第53話 熱情に身を焦がす淫乱悪魔鉄槌の一夜エインヘリアル編

 林間学校一日目のスケジュールも終了し、あとは各自ロッジで入浴と就寝を残すのみとなった。

 生徒達は男女に分かれそれぞれのロッジへと向かう。

 そんな中、悠は班員の女子達にジャージを掴まれ、逃げられないように囲まれていた。


「あ、あの……何で俺、捕まってるの?」

 悠は素朴な疑問をぶつける。


「もうちょっとくらい良いでしょ。ゆっくりしていきなさいよ」

 さっきから拗ねた表情の貴美が放そうとしない。


「へへっ、あたしらの部屋に上がってけよ、明石ぃ」

 真理亜は、悠を引っ張って自分達のロッジに連れ込もうとしている。


「いや、待って。女子の部屋に上がるのはマズいって」


 悠が自分の部屋に戻ろうとするが、笑顔の真理亜は放してくれない。


「あーあっ、明石君かわいそ。皆に恥ずかしいコトされちゃうんだ」

 歩美がとんでもない事を言い出す。


「ふふふっ……楽しみね……明石君の恥ずかしい顔、いっぱい見せてね」

 沙彩が耳元で恐ろしい事を囁いてくる。


「ちょっと、何なのこの扱い」


 まるで、悠の貞操が風前の灯火のようだ。


 ううっ……

 良かれと思って女子に親切にしてたのに、余計にアタリがキツくなっちゃったじゃないか!

 どうなってんだ、うちのクラスの女子は!


 悠は勘違いしていた。

 自分への扱いがヒドいと思っているのは間違いで、実は強気女子達に気に入られてしまったのだ。

 モテないと思っているのは本人だけで、一部の変わった女子にはモテてまくっていた。


 強気女子四人に囲まれた悠が、最後の砦である黒髪を風に揺らし清楚な佇まいの葵に声をかける。

「六条さん!」


 葵はクールな顔で悠を見つめると、少し頬を染めて話し出す。

「明石君……私も、ちょっとそういうのに興味あるかも」


 あまり清楚じゃなかった――――


 ちょっと、六条さんまで……

 エッチなのは苦手とか言ってなかったか?

 実は清楚に見えるだけでムッツリなのでは?



「あなた達、もうすぐ消灯時間よ。遊ぶのは明日にしなさい」


 悠が女子の花園へと連行されそうになっていると、不機嫌な顔をした百合華先生が現れる。

 大切な弟が女子達に一日中ベタベタ触られて、嫉妬やら独占欲やらが色々ぐちゃぐちゃで、一刻も早く悠を独り占めしたいのだ。


「はーい」

「ま、しゃーねーか」

 貴美と真理亜が手を放す。


「明石君、部屋に戻ったら説教ですからね!」

 もう嫉妬で爆発しそうな百合華が、死刑宣告の様に悠に告げる。

 オシオキ確定だ。


「ううっ……毎度の事ながら理不尽だ」



 百合華が悠を連れて部屋に向かう途中、百合華が周囲に人が居ないを確認すると、顔を悠の耳に近付けて囁く。


「ユウ君、何で班の女子とずっとイチャイチャしてるの? わざとなの?」

「ち、違うから」

「だってだってぇ、あの子達、ユウ君をベタベタ触ってたでしょ」

「からかってるだけだよ」

「うそ、わざとお姉ちゃんに見せつけてイジワルしてたんでしょ」


 林間学校の途中だというのに、もう百合華の我慢も限界になってしまう。

 もう、思いっ切り悠を抱きしめてキスしまくって、ユウ君成分を補充しなければおかしくなってしまいそうなくらいに。


「とにかく、部屋には末摘先生も居るんだから、変なコトしないでよね」

「ふぅ~んだ、ユウ君が声を我慢すれば良いんだもん」

「そ、そんなのムリに決まってるだろ」


 百合華は自重する気は無いらしい。

 本当に先生の前でエッチなコトをしそうな勢いだ。


「ぐっ……そ、それを言うなら、お姉ちゃんもエッチなジャージを着てるだろ。男子達がエロい目で見てたんだから」

 悠も嫉妬で文句を言う。


「えええぇ~だって、支給されたジャージのサイズがこれしかなかったんだもん」

「大きいサイズに交換してもらってよ」

「ヤダ! 大きいサイズだと太って見えちゃうから」

「そんな……」


 巨乳あるある――――

 胸の大きな女性は、胸に合せて大きめのサイズの服にすると、お腹周りの生地が広がり太っているように見えてしまい、体に合せたサイズの服にすると、胸がより強調されて異性からエロい目で見られ同性からも叩かれるのだ。


 色々と苦労が多いのだ。だから二次元で乳袋とか胸を強調しているのは仕方がないのである。



「男子が皆、お姉ちゃんの胸ばかり見て嫌なのに……」


 悠が少し拗ねた顔をする。

 大切な姉が男子達に一日中エロい目で見られて、嫉妬やら独占欲やら色々ぐちゃぐちゃで、一刻も早く百合華を独り占めしたいのだ。


「もぉ、ユウ君ってば、後でいっぱい触らせてあげるからぁ」

「さ、触らないから! ダメだよ」

「ユウ君は真面目だなぁ」




 悠達がロッジに入ると、既に室内に居た花子が笑顔になった。


「あ、明石君、よろしくお願いしますね」

「先生、おじゃまします」


 花子とは自宅に泊めた事も有り、何だか不思議な感じになってしまう。

 同級生女子五人との相部屋は回避したが、年上女性二人との相部屋に、悠は少しだけ緊張していた。


「末摘先生、先にシャワーどうぞ。私と悠は後でいいですから」

 百合華が花子を先にシャワーを勧める。


「そ、そうですか。ではお先に失礼しますね」

 そう言って、花子がシャワー室に入った。


 ロッジにはベッドや冷暖房の他に、シャワーと水道が完備されている。

 シャワー室は、ドアを閉めると中からは外の状況は見えなくなるようだ。


 ジャァァァァァァァァ――――


 花子がシャワーを使い水音が聞こえてくると、百合華が一気に悠との距離を詰め抱きついた。


「ユウくぅ~ん、もう、お姉ちゃん我慢出来ないよぉ~ んっ、ちゅっ……ちゅぱっ」


 昼間の欲求不満が溜まっていたのか、猛烈なキスをおみまいされる。


「ちょ、待って! 先生が居るのに」

「シャワーの音で聞こえないよ」

「でも、林間学校だし……」

「大丈夫。もう就寝時間だから、労働基準法第34条により規定上は休憩時間になりまーす」


 何やら法律を出されて悠が困惑する。

 難しい用語で誤魔化されている気もするのだが。

 とにかくこの姉は、悠とイチャイチャする為なら、やたらと頭の回転が良くなるのだ。


「昼間はちゃんと先生してたでしょ。お休み中はユウ君のご褒美が欲しいなっ」

「いいのかな……林間学校中に」

「何かあったらすぐ対応するから大丈夫だよ」


 柔らかなカラダで抱きしめられ、両腕でまさぐられるように何度も背中に手を這わせ、ギュウギュウと強く腕に力が入る。

 そして、強く熱く貪るように、くちびるを吸われた。


「俺……今日は汗かいたから……」

「ふふふっ、ユウ君の汗も舐めちゃお……ぺろっ」

「ちょっと、恥ずかしいって」


 悠の首筋や耳の後ろなど、汗をかいた後まで舐められてしまう。

 恥ずかしさで悠が見悶える。


「ダメだって、そんなとこ舐めちゃ……」

「んあっ、ちゅっ、んんっ……ちゅぱっ、ユウ君、大好き♡」

「ちゅっ……ちゅぱっ、お姉ちゃん……」


 そのまま百合華に引っ張られ、シャワー室の前まで連れて行かれる。


「えっ、あれっ?」

「ふふっ、先生に気付かれちゃうかもよ」

「は? ええっ!」

「ユウくぅん♡ ちゅっ、ちゅぷっ」


 悠をシャワー室の扉に押し付けると、猛烈なキスの嵐が襲い掛かる。

 くちびるに、頬に、おでこに、耳に、首筋に――――


「ううっ、ダメだよ……聞かれちゃう……」

「んあっ、ちゅっ、んちゅ、ぺろっ、ちゅぱっ」

「ぐあぁぁぁぁ~~~~っ」

「ぐへへ~ ほぉら、ユウくぅ~ん。声出すとバレちゃうよぉ~」

「ぐぁぁ……と、とんでもない悪魔姉だぁ……」


 ジャァァァァァァ――――ピタッ


 シャワーの音が止まり花子が出そうな気配がすると、一瞬で百合華が悠から離れベッドに腰かけて澄ました顔になる。

 もう神業のようだ。


 ガチャ!

「お先にシャワーいただきまました」

 ほんのり湯上りで赤くなった花子がシャワー室から出てきた。


「あら? 明石君、どうしたんですか? そんなところに立ったままで」

 赤い顔に手を当て立ちすくむ悠に花子が声をかける。


「い、いえ、何でもないです……」

 色々と羞恥心が限界の悠は、赤い顔を隠すのが精一杯だ。




 悠と百合華もシャワーを浴び、同じベッドに横になる。

 もう悠は心臓が張り裂けそうなくらいにドキドキしていた。


「はうっ、ほ、本当に姉弟で一緒に寝ちゃうんですね……禁断の……ごくりっ」

「ち、違います! いやらしくないですから」


 花子がエッチな妄想をしてしまい、百合華が必死に否定する。

 実は、どちらもドスケベな妄想ばかりしている『おねショタ』大好き女教師だった。

 だいたい考えている事は同じなのだ。


「ほら、悠、大人しく寝るのよ」

 百合華が悠を壁際に押し込んで、花子側から見えないように隠してしまう。

 そのままグイグイと悠をお尻で押して刺激する。


「うっ…………」


 ただでさえ興奮でドキドキが止まらないのに、更にムチッとしたお尻でグイグイと押され、一瞬気が遠くなりそうな感覚になった。


「あ、あの、私はお花を摘みに……」

「はい、お気をつけて」


 末摘花子だけに花摘みにと思われそうだが、この場合はトイレで用足しだった。

 アラサーだけどメルヘンチックで穢れなき乙女なのだ。

 ただ、妄想の中ではドスケベに悠をペロペロしまくっているのだが。


 ガチャ!


 花子が出て行った途端に、百合華の腰つきが激しくなる。

 グイグイグリグリと大きな尻を悠のあそこに押し付け、限界近くまで追い込んでしまう。


 ぐあああっ……

 ダメだ!

 バレちゃう!

 先生が見ているのに……

 ここで爆発しちゃダメだ!

 爆発しちゃダメだ!

 爆発しちゃダメだ!

 爆発しちゃダメだ!

 爆発しちゃダメだ!

 爆発しちゃダメだ!


 ※いや、逃げてもええんやで……


 悠は、花子がトイレに行ったのも気付かず、ひたすら姉の猛攻を耐え続けていた。

 もう、魂は英霊戦士エインヘリアルとなり世界樹ユグドラシルを上り主神宮殿ヴァルハラへと至るように。

 さしずめ追い込んでいる百合華は、美しき戦乙女ワルキューレといったところか。


 悠の頭の中では、既に異世界に旅立っているようだ。

 そもそも、姉の尻を避けたり止めたりすれば済む話なのだが、あまりにも魅力的な尻を無防備に受け続ける悠だった。

 自業自得である。


 激しい百合華の動きにシャツが捲れ、白く一点の曇りもないスベスベな背中が見えてしまっている。

 意識が飛びそうな悠は、無意識に吸い寄せられるように姉の背中に顔を付けた。


「ちゅっ――――」

 そして背中にキスをした。


 ビックゥゥゥゥゥゥゥーン!

 予期せぬ反撃に百合華のカラダがビクビク痙攣する。


「ちょ、ちょっとユウ君。なにしてるの」


 悠の意識は遠く離れたヴァルハラなのだ。

 百合華の問いかけには答えない。


 ガチャ!

「もどりました」

 タイミング悪く花子が帰って来た。


「あれ? 師匠、どうかしましたか?」

 百合華の様子がおかしいのに気付き心配する花子。


「な、何でもないですよ……あっ、んっ……」

 悠に背中をキスされたりペロペロされ、ビクビク痙攣する百合華。


 攻めまくっていたはずが形勢逆転して大ピンチになってしまう。

 先輩教師に見られたまま、敏感な背中を攻められ快感と背徳感で陥落しそうになる。

 果たして、この絶体絶命の状況を、百合華は覆す事が出来るのだろうか。

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