第126話 加速する恋愛模様
あれからというもの、学園での悠の存在感がガラッと変わった。目立たない感じの
更に、貴美や真理亜などクラスのアイドルを、ハーレムのように惚れさせてふった男だと噂されることに。
ちょっと実像とは違うのだが。
本来の悠は、年上女性やS系女子にシゴかれる男だ。
「おっ、明石おはよ」
「明石、女を堕とすコツを教えてくれよ」
「おまえ、マジすげぇわ」
クラスの陽キャ達から何故か羨望の眼差しで見られてしまう。今や陽キャや運動部のエースなど、モテ男達からも一目置かれる存在だ。本人は全くそんなつもりはないのに、勝手に
トップクラスの美貌の女と付き合うということは、他の男からそのように見られてしまうのだろう。
「おはよう。別に……普通だけど……」
くっ、何だか恥ずかしいぜ……
転生もしていないのに、勝手にチートキャラになっちまった気分だぜ。
「おはよう」
いつもの面々に声をかける。
「あああ~明石ぃ~っ! おまえいつの間にか遠い存在になっちまいやがって。前は俺と同じオタクだったのに。はやり深淵の魔王を堕として一気にレベルカンストしたのか!」
ちょっとウザ絡みで竹川が話しかけてくる。悠だけチートキャラになって納得いかないらしい。
「竹川……でも、怖い女達からの恐ろしいオシオキを受けることになるんだぞ」
「それもご褒美だろが! マジで羨ましいぜ」
何を言ってもご褒美なので困ったものだ。
「あんたたち、まだやってんの? バカなの?」
うんざりした顔の貴美が言う。
ふってから
「ううっ、中将さん……なんて良い人なんだ」
悠が心の声を漏らしまくる。
ガシッ!
貴美が悠の頭を両手で掴む。
「ちょっと、悠! あんた私をふっといて、何でそうやって心が揺らぐことばっかすんのよ! わざとなの?」
「痛っ! そ、そんなつもりじゃないのに」
「あんたに褒められると嬉しくなっちゃうのよ! ほんとムカつく!」
「ひぃぃぃぃ~」
やっぱりシゴかれる運命の悠なのだ。
ただ、貴美がちょっと楽しそうだが。
「まったく、悠ったらしょうがないわね」
いつものように絡んでいる二人に、真理亜が声をかける。
「うぃす、って……おまえらまたやってんのか」
「あ、夕霧さん、おはよう」
貴美に掴まりながら、悠が挨拶する。
「おい貴美、いくら明石に未練があるからって、そんなベタベタして分かりやす過ぎだろ」
「ち、違うから! そんなんじゃないから!」
やっぱり分かりやすく顔を赤くする貴美だった。
「負けは認めてるわよ……でも、あんたにオシオキしないと、私の気が収まらないのよ!」
「ぐはっ、やっぱり理不尽だぜ」
やっぱりオシオキされてしまう。
そして、ちょっと嬉しそうな貴美だ。
「あのさ……明石、そのマフラー……」
真理亜が悠の首に巻いたマフラーが気になる。
「あっ、これ去年のクリパのプレゼント。そろそろ寒くなったから」
そう、それは真理亜からのプレゼントだ。
クリパの余興でくじ引きにより当たったものであり、真理亜も誰に渡るか分からないので適当に選んだ安物だった。しかし、偶然にも悠の手元に渡ってしまい、真理亜としても複雑な心境なのだ。
「それ、百合華ちゃんに何か言われねえのか?」
「べつに……」
クリパの後から悠が持っているマフラーで、百合華も怪しいとは思っているのだが、手編みでもなく市販品であり、悠に処分しろと言うのも心が痛むので黙っているのだ。
もちろん、
「くっそ……ちょっと嬉しい自分が悔しい(ぼそっ)」
「えっ?」
「い、いや、何でもねぇ」
まだ未練たらたらの二人に、後ろから沙彩が声をかけた。
「不毛ね……まだ引きずってるの?」
「う、うるせぇよ!」
「しょがないでしょ!」
真理亜と貴美が同時に反応した。
そんな日々を過ごしながら、再び季節は年末へと近付いて行く。
――――――――
冷たい北風が吹き、街はクリスマス一色に染まる十二月末。終業式も終わり家でまったりする悠の耳に、隣の部屋からガタゴトする音が聞こえてくる。
「お姉ちゃん、何やってるんだろ?」
気になって覗きに行く。
コンコン!
「お姉ちゃん、入るよ」
ガチャ――
「あ、コタツだ」
「ちょうど良かった。ユウ君、その天板持って」
「うん」
百合華がコタツを準備している。
悠が天板を持って上に乗せて設置は完了した。
「ほら、やっぱり冬はコタツでイチャイチャしたいでしょ」
満面の笑顔で話す百合華。
何でもエッチな道具にしてしまう才能だ。
「うっ……コタツの魔力と、お姉ちゃんのエロスには抗えないぜ……」
吸い寄せられるようにコタツに潜り込む。
もちろん、百合華も一緒に。
ぎゅぅぅ~っ!
コタツの中で暖かくなりながら、姉の胸に甘える最高のシチュエーションだ。まるで天国のようにほわほわして気持ち良い。
「ほら、もっとお姉ちゃんのおっぱいに甘えて良いんだよぉ」
ぎゅっぎゅぅぅ~っ!
「わーい、お姉ちゃ~ん」
百合華の巨乳に顔を埋めて夢心地だ。
若干、バカっぽくなっているが仕方がない。
ううっ……
何だか姉の胸でダメにされてる気がする。
でも、この魔力には
防御不可能特効スキルのようだ。
これはダメになっちゃうしかないぜ。
一時期デマで、姉の胸に甘えているとか吸っているとか言われたが、実際に事実だからどうしようもない。
「ほぉら、ユウ君、おっぱいでちゅよぉ~」
「ばぁぶぅ~」
「よちよち」
「って、ダメでしょ!」
途中で赤ちゃん扱いされているのに気付いてしまう。
「だんだん子ども扱いが酷くなってるよ」
「ええぇ~甘えてくれて良いのに」
「今日は俺がオシオキしちゃうから」
たまにヤル気になる悠。
反撃の時間だ。
「へぇ~やっても良いわよ。やれるもんならね」
余裕しゃくしゃくでニマニマする百合華だが、この後すぐ陥落させられてしまうのは予想通りだ。
ぎゅぅぅぅぅ~っ!
悠が強く抱きしめる。
「あああ……ああああぁん」
ちょっと強く抱きしめられただけで、百合華はカラダの底からゾクゾクと快感が込み上げてしまい陥落しそうになる。愛されているという実感を細胞の一つ一つにまで刻み込まれているようで、我慢できないほどの喜びが満ち溢れてしまうのだ。
「ああ……ダメぇ~そんなにされるとぉ♡」
まだ抱きしめているだけのなに、既にとろととに蕩け顔になってしまう百合華。
「ほら、お姉ちゃん。オシオキはこれからだよ」
ペチン、ペチン、ペチン!
「うあぁ、ダメぇぇぇぇ~っ!」
コタツの中で姉の尻をペチペチする。
お尻が弱点という分かりやすい百合華は、悠の手で大きなお尻を叩かれると、勝手に何度も陥落して言いなりになってしまう。
百合華をコタツから引っ張り出してからも、お尻ペンペンは続く。
「ほら、百合華。もっとケツを高く上げて、お尻ペンペンしてとオネダリするんだ」
ちょっとだけ調子に乗った悠が、わざと屈辱的な命令をする。
「ふぁい……ごしゅじんさまぁ……♡」
ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン、ペチン――
「ああああああ……っ、だ、ダメぇ……負けちゃう……おおお……おほぉ……♡♡♡」
姉の威厳は何処へやら、完全に弟の言いなりになって絶対服従してしまう。今までもギリギリで耐えていたのに、何度もペチペチと撃ち込まれる愛の刻印のような攻撃に、カラダの芯まで屈服されて完全に悠の奴隷になってしまった。
もちろんこの後、滅茶苦茶
――――――――
――――――
――――
何度も陥落させられ、弟の前で恥ずかしい顔を晒してしまった百合華。しかも、自ら美味しそうな顔して〇〇〇までしてしまい、もう姉の威厳もあったものではない。
「ああああぁ~ん、ユウ君のイジワルぅ~」
「お、お姉ちゃん……今日は凄いサービスだったね」
「ふえぇぇぇ~ん、何も言わないでぇ~恥ずかし過ぎてしんじゃうよぉ~」
耳まで真っ赤にして両手で顔を隠す。悠に絶対服従して色々命令されたくて、ドロドロとした甘美な誘惑に負けそうになる。ドS姉からドM姉にジョブチェンジしてしまいそうだ。
「お掃除――っ、ぐわっ! んんんっ! ちょ、お姉ちゃん」
「ゆゆゆ、ユウ君、今なんて言おうとしたの? それ以上言ったら本気で怒るよ」
悠が何か言おうとしたら、百合華が必死になって口を押えてくる。何か危険な
「部屋を大掃除しようかと思っただけなのに」
「ユウ君、それわざと? わざとイジワルしてるよね?」
「でも、大晦日の前にクリスマスだよね」
「もぉぉぉぉ~っ!」
何だかよく分からないが、百合華が勝手に盛り上がっていた。
――――――――
そして現在クリスマスイブの夜。
二人はコタツに入ったままキスをしていた。去年のように姉を一人残してクリパに行った罪を懺悔して、今年はずっと一緒に過ごすと決めてコタツの中でメリークリスマスだ。
「んんっ……お姉ちゃん、そろそろケーキ食べようよ」
「ちゅっ、れろっ……ダメぇ、25日になるまでキスしてるのぉ~」
「んっ、まだ一時間以上あるのに……ちゅっ……」
姉に許してもらえず何時間もキスし続ける。最近ますます悠に溺れまくるデレデレの百合華だ。年末に両親が帰宅するというのに、もはや歯止めが効かないほど溺愛ぶりは加速してしまう。
学園でバレた事から、そろそろ親に説明しようとしている二人だが、こんな調子ではボロが出そうで心配な年末年始に突入しそうだった。
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