第58話 嫉妬が暴走し過ぎて甘えん坊なお姉ちゃん
舞台は風呂から夕食へと移り、新婚さんごっこのような『あーん』で食べさせ合うプレイになった。
もちろん、百合華の脚はガッチリと悠の腰に回されている。
いわゆる『だいしゅきホールド』のような体勢だ。それもアクロバティックな『だいしゅきホールドあーん』だが。
前に百合華がダイニングのイスから転げ落ちそうになった教訓から、場所をリビングのソファーに移動していた。
ソファーに座る悠の上に百合華が乗り、ガッチリと腰をホールドして『あーん』し合っている姿は、傍から見たら鬼気迫るものがあるだろう。
人が見たら『あれ、絶対に入ってるよね』とか言われそうだが、そんなアウトなことはしていない。
あくまで健全に食べさせ合っているだけなのだ。
※セーフです。
「ほらぁ、ユウ君、ちゃんと『あーん』して」
百合華がニコニコとした笑顔で、箸にとったウインナーを食べさせようと迫る。
「うっ、毎度のことながら凄い迫力だぜ……まるでカマキリの捕食。カマキリ姉かよ」
「誰がカマキリ姉よっ!」
※カマキリのメスは狂暴で、交尾中にオスを頭からバリバリと食べてしまうのだ。今、まさに悠はエッチな顔をした百合華に食べられそうな勢いで迫られていた。
「お姉ちゃん、あんまり動くと危ないよ」
悠が百合華の腰に手を回して引き寄せる。
百合華が転げ落ちてテーブルの角に頭をぶつけては大変だ。
「あんっ、もぉ~ユウ君のエッチぃ」
敏感な腰回りを触られて、百合華がモゾモゾしながら文句を言う。
少し怒ったような感じを出しながらも、実際は『もっと触ってぇ』と思っていた。
「うっ、おっぱいが近い……」
大切な姉を怪我させないように引き寄せたのは良いが、目の前に巨乳が迫り更に興奮度合いが上がってしまう。
さっきから腰の上に乗った百合華のムチッとした尻がグリグリ動いて、際限なく刺激を送り込まれているのだから。
このままでは二回目の限界突破をしてしまうかもしれない。
「ふふっ、ユウ君はご飯よりおっぱいの方が良いでちゅか?」
「くっそ、そんなコトばかり言ってると、本当におっぱい飲んじゃうぞ」
悠が冗談交じりに百合華のTシャツを捲ろうとする。
「ちょっと、ダメ!」
「ほぉら、おっぱいが見えちゃうよ~ぴろぴろぴろ~」
「あぁん、ユウ君のエッチぃ~」
当人はノリノリなのだが、傍から見たら恥ずかしくてとても正視に堪えない光景が繰り広げられていた。
「もう、お姉ちゃんって、積極的なのに実際裸を見られそうになると恥ずかしがるんだよな」
「そ、そんなコトないもん」
「へぇ、じゃあ見ちゃおうかな?」
「ううっ……ユウ君のイジワルぅ~」
悠がちょっとだけエッチなイタズラをしようとしているのには理由があった。
さっきから百合華のムチムチ尻圧が凄くて、多少エッチなことをしてでも下りてもらいたいのだ。
このままではピンチなのだ。
しかし、百合華は悠の思惑とは正反対の反応をする。
「い、いいよ……ユウ君が見たいなら……」
顔を赤くして恥ずかしがる百合華が、抵抗を止め胸を突き出した。
「えっ、あれっ? その……」
悠が墓穴を掘って更にピンチになってしまう。
下はケツ圧、上はパイ圧。
完全に
彼我戦力差一万倍は有ろうかという百合華との戦いに於いて、戦力の乏しい悠が二正面作戦など不可能である。
圧倒的な百合華のエロさで
(どどどど、どうしよおぉぉぉぉ! お姉ちゃんがその気になっちゃった。 もう限界なのに! でも、これは天国なのかな? このまま、良い匂いがしそうなお姉ちゃんの胸に顔を埋めてしまえば……)
悠が陥落寸前だ。
だが、悠は気付いていなかった。ここから形勢逆転させる必殺の戦法を。
攻撃力だけ最強で防御がよわよわな百合華は、悠にちょっと攻められるだけでヘニョヘニョになって堕ちてしまうことに。
しかし、そこはやはり
攻めに転じるべきなのを気付かず、姉の猛攻に敗北を受け入れてしまった。
「も、もう許して。何でもするから」
「はいっ、『何でもする』いただきましたぁ~」
悠が降伏し何でもするを受け入れてしまう。
何でもすると言っても、普段から何でもさせられているので同じなのだが。
ともかく、こうして姉の威厳は守られたのだった――――
「そ、それより……早く食べないとご飯が冷めるぞ」
「あっ、そうだね。食べよっ」
とりあえずご飯を食べることにした。
◆ ◇ ◆
食後はやっぱりイチャイチャタイムだ。これは外せない。
「むふぅ~ユウくぅ~ん……こちょこちょ」
「わあっ、触るな」
百合華が悠にひざ枕されてご満悦だ。
そして、たまに悠の体をコチョコチョと触るイタズラをしていた。
「お姉ちゃん……ホントに全部やる気なのか?」
「姉裁判は絶対なんだよ。ユウ君は、連結刑全てを執行されるんだよ」
「横暴過ぎる……暴君姉かよ」
「姉法第九十七条によって、弟は姉に絶対服従って決まってるの」
「何の法律だよ! そんなのは無ぇ!」
「ついでに、弟は一切の戦力を保持せず、無防備無抵抗で姉に攻められる運命なんだよ」
「自衛権は認められるべきだぁ~」
訳の分からないことを言っているが、幸せそうにゴロゴロする百合華を見ていると全てを許してしまいそうになるから不思議だ。
悠は、自分の上に乗っている百合華の頭をナデナデしてみた。
「はぅ~ん、ユウ君、それ反則すぎぃ~」
「はいはい、このまま大人しくしててね」
トロトロに蕩けた百合華が、悠の体を這い上がり抱きつく。
「もぉ~ユウ君ってばイジワルなんだからぁ」
「ちょっ、またかよ」
「んっ!」
オヤクソクのように口を尖らせる百合華。
キスをせがむ合図だ。
「ちゅっ、んっ……」
悠の首に両腕を回して、こねくり回すような熱いキスをする。
「ちょっと、お姉ちゃん。いくら何でも甘えすぎだろ」
「だってぇ~ ユウ君が他の子と……」
「何もしてないのに」
「ダメぇ、他の女がユウ君に触れるだけでイヤなの」
「厳しすぎる……」
甘えん坊姉になった百合華が、悠の胸に顔を寄せてスリスリする。
「しかし、家と外でこんなに性格が変わるのは凄いよね」
「外じゃイチャイチャできないから家でやってるんだよ」
「そうだけど」
「はい、じゃあ次はマッサージね」
百合華が足を悠へと向ける。
「先ずは足つぼマッサージからだよ」
官能的な曲線を描く脚から、足の指やつま先や足の裏までも美しい。
魅力的過ぎる足を顔に向けられて、悠はゾクゾクとした感覚になってしまう。
いつもの黒タイツ足も素晴らしいが、生足も超破壊力の魅力だった。
「ほらほら、早くぅ」
「くっ、横暴だぜ……」
文句を言いながらも、本心では『こんな魅力的な足を触れるなんて最高だぜ』などと喜んでいる悠だった。
「じゃあ行くよ」
ソファーに寝転ぶ姉の足を取る。
そのまま足つぼをフニフニと押してみる。
「んぁ、んん~っ、気持ち良いぃ~」
「どう? こんな感じ?」
「そうそう、良いよぉ~林間学校で脚がぱんぱんなの」
「歳のせい――ぐえっ!」
悠が余計なことを言い、百合華のもう一方の足が飛んできた。
悠は百合華の脚をキャッチする。もう、暴れないように姉の両脚を腕でホールドしてしまう戦法だ。
「もう、大人しくしてろよな」
ホールドしたことで眼前に百合華の足がきてしまい、悠は大好きな姉の匂いを嗅いでしまいたくなる。
(いや待て! あまり変態的なのはダメだぜ……。ああっ、でも、お姉ちゃんの足が……ちょっとだけ……)
くんかくんか――
あれ?
お風呂に入ったからなのか匂いがしないな……
「ユウ君…………」
ふと姉の方に目を向けると、振り向いている百合華と目が合ってしまう。
「えっと……これは、その……」
「恥ずかしいから嗅いじゃダメだよ」
「ううっ……ごめん……」
決定的瞬間を見られてしまった。
「ユウ君って、お姉ちゃんの匂い好きなの?」
「うっ……その……お姉ちゃんは全部好きだよ」
「やっぱり……私の下着を、くんかくん――」
「してないから!」
「今度、使用済みを――」
「要らないから! 変態過ぎるよ!」
変態なのはお互い様だった――――
足つぼを終え、ふくらはぎを丹念にマッサージして、続いて太ももへと移る。
芸術的なまでに美しく官能的なほどに魅惑的な、細すぎず太過ぎず完璧な肉付きのムチッとした脚をモミモミする。
しっとりスベスベで吸い付くような肌触りだ。
(凄い柔らかい……おもちみたいだぜ……。はぁ……ずっと揉んでいられるぜ……)
悠が夢の世界に旅立ちそうなほど百合華の脚に夢中になっている時、百合華の方は色々と危険な状態に陥っていた。
ぎゅっぎゅっとモミモミされる度に、ビクッビクッとカラダは痙攣し息も荒くなってしまう。
悠の手が、太ももの付け根を丹念にマッサージする。
リンパが多い重要な場所だ。
若干夢見心地な悠が、真剣に丁寧にモミモミしている。
「ゆ、ユウ君……そこ……ダメぇ」
「えっ、お姉ちゃん。どうしたの?」
「んんんんっ~~~~」
悠の場合は『俺、また何かやっちゃったの?』ではなく、『お姉ちゃん、急にどうしちゃったの?』だ。
「もうっ、ユウ君やりすぎ」
「お姉ちゃん、汗が凄いよ」
「汗じゃないから!」
「ええっ、汗じゃないの?」
「汗だからっ!」
「どっちなの……?」
「と、とにかく一旦休憩」
そう言って、百合華はトイレに行ってしまう。
ポカンと姉を見送る悠。
また、無意識の内に百合華を追い込んでしまったようだ。
相変わらず最強なようでいて、よわよわな百合華だった。
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