第43話 境界線が無くなって全てが溶け合いそうな溺愛のキス
腕に抱きつきスリスリしながら、百合華がお風呂で洗いっ子をご所望する。
学校で悠が同級生と仲良くしているのを見て、嫉妬やウズウズした感情でスキンシップしまくりたいのだ。
外では美人でカッコイイ大人の女性なのに、家の中では嫉妬深くてちょっと子供っぽい姉だった。
悠には、そのギャップも可愛く見えてしまうのだが。
「ほらぁ、ユウくぅ~ん。一緒に入ろうよぉ」
抱きついている腕を、ギュッとして胸を押し付ける。
「お、お姉ちゃん……今日、学校で不純異性交遊は禁止だと言ったばかりなのに」
悠が、昼間の姉の発言を指摘する。
「そんなの当たり前でしょ。私は先生なんだから、よそ様の青少年を預かっている教師として生徒を監督する義務があります」
百合華がマトモな事を言っている。
まるで本物の先生のようだ。
「あ、あの……俺は?」
「ユウ君は弟でしょ! 弟は姉の命令に絶対服従ってルールがあるのっ! それにユウ君は私のなんだから、私が好きに何してもOKなのっ! あと、不純異性交遊じゃなく本気なんだから合法なのっ! 将来結婚決定なのぉぉぉぉ~っ!」
百合華女王の独断にて合法との結論になった。
そして結婚も決定しているらしい。
「け、け、結婚…………」
悠が姉との結婚を思い浮かべる。
お姉ちゃんと結婚……
幸せなスイートライフ……
毎日ラブラブで甘々でイチャイチャで……
エッチは一日二回で……
天国やぁぁぁぁぁぁ~
考えている事は殆ど百合華と同じだった。
血は繋がっていないのに似た者姉弟だ。
だが、エッチ以外は今でも毎日しているのだが……
い、いや、待て!
今、俺が欲望のままに突っ走り、お姉ちゃんの立場が危うくなったら……
ここで流されてエッチしてしまったら、一人前になるまで我慢すると言ったのが嘘になる。
俺が耐えれば良いんだ。
一番大切なのは、お姉ちゃんなのだから。
でも……
お姉ちゃんが魅力的過ぎて、こんなの地獄だぁぁぁぁ!
もう、天国なのか地獄なのかわけがわからなかった。
「うあぁぁ! さっきの、お姉ちゃんのお尻が脳裏に焼き付いて離れないぜ!」
つい、興奮した悠が声に出してしまう。
百合華のお尻が魅力的過ぎるのが全部悪いのだ。
「ユウ君……さ、さっきのは忘れて欲しいな……」
真っ赤な顔を手で隠して百合華が恥ずかしがる。
非常に昂って大変なことになったまま悠に乗ってしまい、自主規制な感じになってしまったのだ。
何を言っているのか分からないかもしれないが、ありのままに起こったことを説明すると規制対象になりそうなのでご容赦なのだ。
「決めたっ! 一線は超えないように我慢する。でも、お姉ちゃんに喜んで欲しいから、一生懸命ご奉仕するよ。お姉ちゃんが満足するまで背中を流すから」
悠が俄然やる気になった。
滅茶苦茶エッチしたいのを我慢して、それでもイチャイチャしたいという結論が、ご奉仕して姉に喜んで欲しい想いになる。
進学して同級生女子と遊んでしまったりで、大好きな姉に申し訳ない気持ちもあった。
とにかく姉に喜んで欲しいのだ。
「ユウ君、急にサービス精神旺盛に……」
「うん、女子とカラオケ行ったり遊んだりして、お姉ちゃんに悪いから」
「………………ユウ君、女子とカラオケ行ったんだ」
悠が墓穴を掘ってしまい、百合華の眉がピキピキっとしてしまう。
自分も上司や同僚と歓迎会で飲みに行ったのに、悠が他の女と遊びに行くのは許せない感じなのだろう。
「あ、ヤバっ……」
「ユウ君、若い子と遊びたいんだ……?」
「ち、違うから。と、とにかくサービスするよ。ほらっ、入って。俺は後から入るから」
余計に嫉妬させて怒り出しそうな百合華を先に浴室に入れて、悠は一旦外に出た。
百合華は服を脱いでから、いつもの水着が無いことに気付く。
たまに悠の風呂に突撃する時には、装着している際どいビキニだ。
攻める時だけ最強で、受け身に回ると急によわよわになる百合華が動揺する。
どどど、どうしよう……
水着がないと全部見られちゃう……
もしユウ君が、私の裸で興奮して……
猛り狂った大人なあそこで……
そ、それはそれでちょっと期待しちゃうけど……
ちょっと期待していた――――
い、いや、待って!
今、私が欲望のままに突っ走って、ユウ君の立場が危うくなったら……
ユウ君は一人前になるまで我慢すると誓ってくれたのに、私が無理やり誓いを破らせることにしちゃったら……
私が我慢すれば良いはずだけど……
一番大切なのは、ユウ君なんだから。
でもでもぉ~
ユウ君がが魅力的過ぎて、こんなの地獄だよぉぉぉぉ~っ!
普段、勝負と言っては誘惑しまくってエッチさせたがるように見える百合華だが、ちゃんと悠の事を第一に考えていた。
悪魔姉に見えて、本当は天使姉なのだ。
しかし、実際は有り余る性欲が制御不能限界なドスケベ姉でもある。
「お姉ちゃん、入るよ」
浴室のドアの向こうから悠が声をかけた。
「ゆ、ユウ君、ホントに入っちゃうの? さ、先っちょだけなら……」
ガチャ!
浴室のドアを開けて悠が入る。
百合華が意味不明なことを言っているが、悠はスルーしていた。
「お姉ちゃん、これなら何も見えないから大丈夫だよ」
悠は、タオルで目隠しをして、姉の裸を見ないように配慮したのだ。
前が見えない為に、手探りで浴室を歩く。
ゆゆゆゆゆゆ、ユウ君!!
目は隠してるけど、あそこを隠してないよぉぉぉぉーっ!
わんぱくなのが丸見えだよぉぉぉぉぉぉ~
百合華が心の中で絶叫した。
「あれ? お姉ちゃん、どこ?」
「ち、ち、ち、近い! ユウ君、あれが近いからっ!」
手探りで歩いていたら、姉の顔にぶつかりそうになってしまう。
さわさわ――――
悠の手が百合華の頭に触れた。
「あっ、お姉ちゃん。ここだここだ」
「ゆ、ユウ君……今、どんな状況か分かってる?」
「えっと、目の前にお姉ちゃんがいるから、今から背中を流すね」
「いや、だから……お、大人すぎっ……あれが……」
そのまましゃがんで手探りでボディーソープを手に取る。
「あっ、お姉ちゃんは手で洗う派だったよね」
手で素早く泡立てて、姉の背中だと思っているところを洗い始める。
にゅるっ、にゅるっ、くちゅっ――――
「ゆ、ユウくっ、あっ、ダメっ、あふぁ……うぐっ……」
あれっ?
お姉ちゃんの背中って、こんなに柔らかかったかな?
泡泡になって洗われている百合華が、完全に陥落してしまう。
手で洗うのが肌に良いと主張していたのが、まさか自分に返って来るとは思わなかった。
大好きな悠の手でアチコチを洗われ、一気に立場が逆転して愛の奴隷状態になってしまう。
「もうダメぇ! ユウ君、許してぇ~」
「えっ、えええっ?」
――――――――
「もうっ! それ、絶対わざとだよね? ユウ君のイジワル!」
湯船に浸かった百合華が、プンスカ怒っている。
「ごめんなさい……」
隅でシャンプーしている悠がションボリする。
見えないのを良い事に、姉のカラダを色々触りまくってしまったのだ。
よくよく考えると自分が凄くエッチなことをしていたのに気付いた。
もう完全にドスケベ弟だ。
怒っているように見えて、百合華はションボリする悠が可愛くてドキドキしていた。
ふふっ……
ユウ君ってば、怒られてションボリしちゃうのも可愛すぎ!
ずっと見ていられるよ。
いつまで経っても
悠が洗い終わると、百合華が両手を広げて招き寄せる。
「ユウ君、おいでっ!」
「えっ、う、うん」
ションボリしていた悠が、一気にぱぁっと嬉しそうになる。
若干、飴と鞭で調教されているような気もするが、百合華の優しい笑顔にメロメロなのだ。
「ほら、こっちに来て」
「うん……」
湯船の中で向き合ってキスをする。
全てが蕩けるような――――
全てが溶け合うような――――
全ての境界線が無くなるような――――
「あむっ、ちゅっ、んっ、ちゅ……ちゅぱっ」
舌と舌を絡め貪るような、どこまでも深く愛し合うような。
お互いを
もう完全に溺愛だ。
盲目的に世界で一番の、世界で唯一の愛しい相手のことしか見えていない。
「んんっ~
激しく貪ろうとする百合華に、悠がカラダを離す。
「お姉ちゃん、ここまでだよ。これ以上はダメ」
「ええっ! もっとぉ~ユウ君イジワルだよぉ~」
「ダメだよ。これ以上やったら一線を超えちゃいそうだから」
悠は、それだけ言うと、姉のカラダを見ないように気を配りながら浴室を出て行った。
ガチャ!
一人残された湯船で百合華が呟く。
「イジワル……やっぱりイジワルだよ……ユウ君……」
もう、悠に対する爆発しそうなほど大好きな気持ちや欲求不満がドロドロになって、おかしくなりそうなほど求め過ぎてしまう。
やっぱりこの後も、一人で滅茶苦茶イケナイコトしまくった。
――――――――
食事も終わり、リビングで一緒にテレビを観ていた。
いつも通り百合華は悠に抱きついて、イチャイチャしたまま観るのだが。
「お姉ちゃん、そんなにくっつくとテレビが観にくいよ」
「ふんだっ、イジワルなユウ君の言うことなんて聞いてやらないもん」
「うう……愛が重いぜ……」
テレビから恋愛心理や性格診断の人気番組が流れてくる。
『恋愛心理研究しちゃうよTV! はい、今日は恋愛に於いて失敗してしまう人を特集します』
「あっ、これ面白いやつだ」
悠がテレビに食いつく。
性格診断など心理テスト系が好きなのだ。
『ジャカジャカジャン! 恋愛で失敗してしまう人、第三位は嫉妬深い人です!』
グサッ!
テレビのセリフが百合華に刺さった。
『恋愛心理学がご専門の中野坂先生です。どうぞ』
『やはり嫉妬深い人は恋愛で失敗しがちなんですよね――』
グサグサグサッ!
やっぱり刺さりまくる。
無邪気にテレビ番組を楽しむ悠と、まるで自分の事を言われているように気にする百合華。
この後、その嫉妬姉が天使姉に変貌してサービスしまくりになるとは、テレビにくぎ付けの悠が知る由も無かった。
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