバレれてしまうのか気が気ではなかったから。


「まさか風呂までは入って来ないよな……」


 ガラガラガラ――

「ユウ君、洗いっ子しよっ!」

 速攻で入ってきた百合華。


「はああああっ!」

「しーっ、ユウ君、大きな声出すと親にバレちゃうよ」

「んんん~~~~」


 すぐそこのリビングに親がいるというのに、まさかの一緒にお風呂になってしまった。こんな場面を親に見られたら、恥ずかし過ぎて合わす顔が無くなってしまう。


「ほらほらぁ、お姉ちゃんがユウ君の体の隅々まで洗ってあげるね」


 相変わらず手で洗う主義の百合華だ。細く綺麗な指が、カラダ中のいたる至る所に侵入する。泡で滑りが良くなり、リビングでコチョコチョされた時よりも快感が強くなってしまう。


「待って待って、バレちゃう~」

「ああっん、ユウ君のその表情……最高」


 悠が恥ずかしがれば恥ずかしがるほど喜んでしまうエロ姉。バレちゃうとドキドキする表情が、百合華にとって最高の御馳走なのだ。



 ガタッ!

 その時、脱衣所から微かな音がした。

 百合華が瞬時に気配を消した。


「悠、北海道土産のチーズケーキって、まだ残ってたかしら?」

 絵美子の声がした。


「あ、うん……冷蔵庫に、まだ少し残ってたよ」

「そう、じゃあお父さんと二人で貰うわね」

「うん、分かったぁあっ!」

「どうかしたの?」

「な、何でもない、何でもない」


 母親と話しているというのに、百合華が上に乗ってペロペロし始めた。わざと会話中を狙う恐ろしい作戦だ。曇りガラスで浴室内が見えないとはいっても、薄いガラス扉一枚隔てた場所でエチエチしているのだからたまらない。


 あああ……

 もうムリぃぃぃぃ~

 声が出ちゃうぅ~

 んんん~~~~


「あの、いくら二人の交際を認めたとはいっても、節度は守りなさいよ」

 それだけ言うと、絵美子は脱衣所を出て行った。


 え? ええ?

 今の、もしかしてバレてる?

 食事の時のことなのか?

 どっちなんだよ?

 あああ、もう助けてぇぇぇぇ~っ!


 チュドォォォォーン!

 姉の超絶技巧ウルトラテクニックと、限界まで追い込まれた羞恥心と、破滅しそうなほどの背徳感と、親バレしたのではという心配の全てが絡み合い、悠は今年最後の限界突破をした。


「うああああ……もうダメ……」

「まだまだぁ、こんなんじゃ許してあげないよぉ」


 失神しそうなほどのドキドキの中で、悠は姉の恐ろしさを再確認した。やっぱり百合華は常勝不敗地上最強の姉なのだ。こんな凄い悪魔姉には、一生勝てないのかもしれないとの思いでいっぱいだ。そして、もう全て受け止めてしまいたいほど溺れてしまっている自分が怖くなった。

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