第35話 突然の急展開!? 二人の関係も急展開?

 時は流れ悠の受験の時期も近付いてきた。


 相変わらず二人は親に隠れてイチャイチャしまくっているのだが、百合華の天才的な状況判断と綿密なエロ計画により、奇跡的にも親バレせずラブラブな関係を続けている。


 普段はズボラでポンコツっぽく見える姉なのに、エロ関係だけは凄まじい知力と体力と性欲を発揮するのだ。


 ただ、その天才的なエロの権化である百合華をしても、悠の鉄壁なドーテーを崩すことはできなかった。

 もうここまで来ると、バトル漫画の永遠のライバルのようである。

 強敵と書いて『とも』と読みそうな感じだ。


 ところが受験を控えたこの時期になり、膠着こうちゃく状態になったかのような二人の関係に、とんでもない激震が走る事件の知らせが届くのである――――




 受験勉強も、やっぱり家庭教師のお姉ちゃん先生だった。


 もちろん胸の辺りがパツパツのレディーススーツだ。

 短めのスカートからはムチムチの太ももが惜しげも無く露出させ、ツヤツヤでスベスベで瑞々しい脚を、透け具合が絶妙な20デニールの黒ストに包んでいる。


「明石君!」


 少し怖くなった口調の百合華先生が、悠を手取り足取り厳しく指導する。

 オシオキを取り入れながらも、勉強は真面目に教えているのだ。


「今までの成果を確認する為にテストを出すわね。これに合格したらオシオキをあげるわ」

「はい、先生」


 悠は百合華の作ったテストを始める。これに合格すれば入試も問題無いだろう。


 普段はのほほんとしている百合華だが、既に教員免許も取得し母校での教育実習を済ませ採用試験にも合格していた。


 ただのエロ姉に見えるかもしれないが、ちょっと性欲が強いだけで成績は優秀なのだ。

 自宅で下着姿のままウロウロしたり、ぐでっとしているのは仮の姿だった。たぶん。


 昨今の教職員の性犯罪が問題視されている中で、ちょっとショタ好きっぽい百合華を心配されるかもしれない。

 だが、彼女の場合は悠しか眼中にないので、他の生徒には手を出すことは皆無だ。安心安全である。

 悠以外には極めてマトモであり安心安全なのだ。


 ※重要なことなので二回言いました。



 真面目に問題を解いている悠を見つめ、百合華は出会った頃からの思い出に浸っていた。


(ユウ君……真面目にテストしてるユウ君も可愛いなぁ……。実のお母さんから責められた時に守ってくれたり、ナンパ男やチカン男から守ってくれたり……。私を一途に想い続けて大切にしてくれる。ふふっ、こんなに大好きなユウ君が、私のコトだけ見続けてくれるなんて奇跡みたいだよね)


 そして思い出は悠の貞操に及ぶ。


(でも……ここまでユウ君が耐え続けるなんて思わなかった。私のことを真剣に考えてくれるのは嬉しいけど……さすがに私も次のステップに進みたいよぉ~! ちょっと攻め方を変えてみようかな?)



 テストは問題なく終了した。


「はい、合格ね」


 悠は百合華先生のテストに合格だ。これで受験も一先ひとまず安心だろう。


 もうオヤクソクだが、悠がオシオキを気にしてモジモジする。

 そんな悠の無意識に誘っているような雰囲気に、百合華の心もウズウズしてしまうのだ。


(ユウ君……そんなもの欲しそうな顔しなくても、ちゃんとオシオキしてあげるのに。ふふふふっ……ホント可愛いなぁ……。あっ、そうだ! ちょっと趣向を変えてみようかな……?)


「ねえ、悠……なに物欲しそうな顔してるの?」

「えっ、あのっ……」


 いつもと違う姉の雰囲気に、悠は戸惑う。

 お姉ちゃん先生とも違い、イメージとしては『お姉ちゃん女王様』だ。


 ツツツゥーッ――――


 百合華の黒タイツ足が、悠のカラダを刺激しながら上がってくる。


「ほらっ、悠! 『オシオキして下さい、百合華女王様』って言いなさい」

「うぐっ……そ、そんな……」


 百合華女王様の爪先つまさきがドンドン上がってきて、胸板から首筋をスリスリと刺激する。

 そして、首からあごへと至り、足で顎クイする格好になった。


「ふふっ、どうしたの悠? 言わないとオシオキあげないわよ」


 今までになかった本物っぽいお姉ちゃん女王様に、悠は完全に意表を突かれ動揺しまくっていた。


(くうっ……こ、こんな屈辱的なことをされてるのに……カラダがゾクゾクして逆らえない……。ま、待てっ! あれは、いつも優しくてちょっと抜けてるお姉ちゃんのはず。でも、凄い本物っぽくて逆らえないっ! こんなの反則だぜ!)


 百合華の完璧な芸術的とも呼べる魅惑の脚だけでもたまらないのに、更にセクシーな薄い黒タイツで武装し、そのタイツから透けて見える綺麗な爪先つまさきで顎をコチョコチョされているのだ。

 もう、どうにもたまらない倒錯的とうさくてきな気持ちになるのは仕方がないだろう。


(ダメだっ! こ、こんなの耐えられない! もう、百合華女王様に屈服して、足を舐めてしまいそうだぁああ!)


 意外なところから悠の限界が訪れようとしていた。

 元から受けっぽい性格だからなのか、大好きな姉に攻められるのが好きだからなのか、悠が百合華女王様にドッキドキになってしまう。


「もう、悠ったら。そんなに私の足が好きなの?」


 クイッ!


 足で顎クイされ、悠はゾクゾクとした感覚が突き抜け後ろに倒れてしまう。そのまま百合華に上に乗られ、もう一本の足まで攻撃に加わってしまった。


 黒タイツに包まれた姉の両足がスリスリと上がって行き、首の辺りをコチョコチョと刺激する。

 あと数センチで顔を踏まれそうだ。


 いつもと違う趣向を試した百合華だったが、コスプレが趣味でキャラに成りきるのが上手いのか、年下男子を絶対服従されるのが好きなのか、ノリノリになって女王様を演じてしまう。


(ユウ君! ユウ君! ユウ君! もうダメっ! そんな表情されると、お姉ちゃんおかしくなっちゃいそうだよぉおおっ!)


 演じていたはずが、ちょっぴり本気モードだ。


(ちょっとイタズラのつもりだったのにぃ~っ! もう、このまま顔踏んじゃっても良いよねっ? でもでも~足臭いとか言われたらどうしよぉ……はああっ……でも、無理やり嗅がせるのも良いかもぉ)


 ちょっと、いやだいぶ変態お姉ちゃんになってしまっていた。


 顎から顔に上がろうとしている美しい足を眺めながら、悠はスローモーションのように映る足を走馬灯そうまとうのように見ていた。


(ああ……ここまで耐えてきたけど、まさかこんなプレイで陥落させられてしまうなんて……。しょうがないよな。お姉ちゃんの足が魅力的過ぎるんだから……)


 カタッ――

 悠が陥落寸前になったその時、階段から微かな音がした。


 バサッ!


 一瞬で悠から離れた百合華が、服の乱れを整え厳しい家庭教師のお姉ちゃん先生に戻る。


 コンコン!

「お茶を持ってきたわよ」


 すぐに母親の声が聞こえ、ドアを開けて入ってきた。悠はホッとしたような少し残念なような複雑な気持ちになる。


「勉強頑張ってるみたいね」


 絵美子はお茶とお菓子を置きながら、テーブルの上に並んだテストに視線を移す。


「えっ、これ全部やったの? 凄いわね」


 そのテストの全てが合格ラインに達している。


「ええ、お母さん。私の作った模擬試験で合格ですので、受験はほぼ大丈夫だと思いますよ」

「良かった。これなら安心ね。本当に百合華には感謝してるわ。ありがとう」


 絵美子は心から感謝をした。本当に百合華が悠の姉になって良かったと。


「いえ、それほどではないです。ユウ君は私の弟ですから、何でも協力しますよ。それにユウ君の頑張りあってこそですから」


 百合華が絵美子と真面目に話している。ちょっと良い感じになった義理の親子の会話だ。さっきまでの、欲望全開のエロ姉とは別人のように。

 この変わり様には、悠も驚くばかりだ。



 冷静になった悠は、先程のちょっと変態的な展開に動揺する。


(くっ……危なかった……。あんな変態プレイを受け入れてしまいそうな自分が怖い……)


 悠は心配しているが、百合華としては変態なのもバッチコイだった。



 悠が姉との関係を心配していると、母娘の方は何も心配ないようにまとまっていた。


「これなら受験も大丈夫よね。そうそう、後で大事な話があるの。夕食で全員揃った時に話すわ」


 最後に絵美子が真面目な顔でそう言ってから、一階へと戻って行った。


 残された二人が顔を見合わせる。


「大事な話って何だろ?」


 悠が心配そうな顔になる。


「そうだね……離婚とか?」

「えええっ!」

「冗談だよ。あんなに仲が良いんだから」

「ちょっ、ビックリさせないでよ」


 百合華の冗談に、悠が本気で心配する。


 親の離婚なんて事態になれば、大好きな姉と離れ離れになってしまうのだ。

 姉弟でなくなれば堂々と付き合えるのかもしれないが、悠にとっては大好きな姉と一時でも離れたくないのだから。


「そうれはそうと……ユウ君、さっき本気でエッチな奴隷になっちゃいそうだったよねっ?」

「ギクギクッ!」

「それに、お姉ちゃんの足をくんかくんかしようとしてなかった?」

「うううっ~~~~」


 いつもの優しいお姉ちゃんに戻ったのかと思いきや、やっぱり恥ずかしいネタで攻めてくる。

 百合華女王様でも優しいお姉ちゃんでも、エッチなのは変わらなかった。


「くんかくんかとか言うなよ。どこで覚えたんだ、そんな言葉……」

「ええっ~ユウ君のエッチな本に出てたよぉ~」

「くうぅぅぅ~勝手に俺の本を読むなぁぁぁぁ!」


 エロ姉の侵攻が凄まじく、悠のプライバシーが心配になるくらいだ。



 ◆ ◇ ◆



 そして夕食時――――


 家族全員揃ったところで衝撃的な事実が告げられる。それは、二人の関係を大きく変えるほどの波のうねりとなって押し寄せる大事件だ。


 幹也が改まって話し出す。


「実はな……お父さんの仕事が転勤になってだな。来年度から、お母さんと二人で札幌に移住しようと思うんだ」


「「なななな、何だってぇぇぇぇーっ!」」


 悠と百合華が二人そろって声を上げる。


 今でさえラブラブなスイートホームが、本当に二人だけの愛の巣になってしまうのか?

 余りの衝撃に、二人は全身に動揺と不安と性欲とが駆け巡り、眩暈めまいがするような感覚になってしまった。


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