第23話 悠は見た! 部屋でこっそり〇〇〇〇するお姉ちゃん

 家庭教師のお姉ちゃん先生のおかげで、悠の試験の成績もぐっと上昇した。

 百合華の丁寧で分かりやすい指導と、オシオキという名のご褒美を織り交ぜた勉強法が、効果てきめんで目に見える成果を出したのだ。


 それに伴い、悠に少しマニアックなフェチが増えてしまう副作用があるのだが。


 ついでに貴美の成績も上がった。

 美しく魅力的で教え上手な百合華へ、貴美も尊敬の念を持ってしまう。

 百合華としては、悠に同級生女子を近寄らせたくないというのに、逆に本人が気に入られて近づける結果になってしまった。



 そして、テスト返却後の家族そろっての夕食時――――


「悠、凄いじゃない。こんなに成績が上がって。百合華のおかげね」


 絵美子が大喜びだ。


「いえ、ユウ君が頑張ったからですよ。私の授業も真剣に取り組んでいたし」


 百合華は、まんざらでもない顔をしながら、悠の頑張りも褒めてくれる。


「本当に百合華が悠の姉になってくれて良かったわ。優しくて頭も良くて弟想いで。ねえ、あなた」


「ああ、百合華。悠君の面倒を見てくれて偉いな」


 幹也も感心する。


「そうなのよ。でも、勉強はスパルタとか言ってビシビシ行ってるみたいなのよね」

「えっ、百合華……時に厳しいのも必要かもしれないけど、あまり厳しくするのもどうなんだ?」


 絵美子の言葉に、幹也は心配で顔を曇らせた。

 穏やかな性格の幹也としては、あまり厳しいスパルタ教育には反対なのだ。


 ところが百合華は『ふんす!』といった感じの顔で反論する。


「お父さん、私はユウ君の為を思って厳しくしているの。ユウ君が勉強に身が入ってないようなら、キツいオシオキも辞さない覚悟よ!」


 ビクッ!


 それまで黙って聞いていた悠が、『オシオキ』という言葉に体が反応する。

 何度も姉にオシオキされて、その言葉だけで体の芯の方からウズウズとしたものが込み上げてくるのだ。

 まるで調教済みのように。


(くっ……お姉ちゃん……。親の前でオシオキの話はやめてくれ。エッチなオシオキや魅惑の太ももを思い出してしまうぜ)


 幹也と百合華の話はまだ続いていた。


「でもなあ……厳しさばかりじゃなく優しさも必要だよなあ」

「大丈夫よ、お父さん。ちゃんと息抜きも入れてるし」


 ビクビクッ!


 再び悠の体が反応する。

 百合華がポロッとオシオキや息抜きの内容を喋ってしまうのではないかと気が気でない。


(ううっ……ごめんなさい! お父さん、お母さん! 姉でエッチな想像ばかりしちゃったり、夜のおかずにしちゃったり、もう色々とアウト過ぎです! お父さんの娘さんに、エッチでヘンタイで背徳感いっぱいの感情を抱いちゃってます!)


 姉弟似た者同士だった――――



「悠君、あまり百合華が厳しくして辛いようなら、こっそり相談するんだぞ。百合華には注意しておくから」


 幹也が悠の味方をしてくれる。

 優しい義理の父親だ。


「う、うん……」


 幹也の優しさは嬉しいのだが、周囲からは一見スパルタ教育に見えても、実はエッチな家庭教師のお姉ちゃん先生なのだ。

 本当のことを言う訳にもいかない悠は、義父の優しさと義姉のエッチさの狭間でドギマギしてしまう。


 そんな二人のやり取りを見ていた百合華が口を開く。


「もう、大丈夫だよ、お父さん。勉強は厳しめだけど、普段は優しくしてるでしょ」

「まあ、それなら良いんだけど」


 とりあえず幹也も納得した。



 ◆ ◇ ◆



 夕食も終わり、悠が洗面所で歯磨きしていると、後ろから姉が足音を立てずに忍び寄ってきた。


「ユウ君」

「うわっ! な、なに?」


 無防備な背中に抱きつかれビックリする。


「ユウ君、オシオキの内容を、お父さんにチクっちゃダメだよ」

「そ、そんなの言えるわけないだろ」


 姉のオシオキがエッチ過ぎなどと言えるはずもない。


「そうだよね。ユウ君ってば、私の脚ばかりすっごい見てるから。ついつい、お姉ちゃんもユウ君にオシオキしたくなっちゃうんだよ」


 魅惑のタイツ脚をチラ見……いや、ガン見しているのはバレバレだった。


「もうっ、ユウくぅん、オシオキも良いけど、添い寝もしようよぉ~」

「それはダメだって。親にバレちゃうだろ」

「じゃあじゃあ、親が居ない時は良いんだよね?」

「うっ、そ、それは……」


 百合華は知っていた。

 両親が近々二人で旅行の計画があることを。

 その隙を狙って、悠と一日中イチャイチャしまくりたいと思っていた。


(ぐへへ~両親が旅行に行っちゃえば、ユウ君と二人っきりの夜になるんだよね。新婚旅行の時と違って、ユウ君も成長して大きくなったから、もしかしたらユウ君の方から迫ってきちゃったりして。ふふっ、『お姉ちゃん、もう俺……我慢できないよ!』みたいな感じに)


 じゅるり!


 悠は、姉の『ぐへへ~』な顔を見て、何かエッチなことをたくらんでいるなと思った。


(お姉ちゃん……凄い美人なのに、たまに顔にエッチなのが出ちゃってるんだよな。これ絶対、変なことを考えてる顔だ……)



 ◆ ◇ ◆



 部屋に戻った百合華は、クローゼットの奥から古い服を出していた。

 ごそごそと、ある物を奥の方から引っ張り出す。


「あった! これこれ」


 それは自分が中学の時に着ていたセーラー服だ。

 先日の勉強会で、悠が同級生女子のセーラー服にフェチシズムを持っているのだと勘違いし、セーラ服コスプレして悠を誘惑しようと企んでいるのだ。


(うふふっ、親が旅行に行って二人っきりになった時にこれを着れば……ユウ君が我慢できなくなっちゃって……。こ、これで既成事実が!)


「試しに着てみよ」


 百合華は服を脱ぎ、セーラー服を着ようとする。


「あれ? んっ、ぐぬぬ…………」


 少し小さいセーラー服はキツくて入りきらない。

 特に胸の部分がパツパツで破けそうだ。

 スカートも小さくてお尻が飛び出しそうになっている。


「…………っ」


 鏡の前で、暫し茫然とする。


「太ってないよ! 太ってないから! そ、そう、成長しただけだから。とくに胸とか……」


 スタイル抜群の百合華だが、さすがに中学の時の制服は入らなかった。

 当時は清楚な制服だったはずが、鏡に映る姿は何だか卑猥ひわい極まりない。

 義弟を誘惑するのに好都合とも思えるが、これは恥ずかし過ぎてとても見せられるような代物ではないだろう。


「これはちょっと……ユウ君に悪影響が出て変態になっちゃうとマズいかな?」


 すでに変な影響は出ているのだが、ものには限度があるだろう。

 パツパツ過ぎて変なフェチを増やしそうだ。


「高校の制服はブレザーだし、もう通販でコスプレをポチるしか……」


 あくまで百合華はセーラー服に拘りたいらしい。


(そうだ! ユウ君と同級生という設定にして、一緒に学校生活を送るシチュエーションとか良いかも。一緒に登下校したり、一緒に体育祭や文化祭をしたり、一緒に修学旅行に行ったり……)


 年下好きな百合華には、悠と一緒に学校生活を送ってみたいという密かな願望があった。

 悠と学校の体育倉庫でイチャイチャする妄想をして、カラダの奥がウズウズと熱くなる。


 百合華がピチピチなセーラー服を着て、ちょっと淫靡いんびで心ときめく妄想をしていると、突然ドアをノックする音で現実に引き戻された。


 コンコン

「お姉ちゃん、入るよ」


「えっ、ちょ、ダメ――」

 ガチャ!


 百合華が止めようとした瞬間にドアが開き、悠は、とびきり淫らな恰好の自称JCお姉ちゃんと対面する。


「あっ…………」


 見てはいけないモノを見てしまった顔になった悠は、そっと無言でドアを閉めようとする。


「無言で閉めないで!」


 百合華は、そっ閉じしようとする悠の腕を引っ張って部屋に入れる。

 このまま帰したら、部屋で一人変態プレイをするエロ姉だと思われそうだ。


「こ、これは……ち、ちがくて……そう、懐かしいなって」

「いや、大丈夫。お姉ちゃんの趣味は分かってるから」

「違うから! 趣味じゃないから! 趣味だけど」


 悠としては、姉の制服姿がドストライクだった。

 あまりにもエッチ過ぎて正視できない。しかも、けっこう似合っていて可愛いのだ。


(お、お姉ちゃん……前からコスプレ好きなのかと思ってたけど、こっそり部屋でセーラー服まで……。ちょっと変態っぽいけど、そんなお姉ちゃんも大好きだぜ!)


 百合華のせいで、悠に新たなフェチが増えて――いや、制服フェチは前からだった。

 出会ったばかりの頃、百合華のJK制服姿に心ときめかせ、その時からずっと大好きなのだ。


「じゃあ、俺はこれで……」

「ユウ君……誰にも言っちゃダメだよ」

「えっと……」

「もうっ! ユウ君が言いつけを守るように、今からキッツいオシオキします!」


 もう、とりあえず何でもオシオキだ。

 オシオキと聞いただけで姉の言いなりになってしまいそうになる。


「ちょっ、その恰好で抱きつくなぁぁぁ!」


 ピチピチのセーラー服でギュッと抱きしめられ、色々と柔らかいところが当たりまくる。


「ユウ君、大きな声を出すと親にバレちゃうよ(ぼそっ)」

「うっ……」


 耳元で囁かれ、悠が静かになる。

 親バレという言葉ワードで、完全に姉の言いなりになってしまうのだ。


「ふふっ、ユウ君。大人しくしててね」


 同級生お姉ちゃんの、キツいオシオキが始まろうとしている。

 姉の制服姿を見ただけで限界寸前の悠に、果たして耐えることができるのだろうか。


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