第38話 公衆の面前でなんて禁止です!
入学式も滞りなく終わり、悠たちも教室へと移動する。
今日から始まる学園生活に期待と不安が入り混じった心境で、席に座って担任が来るのを待っていた。
誰もが思うことだが、最初が肝心であり、デビューに失敗しないか不安なのだ。
悠は周囲に目をやると、辺りには貴美や葵など、知っている顔がチラホラ見かけた。普段は怖い女子でも、このような時は安心する。
ガラガラ――――
教室のドアが開き、担任が入って来た。
二人の女性だった。
一人目はムチムチとした体に地味なメガネが似合う、特定の男子には人気がありそうな女性教師。
もう一人は、超エロいフェロモンを撒き散らす新任教師。
悠にとっては言わずと知れた、最強のお姉ちゃんである。
「「「うおぉおおおおおお!」」」
百合華が教室に入った時に、男子生徒が一斉に勝利の雄叫びを挙げる。
入学式の後に行われた着任の挨拶の時も、百合華の時だけ大盛り上がりだったのだ。
超美人の女教師が着任とあらば、男子なら自分のクラスの担任になって欲しいと思うのは仕方がないだろう。
「は、は、あの、静かにしてください……」
地味なメガネの教師……花子が注意するが、教室は騒がしいままだ。
困っている花子を見兼ねて、百合華が声を上げる。
「静かにしなさい! 今から担任の先生がお話をします!」
悪魔的魅力の百合華の一喝で、騒いでいた生徒たちも静かになった。
重力に逆らいパツパツに突き出た超破壊兵器のような巨乳に、誰もが
何名かの男子は余りの刺激的おっぱいに、イスに座ったまま前屈みになる。
「し、師匠ぉ~」
花子が羨望の眼差しで百合華を見つめる。
「あ、あの、師匠じゃないですから。後輩ですから。話を続けてください」
百合華に促され花子が話を続ける。
「あの、私が、これから一年間みなさんの担任を務める
花子は緊張で最後を噛んでしまった。
何だか仕草が可愛くて、生徒たちから囃し立てる声が飛ぶ。
実はこの末摘花子28歳彼氏無し、自分で非モテオタクだと思っているのだが、意外と生徒たちの間で人気だった。
多少ぽっちゃりして地味な見た目なのだが、ムチムチと柔らかそうなカラダにはファンも多く、優しく色々許してくれそうな雰囲気がバブみを感じさせ人気なのだ。
本人は、生徒にからかわれているとヘコんでいるのだが。
花子はめげずに話を続けた。
「こちらは、今年から着任した副担任になる明石先生です。あっ、どうぞ」
花子から紹介され百合華が前に出る。
新任の挨拶をしているのだが、百合華の視線に最愛の悠が映り、今すぐ飛び掛かってちゅっちゅしたりペロペロしたいのを必死に耐えていた。
選りに選って悠のクラスになってしまい、立場を
挨拶が終わると再び教室が騒がしくなり、『彼氏はいますか?』とか『好きな男性のタイプは?』などと質問が飛ぶ。
百合華は質問を華麗にスルーして、事務的に話を進めてしまう。
悠以外の男子には興味が無いのだ。
続いてクラスメイトの自己紹介に移る。
あいうえお順に女子からスタートして、男子の後ろから戻る形だ。
必然的に悠が一番最後になる。
一人一人前に出て自己紹介をして行き、最後に悠の番が回ってきた。
前に出て、百合華の隣で自己紹介を始める。
「明石悠です。よろしくお願いします」
凄く簡単に済ませる。
あまり目立つのは苦手なのだ。
「えっ、明石って。もしかして明石先生の身内とか?」
男子から質問が出た。
(うっ……はやり来たか……もう隠すわけにはいかないか……)
「姉弟です」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!」」」」」
クラス中から歓声が上がる。
目立ちたくないのに、悠が一番目立ってしまった。
カチャ! パラパラパラ――――
悠が戻ろうとした時に、黒板のチョークを数本落としてしまう。
すぐに拾おうとしゃがんだ。
「明石君、片付けておいてね」
百合華がチョークを拾っておくように指示してから、今後のスケジュールの説明に入った。
(くっ……やたら目立ってしまい動揺してチョークを落としちまったぜ)
しゃがんだ悠の目の前に、教卓の前に立った百合華の脚が見える。
黒パンストに包んだセクシーな脚に一瞬目を奪われるが、教室内で変な気を起こすわけにはいかず、黙ってチョークを拾い続ける。
ふと視線を上げると、ムチッとした百合華のお尻にチョークの粉が付いているのが見えた。
(マズい……お姉ちゃんのスカートに汚れが……)
悠は無意識に姉のスカートの汚れを取ろうとする。
「この後は各種書類の提出と教科書教材や体育用品の受け渡し、ひゃっ!」
突然、百合華が声を上げた。
「んんっ! 何でもないわ。続けます――――」
悠が百合華のお尻をスリスリと擦っているのだ。チョークの粉を落とそうと一生懸命に。
教卓の陰に隠れ、他の人からは全く見えていない。
「受け渡しはあっ♡ 一階ロビーの、んあっ♡ て、テーブルが並んではぁっん……」
まるで教室内がピンク色になったのではと思えるほどのフェロモンを放出した百合華が、微かにエッチな吐息を漏らしながら必死に説明を続ける。
あまりのセクシーさに、男子はもちろん女子まで変な気分になってしまう。
本当にサキュバスの催淫スキルを持っているみたいだ。
百合華は悠にお尻をナデナデされ、公衆の面前で陥落しそうになっていた。
(ゆゆゆゆゆゆ、ユウ君! 何で私のお尻を撫でてるの!? ダメっ! 皆が見ているこんな場所で……ひぐっ! き、気持ちよくなっちゃうっ~! ヒドいよユウ君……お姉ちゃんが、いつも夜這いしてるから、もしかして仕返しなの? こんな場所でエッチなコトするなんて鬼畜すぎるよぉ~)
百合華が陥落しそうになっていた頃、悠は姉のスカートが綺麗になったのを満足して、チョークを全て片付けて席に戻ろうとする。
そして、姉の様子がおかしいのに気付いた悠が声をかけた。
「あれ? お姉……先生、体調悪そうですが?」
「大丈夫よ。早く席に戻りなさい……」
「は、はい」
悠が席に戻ると、連絡事項を伝え終わって教卓から退き、壁際に下がっていた担任の花子に代わる。
「し、師匠……大丈夫ですか?」
花子が心配して声をかけた。
「すみません。ちょっと疲れているのかしら。あと、師匠じゃないです」
ふらついている百合華を心配して花子がオロオロする。
「あ、あの、誰か保健室に連れていってあげてください」
「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」
花子の声に、男子が一斉に名乗りを上げた。
憧れの百合華を保健室まで連れて行く栄誉を
誰もが初対面で百合華に心酔し、
「ちょっと男子!」
当然のことながら、女子からは文句が出る。
「悠! あんた弟なんだから、お姉さんを連れて行ってあげなよ」
そんな中、貴美が悠に声をかけた。
「うん。俺が連れてくよ」
すぐに悠が立ち上がり姉のところに行った。他の男子には絶対に姉の体を触られたくないのだ。
「師匠……こっちは任せてください」
「ありがとうございます。あと、師匠じゃないです」
花子と百合華の会話はそこそこに、百合華を支えて教室を出る。
後ろから他の男子たちの落胆の声が聞こえた。
誰もが超美人女教師の体を支えて保健室に連れて行きたいのだ。
少し火照った百合華を支えながら保健室に入った悠は、保健室の養護教諭に事情を説明する。少し休ませてもらう為にベッドを借りた。
養護教諭は用事で外出するとの事で、保健室には二人っきりになった。
「お姉ちゃん……じゃなかった。先生、大丈夫?」
悠が声をかけると、ちょっと怒った顔になった百合華が一気に迫り、悠の耳元に顔を近づけて囁く。
「ユウ君! ヒドいよぉぉぉぉ~! あんなところで私のお尻をナデナデするなんて。羞恥攻めなの? 変態プレイなの? そういうのは家でやってよぉ~」
グイッと悠に迫り、両手でポカポカする百合華だ。
「うわっ、近い! 近いって! 離れろっ!」
「ユウ君、イジワルだよぉ~」
「違うって、チョークの粉が――――」
悠が事情を説明して誤解は解けたのだが、公衆の面前で陥落させられそうになった百合華の怒りが収まらない。
プンスカ怒っているのだが、やっぱり姉の怒った顔も可愛かった。
ちょっと汚れを払っただけなのだが、百合華のエッチな妄想が凄くて、勝手に盛り上がって凄いコトになってしまうのだ。
悠の手つきがイヤラシイのも悪いのだが、だいたい百合華がドスケベ過ぎるのが原因だった。
あと、無意識に姉を陥落させてしまうのは、もはや悠の固有スキルのようだ。
「とにかく、学校ではイチャイチャ禁止! お姉ちゃんが決めたことでしょ」
「ううぅ……だってユウ君が……」
まだ文句があるようなのだが、教師としての立場を考え百合華先生に戻る。
「明石君! 厳しい躾けが必要みたいね。帰ったらキッツいオシオキですからね!」
ビクビクビクッ!
悠が今夜のオシオキを想像して震える。
今の家には両親が居らず、エッチな姉と二人きりなのだ。
毎晩のように夜這いしてくるエロ姉をギリギリのところで耐えているのに、これ以上エチエチ攻めをされてはカラダがもたない。
「くっ、理不尽だぜ……」
「もう教室に戻りますよ」
百合華が先頭で保健室を出て行く。
実際のところ、悠の尻撫でによりムラムラとカラダが疼いて仕方がないのだが、保健室で休んでいても疼きが解消されないので戻ることにした
悠を見ているだけでドロドロと奥の方から沸き上がるイケナイ欲望。
百合華は色っぽくて形の良いくちびるから少し舌を出し、ちゅぱっと意味深に音を出して悠を見つめる。
それだけで悠は体に電流が走ったような感覚になった。
(くぅ~っ……お姉ちゃんの性欲に火をつけちまった……これ、帰ったらどうなっちゃうんだよ……。恐ろしいことになりそうな予感だぜ!)
全身から可視化できそうなほどのフェロモンを沸き立たせ、ジトっとした目で悠を見つめるエロ姉の目が光る。
悠は、今夜のオシオキを想像し、ゾクゾクした感情で膝が崩れそうになりながら教室へと戻るのだった。
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