第86話 日頃の感謝で健全なマッサージをしたい悠

 一泊二日の旅行を終え我が家へと戻る二人。

 ほんの小旅行のつもりなのに、様々なエチエチイベントをこなしてしまい、もう二人共ムラムラしっぱなしだ。


 ガチャ!

 家の玄関扉を開け中に入る。


「やっと着いた」


 悠が話しかけるが、百合華は黙ったままだ。

 高速道路のサービスエリアまではイチャイチャしまくっていたのだが、地元に戻ってからは凛々しい女王然とした姉や厳しい女教師の顔に戻って、すれ違う近所の人にもきちんとした態度で挨拶していた。


 そして、家に入った百合華が最初にする事といえば。


「ユウ君! ユウ君! ユウ君! ユウ君! ユウ君! もう、お姉ちゃんは限界だよぉ~」

「ぐへぇ、く、くるしい~」


 強烈な勢いで悠に抱きつくと、思いっ切りキスしようとする。

 地元に戻り、外用の顔を取り繕っていたのだ。

 ムラムラするカラダを精神力で律していたが、家の玄関に入った途端に我慢の限界に達してしまった。


「ちょっと待った。先に荷物を片付けたり手を洗ったり」

「片付けなんて後で良いってばぁ」

「お姉ちゃん、教師なんだからしっかりしてよ」


 学園では厳しめの凛々しい女教師として通っているのに、家でのぐでぐでのデレデレでエロエロな顔など、とても他人には見せられない。


「淫らな女教師はオシオキだぜ!」

 そう言うと、悠は手を百合華の弱点のケツにヒットさせる。


 ペチン!

「ひゃぁぁぁぁ~ん!」


 もう色々と限界なところにクリティカルでエッチな一撃をもらい、百合華がヘナヘナと崩れ落ちてしまう。


「お、お姉ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫じゃないよぉ~」

「ほらほら、先に家に上がるよ」


 百合華を抱きかかえてリビングまで運んで行く。


「もぉぉーっ! ユウ君、最近ナマイキ」

「えっ、そうかな?」

「そうだよ! 姉に対する反抗期かな?」

「そんなの無いから」


 姉の威厳とやらを保ちたい百合華なのだが、意外と弟に攻められるのもクセになってしまい、それを認めてしまうのは沽券こけんに関わるので強がっていた。


「だって、最近のユウ君って、私のコト呼び捨てにするし、ドスケベとか言うし、お尻ペンペンするし……」


 ソファーに寝転んだ百合華が文句を言いながら足をバタバタする。


「それは、お姉ちゃんがエッチだから……」

「もっと姉を敬って!」

「う、敬ってるって。でも、お姉ちゃんのお尻を見るとペンペンしたくなるというか……」

「ユウ君のエッチぃ~」

「はいはい、先ず荷物を片付けるよ」




 水着や洗濯物などを片付けてからリビングに戻ると、百合華は服を脱ぎ散らかして下着姿になっていた。


「ふ、服を脱ぐなぁーっ!」


 家に戻って安心したのか、このぐうたらっぷりである。

 普通なら女性がこんなぐうたらな恰好をしていたらガッカリなところを、この百合華ときたら無精でぐうたらな恰好でさえ凄まじい色気なのだ。

 服を脱ぎ散らかしてソファーに寝そべる姉も、芸術的なまでに絵になってしまう。


「ユウ君、マッサージしてよぉ」


 お姉ちゃん……

 ずっと車を運転してくれたし、旅費も出してくれたし……

 きっと疲れてるよな。

 やっぱり俺が癒してあげないとだよな。


「うん、分かった」

「うむうむ、分かればよろしい」

「とりあえず、どうしようか?」

「私の部屋に行こっ」

「うん」


 ムラムラしている百合華だが、前にリビングでブルマ姿で変なプレイをした時のことを思い出す。親の帰宅が早まり見つかりそうになった例の件だ。リビングで弟とエッチなことをしているのがバレたら大問題である。

 家族会議になってしまうエッチは避けなければならない。


「エッチは部屋でだねっ、ユウ君!」

「エッチしないから!」


 どんどん階段を上がって行く百合華。

 下着姿でプリプリと揺れる尻が正視できないほど魅惑的で、悠は姉の尻から視線を逸らす。


「お姉ちゃん、下着替えたんだ……やっぱり夜のアレで汚れて」

 よせばいいのに、悠がまた余計なことを言ってしまう。


「ゆゆゆゆゆ、ユウ君! それはもう忘れて!」

「えっと……ごめん……」

「誰にも言っちゃダメだからね!」

「う、うん……」

「うぇ~ん、もう、恥ずかしいよぉ……」


 真っ赤な顔で恥ずかしがる百合華。

 家の中で裸や下着姿でいるのは恥ずかしくないのに、アレがバレちゃうのは恥ずかしいらしい。


「そういえば、お姉ちゃんって、前も俺が寝てる時にキスしてたような? もしかして……キスやアレだけじゃなく、俺の〇〇〇に朝ピー自主規制を」


「それはしてないからっ! そこまで変態じゃないからぁ~しようと思ったコトはあるけど……」

「思ったことあるのかいっ!!」


 益々アウトな姉に引き気味の悠。

 前は逆光源氏計画と銘打めいうってギリギリのところで踏みとどまっていたのだが、進学してからというもの姉の暴走は留まる所を知らなかった。

 最近では、隙あらば合体をしようと狙っているくらいだ。

 一つ屋根の下でアウト姉と二人っきりなのだから困ったものである。


「親が帰宅した時は控えてよね」

「それはムリ!」

「ぐっ、とんでもない姉だぜ……」


 悠は思い出した。

 昔から親に隠れてキスしまくったり、夜にこっそり添い寝しに来たりと、親がいたら更に背徳感が刺激されてしまう姉なのだ。

 親の存在がブレーキどころか、逆にアクセルを踏んでしまうかもしれない。

 背徳エッチや禁断エッチが大好きな百合華なのだから。


「あああっ……もう心配だ……」

「大丈夫だよぉ、こっそりやるし」


「全然大丈夫じゃねぇ~っ! もう、俺が小説を書いたら『俺の姉がこんなに変態なんだけど、更生させるのは可能なのだろうか?』というタイトルにするよ!」


 悠の考えた小説のタイトルが、何かそれっぽい感じになる。

 姉と二人で異世界転生して、冒険しながら変態な姉を更生する物語だ。

 何だかんだ文句を言いながらも、悠にとっては異世界でも姉と一緒じゃないとだめなシスコンだった。




 百合華の部屋に入り準備を始める。

 ベッドにタオルを敷いて、アロマオイルやら小道具を並べ、準備万端になった百合華が脚を組む。


「さっ、マッサージして」


 まるで女王様のような迫力でベッドに座る姉に、悠は今すぐ膝まづいて足にキスをしてしまいそうになるが、ギリギリのところで踏みとどまった。

 悠も十分に変態さんなのだ。

 脚フェチになったのは百合華のせいでもあるのだが。


 足を組んで向けているので、足つぼマッサージをしろと言っているようだが、悠は姉を癒す為に普段からネットでマッサージを検索し調べているのだ。


「お姉ちゃん、マッサージは鎖骨付近からやるのが良いみたいだよ」

「そうなの?」

「ほらっ、横になって」

「え、えっ……」

「俺に任せて」


 毎回のように弟に陥落させられている百合華が少し警戒する。


「ユウ君……もしかしてオシオキしようとしてる?」

「ち、違うから。真面目なマッサージだよ」

「ホント?」

「ちゃんとマッサージするよ」


 悠が真っ直ぐに百合華を見つめると、照れてモジモジしながら受け入れてしまう。


「そんなピュアな目で見つめられたら、ユウ君のオシオキ……全部受け入れちゃいそうだよぉ……」


 マッサージだと言っているのに、オシオキされる気満々だ。

 もう、マッサージでもオシオキでもエッチなイタズラでも全部受け入れそうで怖い。


「あっ、ブラも脱いでね」

「ユウ君……大胆……」

「ちゃんとタオルで隠すよ」


 仰向けに寝た百合華の裸を見ないように、悠がタオルを掛けた。


「では行きます」


 悠がアロマオイルを手に取る。

 ネットの知識を見よう見まねで、先ずは鎖骨周辺のリンパを流すように、優しくゆっくりとマッサージしてゆく。


 すりすりすりすり――――


「うぅ~ん……気持良い……」

 エッチなオシオキを期待していた百合華だが、意外にも真面目で気持ち良いマッサージで声が出てしまう。


 次に首をマッサージする。

 疲れが溜まって良そうな首と肩を揉みこむ。


「そうそう……そこ……っ」

「お姉ちゃん、おっぱい大きいから肩こりなんだよね?」

「ユウ君のエッチ」

「ええ……」


 他の男にジロジロ見られるのは嫌なのだが、悠には見て欲しいのだから不思議なものだ。


 悠が小さい頃から、自分の胸をチラ見するのに気付いていた百合華は、偶然を装って胸を押し当てたり肩もみも頼んで、恥ずかしがる悠を見て楽しんでいた。

 その結果、悠は完全に姉のおっぱいの虜なのだ。


 すりすりすりすり――――


 マッサージは腋から腕へと続く。


「ちょとぉ、だめぇ~」

 弱点の腋を触られて、ビクビクとカラダが動いてしまう。


 はぁぁぁ……

 ユウ君のマッサージ気持ち良過ぎだよぉ……

 もう、全部触って欲しい……

 ユウ君の手が触れてない場所が無くなるくらいに……

 全て……

 ユウ君に、私の全てをイジって調整して欲しい……


 腋を触られて、ちょっとだけ百合華が危なくなる。

 悠の手が心地良すぎるのだ。


「次はおっぱいを揉むんだよね?」

「お姉ちゃん、エッチ動画の見過ぎ」


 悠は冗談で言っているが、百合華にとっては図星だった。

 エッチなマッサージ動画を見て、悠に触られる妄想ばかりしているのが百合華だ。


「ユウ君、たまには『百合華ちゃん』って言って」

「ダメだよ。もう旅行から戻ったし。学園で出ちゃったらマズいだろ」

「もぉ、ケチぃ~」


 帰宅してから『百合華ちゃん』と言ってくれずに、ちょっと寂しい百合華だった。

 何なら呼び捨てでも構わないのにとさえ思ってしまう。

 悠に名前を呼ばれるには、特別感があってニヤケてしまうほど嬉しいから。


 お腹のマッサージを終え、遂に脚を触り始める。


「「ごくりっ……」」


 姉の超魅力的な脚を前に、カラダの奥からゾクゾクと沸き上がるような感情に、悠が生唾を飲み込む。

 同じように、百合華も悠の手で陥落させられた経験から、期待と不安が交錯して生唾を飲み込んでしまう。


 悠は、カラダに掛けているタオルをズラすと、少し下着が見えている脚に手を伸ばした。


「んんんっ……」

 オイルを垂らすと、百合華の顔が快感で震え眉が歪んだ。


 すりすりすり、くちゅくちゅくちゅ――――


 アロマオイルを練り込むように、ムチムチでスベスベな百合華の太ももを揉みこむ。

 吸い付くような手触りで、いつまでも触っていたい気にさせてしまう魅惑の脚なのだ。


 太ももの付け根付近も弱点の百合華が、まるで押し寄せる快感に耐え続ける囚われの女騎士のようになってしまう。

 くっころ展開寸前だ。


 くぅぅぅぅぅぅ~~~~

 これ、すっごい……

 ユウ君の手がエッチなのもあるけど、オイルで滑りが良くなって余計に……

 たまんない……

 これ、毎日やって欲しいかも……


 百合華が盛り上がってしまっている頃、悠はひたすら精神集中していた。


 心頭滅却! 心頭滅却!

 雑念を捨てろ!

 俺は真面目にマッサージしているんだ。

 日頃の感謝でやっているのに、エッチな気持ちになっちゃダメだ。

 くぅ……

 お姉ちゃんの内ももが熱くなってきた。

 これ危険信号だ……


 悠は、長年の姉へのマッサージで、百合華の弱点や危険信号を熟知していた。

 内ももが熱くなるのは、かなり興奮している証拠だ。


 ダメだ……

 いつも我を忘れてモミモミしまくっちゃうから止めないと。


 すっ――――


 太ももから手を離し、ふくらはぎへと移る。

 これ以上は危険だ。


「ちょっと、ユウ君! 何でやめちゃうの? いいとこだったのに!」

「えええ……」


 まるでエッチなマッサージ店だと思って入ったら、健全店でガッカリしてしまう男性みたいなことを百合華が言い出した。


「だって、真面目なマッサージ……」

「ちょっとくらいサービスしても良いでしょ!」

「ダメです」

「ケチぃ~」


 日頃の感謝なのだが、姉の気持ちがどんどん昂ってしまう。

 お互いに限界なのに、余計に昂らせる事ばかりで想いが募る。

 こんなにお互いを刺激し合ってばかりでどうするつもりなのか。

 ただ、今日は日頃お世話になっている姉の為に、何でもして癒してあげたいと思う悠だった。

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