第62話 お姉ちゃんと朝まで強制密着刑
人は、限度を超えて愛し合えば合うほど、変なことをしてしまうのかもしれない。
公衆の面前でイチャイチャしまくったり。
人前でチュッチュしまくったり。
お外でエッチしてしまったり。
強烈に燃え上がっているカップルほど、傍から見たら意味不明な行動をしてしまうものだ。
そう、この二人のように――――
「ユウ君、何で先輩女子に抱きついちゃったの?」
「ちょっと、お姉ちゃん苦しいって……」
食事も終わり一息ついた二人は、リビングのソファーの上で絡み合う。
寝かせた悠の上に、百合華は仕事用のレディーススーツのまま乗っていた。
そろそろ暑くなってきた季節に、一日中着用し続けた黒パンストはムレムレで匂い立つ感じがする。
百合華は、わざと着替えずに蒸れたタイツのまま悠に乗っているのだ。
そんなマニアックな状況に、悠は恐る恐る聞いてみるのだった。
「あの、お姉ちゃん……着替えないの?」
「ユウ君、まだ質問に答えてないよね?」
「でも……」
「うんしょっと」
悠の上に跨った百合華が、両脚をソファーに乗せる。
そのまま足で悠の頭を挟んでしまった。
「うっわっ、見える! 見えてるから!」
蒸れたタイツ足が顔の近くにきて、香しい臭いが漂いドギマギしてしまう。
脚を開いたことで、短めのスカートの中からはパンスト越しの太ももが丸見えだ。更には、黒パンストのダイヤマチの向こうに、派手目の赤い布地が見えた。
普段は白系が多いのに、
「ふふふっ~ユウ君って、お姉ちゃんの足が好きなんだよね?」
「そ、それは……否定はできない……」
これまで何度も強烈な欲求と戦いながら、脱ぎ散らかした姉の下着やタイツを『くんかくんか』するのを我慢し続けてきたのだ。
人間離れしたフェロモンを放出する百合華は、脱いだ衣服の残り香でさえ凄まじい欲求を呼び起こしてしまう。
百合華は、わざと悠の目につくところに下着を置いて、こっそり観察するという変態的なイタズラを仕掛けて楽しんでいたのだが、尽く悠が試練に打ち勝ち耐え続けていた。
しかし先日――――
足つぼマッサージをしていた悠が、つい魔が差して姉の足を嗅いでしまい、それをバッチリ百合華に見られてしまったのだ。
もはや言い逃れは出来ない
「ほらほらぁ~ お姉ちゃんの足がユウ君の顔に乗っちゃうよぉ~」
「ぐっはぁぁぁ! やめろ! とんでもない悪魔姉だぁぁぁ!」
悠の顔の近くを、百合華が足をゆらゆらさせ、たまに接近させてすれすれを通過させる。
弟のフェチを開発してしまう困った姉なのだ。
こんなの恥ずかし過ぎて他人には絶対見せられないのだが、本人たちは実に楽しそうだ。
「ほら、ちゃんと説明して」
「だから……部活の勧誘から逃げようとして……」
「ほんと?」
「うん。エッチな意味じゃないから」
「なぁんだ、エッチな気持ちで抱きついたんじゃないんだね」
「そうそう」
「なら許してあげようかな……?」
「ほっ」
「だが、許さぁぁぁぁん!」
「どっちだよ!」
とりあえずエッチな意味のハグではないと知って安心する百合華。しかし、これでオシオキが終わるのは欲求不満なので、更にキツいオシオキをしようとするエロ姉だ。
最初から悠のことは信頼しているので、エッチなオシオキがしたいだけともいえる。
「それにしても、自分の匂いを弟に嗅がせようとする変態は、世界中探してもお姉ちゃんだけでしょ」
「ち、違うもん。ユウ君が『くんかくんか』するからだもん」
「もんとか言って可愛く誤魔化そうとしてもダメだよ。可愛いけど……。あと、たまに俺の部屋に下着が脱ぎ散らかしてあるし」
「えっと、それは……」
悠を『くんかくんか』ネタで追い込んでいたのに、逆に変態姉なのを追求されてしまう。
どっちも似たようなものだ。
そして、悠の部屋に下着が放置されているは別の理由だった。
「えっと、忘れちゃっただけだよ……」
「俺の部屋に下着を忘れるって……」
悠がジト目で見つめる。
「ほら、ユウ君が留守の時は、私がユウ君の部屋でくつろいでるからだよ」
単に留守中に悠のベッドでイケナイコトしまくって忘れているだけだった。
「俺のプライバシーはどうなってるんだぁ~!」
「ユウ君も私の部屋に入って良いからぁ~くんかくんかしても良いよぉ」
「俺の姉がヘンタイさん過ぎる……」
トンッ!
百合華が足を悠の胸元に乗せた。
「えっ、何? 何する気?」
「もぉ~ユウ君がいうこと聞いてくれないと、ホントに踏んじゃうよぉ~」
百合華の足が悠の顔に迫る。
黒パンストに透けて見える足の裏やつま先までも美しく、もうこのまま踏まれたらパラダイスなのではとさえ思えてしまうが、そんな変態プレイはアウト過ぎるだろう。
「待て、待って! それだけはぁぁぁぁ!」
ニマニマと笑顔の百合華が悠の顔を覗き込む。
もう完全に楽しんでしまっているようだ。
「うふふっ、じゃあコッチはどうかな?」
今度は、両足で悠の頭を挟むと、徐々にお尻が顔に迫ってくる。
スカートの中にパンストのダイヤマチやセンターシームがハッキリと見え、その下にちょっと派手な布地まで丸見えだ。
「おい、何する気だよ?」
「ふへぇ~ユウ君の上に座っちゃおっかなぁ~」
「うっわぁぁぁ~っ! もう何だこの変態姉はぁぁぁ!」
教室で竹川が言っていた通り『尻に敷かれる運命』なようだ。
物理的にだが――――
◆ ◇ ◆
暴走姉が遂にアブノーマルプレイをやってしまうのかと思いきや、冗談だったようで悠はすぐ開放してもらえた。
しばらく笑顔で悠の反応を楽しんでいただけのようだ。
今はいつもの優しい姉に戻り二人でくつろぐ。
「ほ、本当にされるのかと思っただろ」
まだドキドキが止まらず、悠はソファーでぐったりしていた。
「ごめんごめん。私がユウ君にヒドいコトするわけないでしょ」
「どうだか……途中まで本気だっただろ」
「だってユウ君の反応が良過ぎるんだもん」
百合華が悠を優しく抱きしめて頭をナデナデする。
「ユウ君のことは信じてるから。だってキャンプファイヤーの伝説なんでしょ。私とユウ君は永遠に一緒なんだよね。お姉ちゃんだけを愛するんだよね」
「お姉ちゃん……」
あの星空の下で誓った約束は忘れていない。
二人は永遠に一緒なのだ。
「ん? ちょっと待て。約束を信じているのに、何で俺はオシオキされてるの?」
今頃になって悠が気付いてしまった。
「そんなの、ユウ君をオシオキしたいからに決まってるでしょ」
百合華が平然と答える。
「いや、おかしいような……」
「おかしくないもん。ユウ君が他の子とイチャイチャするからだもん」
「えええっ…………」
「そこは可愛いヤキモチとしてスルーして欲しいかな?」
泣いたり怒ったりキッツいオシオキをしようとしたのも忘れて、すっかりお茶目な姉になって誤魔化している。
「はぁぁ? 『ヤキモチ』なんて可愛いもんじゃなかったような? 途中まで本気で踏まれるかと思ったのに。というか、まだ一線を超えていないのに先にアブノーマルなプレイをしたがるとかどうなんだ?」
釈然としない顔をした悠が、百合華にナデナデされて続けている。
嫉妬深い姉に振り回されているのか、それとも飴と鞭で調教されているのか、どちらにせよ天使のようで悪魔のような姉に
おもむろに百合華は立ち上がる。
「お姉ちゃんはお風呂に入ってくるから、ユウ君は休んでていいよ」
百合華が浴室へ向かう。
今夜も一緒にお風呂だと思っていた悠が拍子抜だ。
(あれ? 当然一緒に入るのかと思ってたけど……。今日はもう許してくれたのかな? 何だろう……あんなにキツいことされたりしたのに、一緒に入らないと思うと少し寂しいような……)
悠が気落ちしていると、一度リビングを出た百合華が再び戻って来て告げる。
「ユウ君、今夜のオシオキはかなりキツいから、今の内に休憩しておいてね」
「は?」
悠は知らなかった。
オシオキはこれからなのだと。
今までのオシオキとはレベルが違う、想像を絶するドスケベさなのだと。
◆ ◇ ◆
悠が風呂から出て二階に上がると、当然のように百合華に捕まり部屋に連れ込まれた。
もう観念した悠は落ち着き払い冷静だ。
(ふっ、ここで慌てたらお姉ちゃんの思うつぼだぜ。あれだろ、俺が反応しちゃうから余計に興奮させちゃんだろ。明石悠はクール弟で行くぜ!)
部屋に入ると、百合華はクローゼットから腹巻を取り出す。
「は? 腹巻じゃん」
「ユウ君、腹巻じゃないよ。ボディウォーマーだよ」
「いや、はらま――」
「ボディウォーマー!」
「……横文字になっただけのような?」
百合華は、悠のパジャマを脱がすとボディウォーマーを装着する。
そして、自分もパジャマを脱ぎ下着姿になってしまう。
「もう毎度のことだけど、服を脱ぐなって……」
何をするのか不安になる悠。
全く行動が読めない。
「このボディウォーマーは大きめサイズなんだよ」
「確かにユルユルだ……」
「これは、こうやって二人で使うと――――」
「は?」
百合華が悠に装着したボディウォーマーの中に潜り込む。
二人密着したまま『
「えっと……これは、いくらなんでも……」
「えへっ、朝までずっと一緒だよぉ~」
「うっわぁぁぁぁ~!」
クール弟でキメるはずが、予想外の展開で百合華を興奮させる反応をしてしまう。
「いやいやいや! おかしいって!」
「お姉ちゃんと朝まで強制密着刑でーす!」
「もう滅茶苦茶だぁぁぁぁ!」
そのままベッドに倒れ込み、布団に潜りこんでしまう。
本当に朝までこの格好で眠るらしい。
もう、訳が分からない。
今までの抱きつき攻撃とはレベルが違う。
ボディウォーマーでみっちりと強制的に密着させられ、肌と肌が隙間なくピッタリ張り付いている。
季節は少し暑くなっており、これでは二人とも汗でムレムレになってしまう。
悠は、姉の柔らかくて魅惑的なボディに完全密着し、姉の匂い包まれ気が遠くなりそうな感覚だ。
「ユウくぅ~ん、朝までずぅ~っとキスしてようねっ!」
「ああっ、もうダメかも……」
「ふふふっ、行くよ。ちゅっ……んっ、ちゅ」
「んんんんんっ~~~~」
超強力な百合華のフェロモンに包まれ夢の世界へと誘われる。
きっと今夜は良い夢が見られそうだ――――
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