第69話 姉のイタズラは加速し、禁断の同級生プレイが始まる!

 スマホを手に取り画面を見ると中将貴美の名前が。

 百合華の前で貴美の電話に出るのを躊躇ちゅうちょする悠。


「ユウ君、電話出ないの?」

「え、えっと……」


 少しだけ画面を見つめてから、意を決して電話に出た。


 ピッ!

「もしもし」

『ちょっと、悠! 遅いじゃない! すぐ出なさいよ!」


 しょっぱなから少しキツかった。


「中将さん、暑いのに元気だね」

『はあ? あんたも元気出しなさいよ」

「俺は、これで通常モードなんだよ。それで、何か用なの?」

『あんた明日暇でしょ? プール行かない?」


 勝手に暇だと思われているが、実際のところ暇なので反論出来ない。


「えっ、プール…… それって、もしかして陽キャのパリピやウェイ系が、リア充の祭典で『バエー』とか言うやつ? そんなリア充スポットなんて冗談キツいぜ!」

『ちょっと何言ってんの? バカなの?』


 悠と貴美でプールの意味が違ったようだ。

 貴美は泳ぐ方のプールを言っているのに、悠は泳がない方のプールを言っていた。

 悠としては、間違えて映え重視の陽キャスポットなどに行ってしまったら、居心地悪くて帰りたくなってしまいそうだ。


『普通のプールに決まってんでしょ。アユ達が、あんたも連れて行きたいって言うから。か、勘違いしないでよね。私はどっちでも良いんだけど』


 貴美がツンデレキャラみたいなセリフを言っている。


「俺は……ぐはっ!」

『なに? どうしたの急に?』


 突然、百合華が悠の首筋にキスをした。

 電話中も悠から離れずに、腰に回した脚をガッチリとロックして離さないのだ。


「な、何でもないから」

『はぁ、怪しいんだけど? 変なコトしてないでしょうね?』


 電話の向こうの貴美が怪しんでいる。

 まるで悠が電話しながらイケナイコトをしているとでも言いたげだ。


「何もしてな、ぐっ、から……はぁ、何でもないよ……」

『怪しい……』


 ちゅっ、ぺろっ、つつぅ~っ――――

 百合華が調子に乗って悠の弱点を攻めまくる。

 首筋から耳の後ろに舌を這わせ、耳の中にまで進入させる。

 悠は貴美にバレないように必死で平静を装うが、微妙に変な雰囲気を出してしまっている。


 お、お姉ちゃん……

 何でイタズラしてるんだ……

 バレちゃうだろ。

 お姉ちゃんを放置して中将さんと話しているから妬いてるのか?

 それとも、さっき日記を見たのをまだ怒ってるのか?


『あ、あんたまさか……』

「いや、まさかって何だよ! 何も無いから!」

『やっぱおかしい……もしかして、わ、私の声を聞きながら……え、エッチなコトを?』

「してない! してないから!」

『うっわ、キモ…………でも……あ、あんたが私の罵声を浴びながら一人エッチしたいって言うなら、し、してあげなくもないけど』

「しないからっ! 勝手にドM認定しないで!」


 完全に誤解しているようだ。

 そして、悠がイケるようにサディスティックな罵声を浴びせてくれるらしい。

 悠の雰囲気が、より彼女のS性を目覚めさせてしまう。

 電話でイケナイコトの手伝いをしてくれる同級生女子というのもどうなんだ。


 むぅ~っ!

 仲良く(百合華の中では仲良く見える)話す二人にヤキモチを焼いた百合華が、更に攻撃の手を強めようと体勢を入れ替えた。

 悠のシャツを捲ると、お腹や胸に舌を這わす。


 つつぅぅぅぅーっ……ちゅ、ぺろっ、ぺろっ……


 ぐわぁぁぁぁ!

 何してんだこのエロ姉はぁぁぁぁ!

 バレちゃう!

 バレちゃうから!


『悠……あんたホントしょうがないわね。こ、今回だけなんだからね。ほらっ! 何してるのか言いなさいよ!』

「違うから! してないから! ちょっと今は忙しいから、また後にしてよ!」


 貴美まで興奮させてしまい、変な命令をしようとしてしまう。

 悠のシゴカレマスターは、やはりEXスキルのようだ。


 ちゅっ、ぺろっ、ちゅぱっ……ちろちろちろつつつっ~


「ぐっはっ! もうムリ! じ、実はエッチなアニメを観ていて、もう限界だから切るね。用件は後でLIMEで送ってくれ」


 エロ姉の変幻自在の舌使いに限界を感じた悠は、咄嗟にエッチなアニメで限界なことにしてしまう。


『ぷっ、あははっ、ダメっ、あっはははははは! あんた、何やってんのよ。ホントにシてたんだぁ。もう、アユとサーヤにも言っちゃうからね。明日は覚悟しときなさいよ! 詳しい時間はLIMEするから』


 ピッ!

 貴美は大笑いして電話を切ってしまう。

 S系女子の歩美と沙彩にまで告げ口されてしまえば、三人がかりでドS攻めされる事態になってしまいそうだ。

 特に沙彩は危険過ぎる。

 面白いネタを仕入れたと歓喜して、とことん追い込んでくる予感がした。



「………………」

「ちゅっ、ちゅっ、ぺろっ……んっ、ユウくぅ~ん」

「ちょっと、お姉ちゃん! 何やってんの!? 怪しまれちゃうでしょ!」

「だってぇ~ ユウ君が若い子と楽しそうにするのが悪いんだよぉ……」


 最初はイタズラのつもりだったのに、途中からは嫉妬でムキになっていたようだ。


「ふ~ん、ユウ君ってば、お姉ちゃんが仕事している時に、同級生の女の子とプールに行くんだぁ」

「うっ……それは……」


 悠は断ろうとしていたのだが、ペロペロ攻撃で断るタイミングを外し、結果的に行くような話になってしまった。

 いうなれば百合華のせいでもある。


「もうっ、ユウ君のばかぁ! 大好きなユウ君が他の女と遊びに行くのが、どれだけ残酷なコトか分かってるの? お姉ちゃんが同僚の男とプールに行くって言ったら、ユウ君はどう思うの?」


「ガアァァァァァァァァーン!」

 悠は、姉が同僚男性教師と仲良くプールに行く想像をして大ダメージを受けた。


 男『ぐははっ、明石先生、良い体してますねぇ』

 姉『いやですわ。そんなに見ないでください』

 男『おっぱいもケツも最高ですな。ほれほれ』

 姉『さ、触らないでください。ダメです!』

 男『減るもんじゃなしに、良いではないか、良いではないか』

 姉『ダメェェェェェェェーッ!』

 ※注意:悠の妄想です。


「絶対許さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーん!!」

「きゃっ!」


 突然、悠が絶叫して百合華がビックリする。

 悠の想像の中で、大切な姉がおさわりされてしまい大激怒なのだ。


「ううっ、俺のお姉ちゃんを……大切で大好きなお姉ちゃんを……神聖不可侵なお姉ちゃんを……プールなんて絶対許せない! あんなリア充ワールドに行ったら、ちちくり合ったり、ちゅっちゅしちゃったり、アレが〇〇してあんな事やこんな事をしちゃうんだよ!」


 悠が力説するが、最後の方は変な想像になっている。


「もぉ、ユウ君ってば、ヤキモチ焼いちゃって可愛いんだからぁ」

「お姉ちゃん……俺、プール行くのやめる。お姉ちゃんを悲しませたくないから」


 プールに行くのをやめると言い出す悠を、百合華が優しく抱きしめる。


 ユウ君……

 そんなに私のコトを大切に想ってくれているんだよね。

 大丈夫……

 ユウ君を信じているから。

 他の子と遊びに行くのはイヤだけど……

 すっごくイヤだけど……

 私の我儘でユウ君の行動や可能性を狭めたくない……

 ユウ君の青春や人生を縛りたくない……

 ユウ君は自由で伸び伸び生きて欲しいから……

 でもでもぉ~

 本当なら、一生部屋の中に監禁して、手錠で縛って動けなくして、完全に私だけのユウ君にして、ペロペロしまくって〇〇を搾り取って、毎日毎日『お姉ちゃんだいしゅき~』って言って欲しいのに!


 悠を大切に想う百合華が、悠が同級生とプールに行く事を許そうとする。

 自分のせいで、一度しかない悠の青春を壊したくないと。

 ただ、最後の方は危険な本音が漏れてしまうのだが。


「ユウ君、私に構わず遊びに行っても良いよ」

「えっ、でも……」

「せっかくの夏休みなのに、ずっと家に居たらダメでしょ。友達と遊ぶのも大切なんだから」

「お姉ちゃんは、それで良いの?」

「嫌だよぉ~私のユウ君がぁ~」

「どっちなの!?」

「プールに行くのは許可します。でも、その代わりユウ君には大サービスしてもらうから」

「お、おう」


 遊びに行くのは許可するが、代わりに大サービスをせねばならないようだ。




「ジャーン!」

 着替えた百合華が参上する。


「ぐっはっ! 凄い破壊力だ!」

 悠が鼻血でも出しそうなリアクションをする。


「どう? 似合うかな?」


 セーラー服姿になった百合華がそこにいた。

 クローゼットの中にあった、最近購入したコスプレ衣装のようだ。

 やたらとコスプレに拘りを持つ百合華だけあって、生地も厚めでしっかりとした作りになっており、各部のディティールも完璧で本物と見間違うほどだ。


 ただ、本物と違っているのは――――

 セーラー服を内側からパツパツに盛り上げる巨乳と、キュッと絞った腰から短めのプリーツスカートが捲れそうなほどプリッとした尻、スカートから突き出た魅惑的で艶やかなムチムチとした脚がエロ過ぎるのだ。

 そもそも、全体から湧き出る超エロティックなフェロモンが、とても学生とは思えない色っぽさを醸し出している。


「お、お姉ちゃん……もう、存在自体がエロ過ぎる」

「ちょっと、どういう意味よ! もっと、可愛いとか似合うとか言って!」


 悠の感想に、百合華がプンスカ怒ってしまう。


「うっ、か、可愛いに決まってるだろ。お姉ちゃんは何を着ても可愛いよ」


 最初から言えば良いのだが、やっぱり本音は可愛いと思っていた。

 超シスコンの悠はお姉ちゃん大好きで世界一姉が可愛いと思っているのだ。


「ほらほら、大サービスするんでしょ。今からは、お姉ちゃんは同級生の百合華ちゃんだよ。ちゃんと言って」


 やっぱり同級生プレイをしたいようだ。

 日頃から悠の同級生女子に嫉妬しているのは、自分が悠と同級生になってラブラブな学戦生活を送りたかったからなのだろう。


「ゆ、ゆ……百合華……ち、ちゃん」


 悠が真っ赤になってぎこちなく呼んでみた。

 姉に対して『ちゃん』を付けるのが、想像以上に恥ずかしかった。


「ユウ君! ちゃんとやって! もう一回」

「百合華ちゃ……ん……ダメだ恥ずかし過ぎる」

「ダメ! 大サービスするんでしょ! もう一回」

「百合華ちゃん……」

「もう一回!」

「百合華ちゃん」

「はい、もう一回!」

「百合華ちゃん」

「ほらっ!」

「百合華ちゃ~ん」


 何度も何度も練習させられる。

 これから更に恥ずかしい同級生プレイが始まるとも知らずに。

 ちゃん付けくらいで恥ずかしがっていては、百合華の超妄想プレイにはついて行けないのだ。


 姉のヤバい隠し撮りや日記の件もはぐらかされて、まんまと術中に嵌り恥ずかしいプレイをやらされる悠。

 色々と疑問にも気付かずイチャイチャは加速するのだ。

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