第82話 姉がドスケベ過ぎて将来が心配になる悠

「は~い、キレイになりましたぁ~」


 悪魔嫁百合華のテクニックでヘロヘロにされてしまった悠。

 危険な場所には一切触れていない健全な洗体なのだ。それなのに、極限まで快感を送り込む恐ろしいテクにより、もう悠は興奮し過ぎて陥落寸前まで追い込まれてしまった。


「ううっ……とんでもないお嫁さんだった」

「でも、気持ち良かったでしょ?」

「べ、別に……」

「あれあれぇ~そんなになってるのに?」

「うっわ、見るな!」


 百合華が前側を覗き込んでくる。


「もう、前言撤回。百合華ちゃんと結婚する人は夜が大変過ぎる!」


 さっきは『百合華ちゃんと結婚する人は幸せだね』と言っていた悠が、今度は『大変過ぎる!』に変わった。

 ドスケベ過ぎて百合華の旦那になったら苦労しそうだ。


「ああぁ~っ! それ、どういう意味よ!」

「そのままの意味だよ。百合華がドスケベ過ぎって言ってるの」

「もぉ~私、全然ドスケベじゃないもん。まだ全然本気出してないのに」

「へっ?」

「えっ?」


 一瞬だけ沈黙になる。


 えっ? あれ? お姉ちゃん……

 これで全然本気出してないって……

 本気出したらどうなっちゃうんだ?

 まてよ……

 もしかして、お姉ちゃんって、俺が想像しているより更に凄いドスケベなのでは?


 悠が先のことを考えて少し心配になる。

 結婚したら、超エロい精力絶倫姉に付いて行けるのかと。


「ちょ、ちょっとユウ君。何でそんな顔してるの? だ、大丈夫だからね。優しくするから。ユウ君は何も心配いらないからぁ」


 神妙そうな顔して悩む悠に、百合華が心配になって優しくなった。

 これで悠が『お姉ちゃんと結婚するのやめる』とか言い出したら、ショックでぽっくり逝ってしまいかねない。


「そ、そうだよね。心配いらないよね」

「そうだよ、ユウ君。えへへっ……」

「そうそう、百合華はドスケベだけど、お尻が弱いから少し攻め――って、いたた……」


 悠が余計な事まで言い出して、百合華に抱きつかれぎゅうぎゅう締められる。


「ユウ君、私の弱点とか調べなくてもいいから」

「は、はい……」




 髪を洗い終わった百合華が湯船に入ってくる。

 タオルを髪に巻き、ちょっと新鮮な印象だ。

 アップにした髪型も似合うかもしれない。


 ザバァァーッ!

 悠の脚の間に百合華が入り、湯舟の中で悠が後ろからハグするような形になる。


「ねぇ、ユウ君。ギュッてして」

「うん……」


 巨乳に手が当たらないように気を付けながら、恐る恐る両腕でお腹辺りを抱きしめた。


「もぉ~ユウ君ってば、そこお腹だよぉ」


 後ろにカラダを逸らして悠の方にもたれ掛り、そのまま背中を密着させた。

 頭を悠の肩に乗せ、百合華はキラキラした瞳で見つめたている。


「ちょっと、当たってるから……」

「だって当ててるんだもん」


 どんどん悠の方にカラダを預け、完全に悠の上に寝そべるような恰好になった。


「ほらぁ、ハグするならもっと上でしょ」

 悠の手を取り胸の方に持って行く。


「ちょっと当たる! 当たってる!」

「ふへぇ、ユウ君のも当たってるよぉ」

「だだ、ダメだから、限界だから」

「さっきから限界ばっかじゃん」


 百合華に引かれた手が下乳に当たってしまう。

 ぷにぷにと柔らかく、おもちのような感触がする。


「や、柔らかい……」

「ふふっ、ユウ君ったら……ねぇ、んっ」


 肩にもたれ掛った百合華が、くちびるを少し突き出す。

 キス待ちの合図だ。


「百合華ちゃん……」

「ユウ君……」


 お互い蕩けそうな顔をして見つめ合う。

 くちびるとくちびるが軽く触れあい、ただそれだけでカラダの奥に電流が走ったような快感が突き抜ける。

 大好きな気持ちと昂ったカラダの両方が、お互いの全てを欲しがってしまう。


「んっ、ちゅっ……んあっ……」


 最初は軽く触れるだけで、そこからついばむように、更に百合華が激しさを増し、舌を進入させて舐るように絡み合わせる。


「んんんっ! は、はげしっ……んっ!」

「んっ、ちゅっ、ちゅぱっ……んふぅ、ふうくぅんユウ君、んぁあっん……」


 百合華がカラダを回転させて向き合って抱きつく。

 目が♡になったかのように、完全に蕩けてしまっているようだ。


「えっ、あの、百合華ちゃん……」

「ユウ君……私、もう限界かも……」

「は? いや、マズいって」

「もぉ~むりぃぃぃぃ~」


 ザバァァーッ!

 湯船から立ち上がり、二つの大きな膨らみがプルルンっと揺れ、キュッとくびれたウエストからムチッとした尻までが丸見えになってしまう。


「うっわ! 見える! ダメだぁああっ!」

 悠は必死に目を背け見ないようにする。


「見て良いって言ってるのにぃ」

「すごっ、凄いデカい! じゃなくてダメだって!」

 やっぱり少し見ていた。


「ほらほらぁ~」


 百合華の腕が悠の首に巻きつき、ぎゅうぅぅぅぅ~っと絞め込まれる。

 悠の顔が柔らかなところに埋もれてしまった。


「んん~っ! もがぁあぁぁっ!」

「ユウくぅ~ん、もう楽になっちゃいなよぉ~」


 あああっ……

 ぷるぷるだぁぁぁぁ~っ!


「ふふっ、ユウ君……これでも我慢出来るのかな?」


 百合華が手を下に伸ばす。

 ギリギリあそこに触らないように、周辺をフェザータッチでコチョコチョと刺激する。


「うがぁぁぁぁ! もう、ホントにムリ」

「ふふふっ、遂にユウ君が限界に」

「ダメなのに……」

「お湯の中だとマナー違反だから、湯舟から出てしましょうねぇ」


 ドスケベ嫁がヤル気になってしまった。

 悠、絶体絶命のピンチだ。

 遂に悠のドーテーライフも終わりを告げようとしているのか。


 必死に前を隠す悠の手を、百合華が掴んで退けようとしたその時。

 隣の部屋のカップル風呂から、けたたましい嬌声が轟いてきた。


「あぁぁん、あんあんあんあんあんあんあん!」

「ええのんか! ここがええのんか!?」



「「………………」」


 完全に合体の雰囲気になっていた二人が固まってしまう。

 百合華に至っては、こっそり露天に持ち込んでいた0.01ミリ的なものに手を伸ばそうとしたところだった。


 隣の部屋の露天風呂とは壁で隔てられているが、外側が夜景が見えるように空いている為に、隣の声は丸聞こえなのだ。

 中年カップルと思われる隣の人達が、尚も激しくお突きあいしている。


「おっほぉぉぉぉぉーっ!」

「うおぉぉぉぉぉぉーっ!」


 ハッスルし過ぎのようだ――――



「えっと……出ようか?」

「う、うん……」


 完全にテンションが下がった二人が風呂から上がる。


「もぉぉぉぉ~ムードぶち壊しだよぉ~」

 せっかくのチャンスを邪魔されて、百合華が泣きそうだ。


「ははっ……お隣は夫婦なのかな?」

 反応に困った悠が呟く。



「どうだ、旦那とどっちがええんじゃ」

「あなたの方が〇っきいわぁ~」

 また、隣から声が聞こえてくる。

 どうやら不倫カップルのようだ。



「ゲス不倫かな?」

「もぉ! 何なのっ!」


 百合華が、ワイドショーを見た世の奥様方のようにカンカンだ。

 ただ、不倫に怒っているのではなく、悠とのエッチを邪魔された怒りなのだが。


 ――――――――




 風呂上がりの浴衣を着た百合華が、とんでもない大人の色気を出しまくって座っていた。

 髪はクルっと軽く巻いて上げていて、衣紋えもんが抜け襟足えりあしが開いて、綺麗なうなじが見えている。

 軽く崩した脚は裾が少し捲れて、白く美しい太ももがチラリと見えてフェロモンが溢れ出るようだ。


 ガラガラ――――


「百合華ちゃん、おまたせ」

 トイレに行っていた悠が戻る。


「ユウ君、やけにトイレ長かったね?」

「えっ、あの、その……ふ、普通だよ」

「ふぅ~ん、トイレで何かしてたのかな?」

「ギクッ!」


 トイレで何をしていたのかは秘密だ。

 お風呂で悪魔嫁の超絶フェロモンを受け、若い男子としては我慢の限界なのだから仕方がない。

 若さ故の自然の摂理なのだ。


「トイレなら部屋にもあるのに」

「ギクギクッ!」

「じぃぃぃぃ~っ……」


 ジト目で睨む百合華。


「あっ、そういえば……」

「誤魔化そうとしても無駄だよ」

「百合華ちゃんって、髪上げてるのも似合うよね?」

「えっ、そ、そう?」


 急に髪型を褒められて満更でもないようだ。


「凄く可愛い。こう、大人っぽいというか、セクシーというか。いつものサラサラロングも綺麗な髪が最高だけど、今の上げてるのも最高だよ。もう、百合華ちゃんは世界一可愛いよね」


「えぇ~もぉ~ユウ君ったらぁ、ふへへぇ~」


 完全に誤魔化されている。

 悠が褒めまくったら嬉しさのあまり、にへらにへらと顔が緩みっぱなしだ。

 実はチョロインかもしれない。


「それに浴衣が凄く似合う。こんなに浴衣が似合う人は百合華ちゃんだけだよ」

「ぐへへぇ~ ユウ君の浴衣姿も最高だよぉ」


 褒め過ぎてしまい百合華の心に火をつけてしまったのか、再びテンションが爆上げしエッチな顔で『ぐへへぇ~』っとにじり寄って来る。


「えっと、あれ? 百合華ちゃん……ちょっと館内でも散策してみる?」


 少し身の危険を感じた悠が姉を止めようとするが無理そうだ。


「ふふっ、ユウ君……ユウ君ってホントに良い子だよね」

「あの……外に出てみる?」

「ユウ君はぁ、お外でエッチしたいんだぁ~」

「部屋が良いです! 部屋にしてください!」


 もう最初から分かっていた事だが、出発時からムラムラしっぱなしの姉が、二人っきりの部屋でする事といえば決まっていた。

 室外でエロい事をされては問題なので、荒ぶるエロ姉は部屋に留まらせるしかないのだ。


 悠は、大人しくエロ姉からエロ嫁に進化した百合華のオシオキを受け続ける。それが運命さだめなのだ。

 上手く誤魔化せたかと思ったのは気のせいだ。


「ユウ君、今夜は一晩中可愛がってあげるからね」

「お、お手柔らかに……」

「ダメだよぉ、お嫁さんのオシオキは厳しいんだよ」

「そ、そんな……」

「もうっ、ユウ君が泣いて頼んでも許してあげないくらいの、すっごくエッチでキッツいのにしちゃうからねっ!」


 ぴったりとカラダを寄せ胸を押し付けつつ、悠の浴衣の襟元から手を突っ込んでさわさわする。


「さ、さっきは優しくするって言ってたのに」


 悠が、お風呂での会話を持ち出す。

 確かに、ドスケベ過ぎる百合華を恐れた悠に言っていた。


「それはユウ君が良い子にして私の言うコト聞いてくれたらなんだよ。ユウ君がぁ、素直にエッチしてくれれば、う~んっと優しくしちゃうよぉ。でもでもぉ、このままおあずけを続けるのならぁ、もうどうなっちゃうのか分からないからねっ!」


 百合華の浴衣が乱れると、黒いレースの下着が見える。

 ある意味、裸よりエッチだ。


「くっそ、やっぱりドスケベ百合華だ」

「ユウ君、いつまでそんなコト言っていられるかな?」


 家から遠く離れた旅館で二人、正に淫魔女王サキュバスロードとなったお嫁さん。

 エロ嫁のキツいオシオキを耐えきる覚悟の悠。

 と、いった様相に見えるのだが、二人共ただ単にイチャイチャしたいだけなのだ。

 オシオキなのに、悠にとってはご褒美でもあった。



 二人の心の声を拾ってみると――――


 ユウ君、ユウ君、ユウ君!

 もう、我慢出来ない!

 いい~っぱいキスして、いい~っぱいペロペロしちゃお!

 お風呂は邪魔されちゃって途中で……

 でもでもぉ、お布団では朝までずっとイチャイチャしちゃうもんねっ!

 それで、我慢出来なくなったユウ君が……きゃっ♡


 お姉ちゃん……

 どんなオシオキなんだろう……

 はぁ……お姉ちゃんのオシオキ楽しみ過ぎるよ。

 って、俺は何を期待しているんだ!

 我慢するって決めたはずなのに……

 でも、旅行の時くらいは……

 そ、そうだ、イチャイチャするだけなら良いよな。



 やっぱり似た者同士だった。

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