第83話 オシオキするつもりがオシオキされるお姉ちゃん

 百合華の浴衣が乱れる。

 さっきまでは大人っぽい色気を放つ、奥ゆかしくも内に秘めた淫靡いんびな匂いを閉じ込めた、浴衣でなければ醸し出せぬある種独特の雰囲気だった。

 ところが今は、はだけた浴衣からは黒いレースのセクシー下着が覗き、正に悪魔のような迫力を出しまくっている。


「ふふっ、ユウ君……見過ぎだよぉ」

「えっ、あの……」


 悠が浴衣から覗く百合華の胸をガン見してしまう。

 超魅力的な百合華の胸が、更に際立たせるセクシーな黒レースに包まれ、もはや裸よりエロい光景なのだ。

 トイレで息抜きしたはずの悠だが、既に賢者的な時間は過ぎ去り、超絶魅惑的な姉の姿に完全復活してしまった。


「くうっ、全然賢者じゃねぇーっ!」

「やっぱり……いけないんだぁ~次からは勝手にイケナイコトするの禁止にしちゃおっかなぁ~」


 それは鬼畜過ぎる。


「そんなの無理だって!」

「ふふ~ん、私がぁ、気持ちよくしてあげれば解決だよねぇ~」

「そ、そ、そんなのアウト過ぎるだろ! 何処に姉や嫁にアレをしてもらう男がいるんだよ」

「ここにいるよ」


 余り話を進めると本気でやりそうなので怖い。

 最近は少しだけイケナイコトタイムを作ってくれていたのだが、全て管理してOKとならば本当に毎日ピー自主規制してきそうなのがこの姉だ。


「ほらほらぁ、もっと見て良いよ。ユウ君に見せたくて持ってきた下着なんだから」


 悠の頭を抱きかかえて、自分の胸の方に持って行く百合華。

 胸に埋まりそうなほど顔を近づけられる。


 ううっ、凄い光景だ……

 それに良い匂いがする。

 お姉ちゃんの匂い、好き過ぎる……


 レースで透けているブラの柄は薔薇だった。

 そこは百合柄じゃないのかとツッコむところかもしれないが、肝心の悠が百合華の美しさに見惚れてそれどころではない。


 大事なところは隠れているのだが、その周囲は艶やかで張りのある胸が透けて見えている。

 完璧な曲線を描くように膨らむ美しい胸が、スケスケのレースの向こうに透けて見える光景に、完全に悠が魅了されてしまった。


 年頃の男子には、彼女が派手でエッチなセクシーランジェリーだと、『遊びまくっているのでは?』と心配になったり引いてしまうものなのだが、百合華に限ってはいつも家でゴロゴロしている上に、悠以外の男の影が全く無いのだから安心だ。

 思う存分、ドスケベ姉でドスケベ嫁のエッチな下着を堪能できる。


「どうかな?」

「凄く綺麗だよ。凄い……凄すぎる……」

「あ、あの、ユウ君……恥ずかしい……」


 自分から見せつけておいて、ガン見されると恥ずかしくなってしまう。


「ち、近い……ユウ君が近いよ……」

「はぁ……良い匂い……」

「ゆ、ユウ君……嗅ぎ過ぎだよぉ……」


 姉の匂いが好き過ぎて、胸から腋まで嗅いでしまっている。


「そ、そろそろ、オシオキを始めちゃおうかな?」

「うっ、何をされるんだ……」


 おもむろに悠の浴衣の帯を外すと、それで両手を縛りだす。

 悠に馬乗りになって動けなくさせてから縛る徹底ぶりだ。


 キュッキュッ


「え、ええっ! 何で俺、縛られてるの?」

「ふふふっ、ユウ君……キッツいオシオキって言ったでしょ」

「何するつもりなの!?」

「超恥ずかしくて、泣いて絶対服従しちゃいそうなのだよぉ」

「いやいや、怖すぎるわ!」


 悠の両手を縛ってから、自分の帯を取ると更に両足まで縛る。

 完全に身動き出来なくなってしまった。

 浴衣もはだけて無防備状態なので、今のままだと無抵抗でいじくり回されてしまいそうだ。


「ちょっと待って! マジで怖いって!」

「うふふぅ、可愛そうなユウ君……」

「だから何するんだって!」

「こうするんだよ」


 シュルシュル――――

 タオルで目隠しされてしまう。


「うわぁーっ! ホントに何されるんだよ!」

「はぁ……ユウ君、可哀想……素直に私とエッチしてれば、こんなに怖い思いをしなくても済んだのに……」


 さっきまで姉のオシオキ密かに期待していた悠なのだが、今までにない本格的な調教にビビりまくってしまう。

 毎回期待してしまうのだが、その都度予想を超えるエッチさに驚かされてきた。

 姉のせいで、どんどん変態にされているようで心配になる。


 つつつぅぅーっ……


 ビックンッ!

「ぐあっ!」


 突然、百合華の指がカラダに触れる。

 目隠しされているので、何処から攻撃が来るのか予想できず対処のしようがない。


「ユウ君、もうこれで何をされても抵抗できないね。

「ううっ……」


 つつっ――

「ちょっと! ダメだって!」


 ビックンビックンする悠を面白がって、百合華がアチコチを指で刺激する。


「そうだぁ、夕食の時の中居さんにも恥ずかしいとこ見て貰おうか?」

「は? はぁぁぁぁ!?」


 百合華が立ち上がると電話の内線を掛け始める。

 ピピピ――


「え? ちょっと! 冗談だよね?」


 待て待て!

 そんなまさか……

 あの独占欲の強いお姉ちゃんが、他人に俺の裸を見せるわけないはず……

 でも……

 本当に電話してるみたいだし……


「あ、すみません。夕食を担当してくださった中居さんに代わって欲しいのですが」


「は? まさか本当に?」


「あっ、先程はどうも。今から旦那を調教するのですが、もし良かったら見に来ませんか? 声を出さないように静かに入って来てくださいね」


「いやいやいやいや! 冗談だよね?」


 内線を切って悠の隣に戻ってくる。


「ユウ君、楽しみだね」

「冗談だよね?」

「さあ、どっちかな?」

「ちょっと!」


「あっ来たかな?」

「おい!」


 ガラガラガラ――――

 部屋の扉が空く音がする。


「まさか……本当に……」

「ふふっ、ユウ君の恥ずかしいとこを見てもらおうね?」


 百合華が悠のパンツに手を掛ける。


「ダメだから!」

「ユウ君、ふふっ、可愛い……」

「ダメ! 百合華以外に見せたくない! 俺は、一生百合華しか愛さないと決めたんだ!」


 悠の告白で静かになる部屋――――

 そもそも、最初から他の人の気配などしなかった。


「嬉しい! ユウ君、そんなに私のことを!」


 ぎゅぅぅぅぅ~

 柔らかで良い匂いに包まれる。

 そして、目隠しを外してくれた。


「えっと…………」

 悠が部屋を見回しても、二人以外は誰もいない。


「中居さんは?」

「じょ、冗談だよ。私が、ユウ君の裸を他人に見せるわけないでしょ」

「…………」

「ドッキリでしたぁ……って、あれ? ユウ君……怒ってる?」


 少し怒ったように見える悠が、そっぽを向いてしまう。


「あの……ごめんね……ユウ君?」

「…………」

「ユウ君……怒らないで……」

「もう、お姉ちゃんなんか知らない!」


 ふて寝するような感じに横を向いてしまう。


「わあああああっ、ご、ごめんね、ユウ君、怒らないで」


 手足の帯を外して何度も謝る百合華。

 ちょっと泣きそうだ。

 悪乗りしてやり過ぎてしまい、いつの間にか立場が逆転している。

 悠を溺愛する百合華は、悠に嫌われるのが一番怖いのだ。


「ねえねえ、機嫌なおしてよぉ……」

「つーん…………」

「ううっ……どうしよう……」


 実際のところ、悠はそれほど怒っていないのだが、ちょっとだけオシオキしたい気分なのだ。


「もし、俺が他の男に百合華ちゃんの裸を見せるって言ったらどう思うの?」

「ううっ……そうだよね。もう、あんな冗談は絶対しないから」

「じゃあ、オシオキ」

「えっ、あ、うん。いいよ。ユウ君が、いっぱいオシオキしてっ!」


 オシオキで許してくれるとなって、笑顔になった百合華が帯を手渡す。


 シュルシュル――――

 今度は百合華の両手両足が縛られてしまう。

 超絶セクシーな下着姿の姉が、ムチムチのカラダをぷりぷるんぷるんさせながら帯で縛られている姿は、たまらなく欲情的過ぎて直視できないほどだ。


「ユウ君……動けないよ……」

 いつの間にか逆転し、縛られて不安になる百合華。


「ふぅ……これでドスケベでイタズラばかりの百合華を、一晩中オシオキできるのか……」


 つつつぅーっ……


 ビックンビックン!

「あんっ!」


 仕返しとばかりに、悠が指先で百合華の脇腹辺りを滑らす。


「え? あれっ? ユウ君?」

「百合華ちゃん……今夜はキッツいオシオキだよ」

「は?」


 百合華は気付いた。

 騙されていたのは自分だと。


「あぁあああっ! ユウ君に騙されたぁ~」


 悔しそうにカラダをグネグネするが時すでに遅し。

 手足を縛られて動けない百合華は、徹底的で容赦のない執拗なエチエチ攻めをされる運命なのだ。

 ただ、悠が地上最強の姉に対してヘタれなければなの話なのだが。


「もう、ユウ君! 帯外して!」

「ダメ。外したら怒って反撃するでしょ?」

「し、しないよぉ……たぶん」

「たまには俺がオシオキしてあげるよ」

「あああああっん、姉の威厳がぁ~」


 ただでさえ超絶色っぽい百合華が、縛られて更に何とも形容しがたいエロス感を醸し出す。

 可視化出来そうなほどのフェロモンがムンムンと漏れ出して、いつもは大人しい悠が姉の色香にあてられて、ちょっとだけ大胆になってしまう。


「んっ、ちゅっ、ぺろっ……」

「んんんんんぁぁぁぁ~んんっ! ダメぇぇぇぇ~」


 上げていた百合華の髪が乱れ、蕩けた顔に垂れ下がって凄まじい色気だ。

 悠は、その髪をかき上げて、うなじや耳にキスをする。


「お姉……百合華ちゃんの耳、凄く綺麗だ……れろっ、ちゅぱっ」

「も、もう、だ、ダメぇ……そこ弱いの……」

「ならもっと舐めてあげるね。ちゅっ、ぺろっ、んっ……」

「んんんんんんんっ~~~~」


 もう夢見心地の悠が、丹念に姉の耳にキスしたりペロペロする。

 耳たぶをはむはむしたり、舌を尖らせ耳の穴をホジホジしたり、夢中になってしまう。


「今夜は一晩中、百合華ちゃんにキスしたりペロペロしてあげるね」

「あ……ああっ……」

「そうだ、目隠しもしないと」

「ああぁん、ヒドいよぉ~」


 百合華としては、自分が悠にしようとしていたオシオキを、まさか自分がされる事になるものとは思わなかっただろう。


「百合華ちゃんの腋……凄く綺麗」


 悠は姉の腋が大好きだった。

 昔から見せつけられて腋フェチになってしまったくらいなのだ。


「ここも舐めてあげるね」

「えっ、ユウ君、そこダメ……んんんっ!」


 バンザイするように両腕を上げたまま縛られた無防備な百合華の腋を、悠はペロペロと美味しそうに舐め続ける。


「ぺろっ、ちゅっ、つつぅ~」

「んんんんっ、んあっ、おほっ……」


 ゆ、ユウ君……

 もう……ダメぇ……

 お、おかしくなっちゃう……

 ゆ、ユウ君に堕とされちゃう……


 大好きな悠にキスやペロペロされて更け行く旅館の夜。

 普段は攻め攻めな百合華だが、意外とオシオキされるのも良いかもと、陥落する心とカラダの薄れゆく意識の中で思う。

 オシオキとか言いながらも、お互いご褒美のようなものなのだ。

 紆余曲折ありながらも、結局はラブラブな二人だった。

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