第25話 お姉ちゃんが、おもいっきり甘やかす日
連休に入り両親が旅行に行く事になった。
夫婦水入らずの温泉旅行だ。
実は、悠と百合華も誘われていたのだが、百合華が『もう親と一緒に出掛けるような歳じゃないでしょ。夫婦水入らずで行ってきなよ』と断っていた。
もちろん、両親が留守の時に悠とイチャイチャしまくりたいからなのは言うまでもない。
「じゃあ、行ってくるから。家の事は頼んだぞ」
「大丈夫だって、新婚旅行の時も問題無かったでしょ」
幹也が心配しているが、百合華に何の不安も無い。
早く悠とイチャイチャしたくてたまらないのだ。
「あなた、百合華はしっかりしているから大丈夫よ。少し厳しめだけど、悠の面倒もちゃんと見てくれてるし」
絵美子は完全に百合華を信用していた。
「お母さん。任せて下さい。私がいればユウ君を
百合華が堂々と宣言する。
横で聞いている悠が、『お姉ちゃんのエッチなイタズラで、不埒な道に行っちゃってる気がする』と思った。
「百合華ったら相変わらず頼もしいわね。でも、ほどほどにお願いね」
「わかってます。行ってらっしゃい」
こうして二人は温泉旅行へと出掛けて行った。
パタン!
百合華が玄関のドアを閉めて、とびっきりの笑顔で悠を見つめる。
「ユウ君、何して遊ぼうか? お姉ちゃんのナースプレイ? オシオキ百連発? プロレスごっこ?」
とんでもないネーミングの遊びが出てくる。
どれを選んでも凄い事になりそうだ。
「いや、何だよ……その選択肢」
悠は文句を言いながらも、心の中ではどれにしようか心躍っていた。
ええっ! 何それ?
全部気になる!
お姉ちゃんのナースプレイ……
これはお姉ちゃんがナースコスプレして、色々と優しくお世話されちゃうのかな?
凄い魅力的だ!
オシオキ百連発……
本当に百連なんだろうか……?
いや、体力的に無理なような……
でも……本当に百種類のオシオキをされたら……
ううっ……これじゃ、俺がドMみたいじゃないか!
プロレスごっこ……
これはアレだよな、お姉ちゃんにプロレス技をかけられるという、全国一億三千万の弟誰もが憧れる夢のプレイ!
お姉ちゃんに押さえ込まれたり、あの綺麗な脚で首4の字固めなんかされちゃったら……
あああっ!
どれもエッチ過ぎる……って、俺は何を考えてるんだぁぁぁ!
神聖なお姉ちゃんをエッチな目で見てばかりじゃないか!
もう、何度も夜のおかずにしてしまったり、エロい目でみてしまっていて手遅だった。
しかも、昔は『プロレスごっこなんかしねーよ!』と言っていたのも忘れて、今ではお姉ちゃんとプロレスごっこをしたくてたまらないようだ。
真剣に悩む悠に、百合華が申し訳なさそうに声をかける。
「あ、あの、ごめんね……そんなに真剣に悩まなくても。冗談のつもりだったのに」
「え、えっ…………冗談……は、はは……」
悠がガックリと肩を落とした。
しょぼぉぉぉぉぉぉ~ん
肩を落とししょんぼりしたまま部屋に戻る。
部屋に入ると急激な自己嫌悪に襲われる。
「うわぁぁぁぁーっ! 大切なお姉ちゃんをエロい目で見てばかりで、なんて俺はダメなヤツなんだぁぁぁーっ!」
幼き日――――
大切な姉を守ると決めた日……
早く大きくなりたい、大きくなって姉とつり合う男になりたいと誓ったあの日。
大きくなって一人前になったら、姉に告白し想いを打ち明ける。
そして、大好きな姉を一生大事に、一生幸せにしたいのだ。
その決心は一ミリも揺らいでいない。
純粋な想いとエッチな気持ちの狭間で、悠は恋の迷路に陥ってしまう。
しかし、これは悠だけではなく、思春期男子にはよくある話なのだ。
正常だから大丈夫なのだ。
「ぐっ、俺の中に眠る鬼神の根源が暴走しそうだぜっ!」
そして、悠は中二病だった。
悠が部屋で性欲を『鬼神の根源』とか言って誤魔化していると、想い人が来訪するノックの音が鳴る。
コンコン
「ユウ君、入るよ」
ガチャ――
部屋に入った百合華を見た悠が、驚きのあまり目を丸くする。
それほど強烈な印象を焼きつける姉の登場だった。
「じゃじゃ~ん! ユウ君、診察の時間ですよ~」
「は? はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
百合華はナース服のコスプレをしていた。
ピンク色の可愛いナース服で、体に張り付くタイトなワンピースの超ミニタイプだ。
薄い布地の為に胸の膨らみがより強調され、キュッと締まったウエストからプリッと丸いお尻へのラインが際立つ。
フロントファスナーになっていて、ファスナーを下すとおっぱいがポロンっと零れそうだ。
それっぽい白タイツと、今では廃止されたキャップまで装着し、まさに男の夢を実現させたような最強ナースコスだ。
「お、お姉ちゃん……な、なんで?」
「ユウ君、さっきはごめんね。冗談ってのは冗談だよ」
「は?」
そう、つまり本当は色々と遊ぶ計画だったのだが、冗談という事にしてドッキリをしたのだ。
冗談だと言った時に、予想以上に悠がガッカリしてしまい、百合華も少し心が痛んでしまっていた。
「ユウ君が凄いガッカリしちゃったから、すぐに着替えてきたんだよ。本当はセーラー服にしようとしてたけど、通販で良い素材のがなかったからナースにしてみたの」
唖然としている悠に、ヘンテコなポーズでキメ台詞を言う。
「良い子にしてないと太っといお注射しちゃうぞっ!」
「か、可愛い……」
悠が、ポロっと本音を漏らす。
「えっ、か、かわっ……あ、ありがと」
かあぁぁぁ――――
いつもは攻め攻めな百合華が、悠の『可愛い』で照れまくってしまう。
うう~
ユウ君に可愛いって言ってもらえたぁ~
嬉しいよぉ~
「ユウ君が勉強を頑張って成績が上がったからご褒美だよ。今日は~おもいっきりお姉ちゃんに甘えて良い日だからねっ!」
「えっ、ご褒美って?」
「だからぁ、今日は~ユウ君の言う事なら何でもしてあげるね」
「ん?」
今、何でもって…………?
なななななななななな、何でもだとぉぉぉぉぉぉーっ!
悠は盛大に動揺した。
どどど、どうしよう!?
何でもって事は、あんな事やこんな事も……
エッチなプロレス技なんかも良いのかな?
お姉ちゃんを玩具の手錠で動けなくして、あのオシオキアイテム
俺『ほ~ら、お姉ちゃんのおっぱいをコチョコチョしちゃうぞ』
姉『ユウ君らめぇぇぇぇーっ!』
俺『こちょこちょこちょこちょこちょ~ まだまだ行くぜぇぇ~』
姉『ああっ~ん、ユウ君のいじわる~もう、ゆるしてぇ~』
みみみ、みたいな感じに! って、俺は何を考えてるんだぁぁぁ!
た、確かに、お姉ちゃんはエッチでスキンシップが激しいけど、俺が性欲全開で行ったら嫌われちゃうかもしれない!
もしかしたら、『ユウ君も他の男と同じでカラダ目当てだったんだ……最低っ!』とか言われてしまうかも?
そんな事になったら、もう俺は立ち直れないぃぃぃぃ!
百合華は盛大に妄想した。
ぐへへ~
ユウ君、何してくるのかな~
エッチなプロレスごっこだったりして……
私を玩具の手錠で動けなくして、あのオシオキアイテム
悠『ほ~ら、お姉ちゃんのおっぱいをコチョコチョしちゃうぞ』
私『ユウ君らめぇぇぇぇーっ!』
悠『こちょこちょこちょこちょこちょ~ も、もうこのくらいで……』
私『ああっ~ん、ユウ君のいじわる~もっとお願いぃぃぃ~』
みみみ、みたいな感じに! って、私は何を考えてるのぉぉぉ!
た、確かに、ユウ君は性欲真っ盛りなお年頃だけど、私が性欲全開で行ったら嫌われちゃうかもしれない!
もしかしたら、『お姉ちゃんは、ちょっと下品過ぎるよ。やっぱり同級生の清楚で清純な六条さんや中将さんの方が』とか言われちゃうかも?
そんな事になったら、もう私は立ち直れないよぉぉぉぉ!
二人とも考えている事は同じなのに、内容が微妙に違っていた。
「えっと、別にお願いは、しなくても良いかな……」
悠は、グッと我慢した。
「ええっ! しないの!?」
「えっ?」
お姉ちゃん……
ホントはいっぱいしたい……
お姉ちゃんのカラダをギュッて強く抱きしめて、いっぱいキスもしたい……
こんなに近くにいるのに……
触りたい……
綺麗な顔も、柔らかそうなくちびるも、艶やかな髪も、細い指も、大きな胸も、すべすべの脚も、全部!
でも……
「ユウ君……」
ぎゅっ!
「えっ…………」
百合華が、悠を優しく抱きしめた。
すぐに百合華の体温が伝わり、悠の身も心も
「ユウ君、いつもは親がいて甘えられないんだから。今日くらいは好きにしても良いんだよ。いっぱい甘えちゃっても良いんだよ」
「お、お姉ちゃん……」
悠も、百合華の背中にそっと腕を回し抱きしめた。
胸いっぱいに大好きな姉の匂いが染みわたってくるようだ。
ただ抱き合っているだけで、もう何も要らないような幸せな気持ちが込み上げる。
永遠に……ずっとこのままくっついていたい。
悠は、本当に百合華が大好きなんだと再確認させられた。
「ユウ君……今日は、まだ長いんだから……いっぱいイチャイチャしようね」
美しく響く姉の声を、悠は天国にいるような夢見心地で聞いていた。
これから始まる姉のエチエチフルコースも知らずに。
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