第20話 家庭教師のお姉ちゃんとイケナイお勉強

 百合華は絵美子との約束通り、悠に勉強を教えることにした。


 絵美子が全幅の信頼を寄せているのだが、当の百合華は悠にちょっかい掛けまくっているのだから困ったものである。

 家族の前では品行方正なのに、二人っきりになると途端にキスしまくったりイチャイチャしたがるのだ。


 そんなエロ姉の猛攻を、悠は何とか凌ぎ切っていた。まるで、難攻不落の巨大宇宙要塞のように。


 百合華のエチエチ誘惑攻撃は、アニメの荷電粒子砲や超電磁加速砲レベルの破壊力がありそうなのだが、悠の忍耐力が姉の超攻撃力を耐え続けているのは驚きだ。

 しかし――

 何度誘惑しても耐え続ける健気な悠の姿が、更に百合華のテンションを上げてしまっていたのは言うまでもない。



「ユウ君、お勉強の時間よ!」


 百合華先生の登場である――――

 自宅で勉強を教えるだけなのだから普段着で良いはずなのに、何故かスーツ姿になって女教師コスプレをしていた。

 カラダのラインが出るレディーススーツに、20デニールで薄めの黒タイツ、スカートは何故か短めになっている。


 ※タイツ豆知識

 デニールとは、繊維の太さの単位であり、一般的にタイツの厚さなどに使われる。

 数字が大きいほど厚いタイツになり、小さいほど薄くなります。

 30未満になるとストッキングと呼ばれるのだ。


「んしょ、さあユウ君、始めるよ」


 百合華先生が悠の隣に座る。


 短いスカートがせり上がり、黒タイツのレッグ部とパンティー部の境目にあるランガードが見えてしまう。

 薄い黒タイツからは、美しく肉感的で程よいムチムチ感の脚が透けて見え、たまらないセクシーさだ。

 つま先は薄く補強が入り少しだけ色が濃くなっているのだが、そこがマニア心をくすぐり目を惹くフェチポイントである。


 元から年上お姉さんが好みの悠にとって、百合華の女教師コスプレはドストライクだった。


(ぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁ! 最高かよっ! お姉ちゃんのスーツ姿がエロ過ぎる! ダメだっ! こんなのチラ見しまくっちゃうよ!)


 悠はちゃっかり百合華の脚をチラ見していた。


(黒タイツの脚がぁぁぁぁぁ! スカートがせり上がって見えている太ももの帯ランガードと補強トゥが気になって仕方がない! こ、こ、これが魅惑のタイツ脚か! 全国のタイツフェチの皆! 今日から俺は脚フェチになります!)

 

 百合華のせいで、悠に新たなフェチが増えてしまった。



「ちょっと、明石君! 何ボヤっとしてるの? 勉強するわよ!」

「へっ? は、はい」


 何を思ったのか、百合華のキャラが変わって、ちょっと怖めの女教師キャラになってしまった。

 自分も明石なのに悠のことを『明石君』などと呼んでノリノリだ。

 もしかしたらドSお姉ちゃんモードが発動しているのかもしれない。


「先ず数学からです。教科書を広げて」

「はい」

「これは連立方程式ね――――」


 さすが教育学部の学生だけあって、百合華は教えるのが上手かった。

 親切丁寧に分かりやすくセクシーな女教師が教えてくれる。最高のシチュエーションである。


 しかし、悠は隣のドストライクなお姉ちゃんが気になってチラ見してしまうのだ。


(お姉ちゃん先生の勉強、凄く分かりやすいな……。でも…………少しだけ密着している魅惑の太ももが気になって仕方がないぃぃぃ! スカートが短すぎて落ち着かないよぉ~)


 タイツフェチにはたまらない萌えポイントであるランガードが見えている上に、あと少しで股部分のダイヤマチやセンターシームが見えそうなのだ。

 全国のタイツ脚フェチの仲間入りした悠にとって、大好きな地上最強の姉のタイツ脚の誘惑に勝てるはずもなく……。


「ちょっと、明石君! 何よそ見しているの?」

「えっ、す、すみません……」

「勉強に集中していないようね? 悪い子には、先生がオシオキします!」


 何故かノリノリになった姉が、怖い女教師キャラになってオシオキしようとする。

 普段の優しくフワフワした口調ではなく、女教師コスプレに合せた厳しめの命令口調だ。

 サービス満点なのだ。


 百合華が魅惑のタイツ脚を伸ばすと、悠の上半身に絡ませた。

 そのまま脚で挟んで倒すと、首に脚を巻き付けるようにする。


「ええっ、ちょ、うわっ!」


 まるで格闘技の締め技か関節技のような体勢だ。

 もちろん格闘技経験の無い百合華なので、全く関節も首も決まってはおらず、ただただエロいだけなのだが。


 ムチッとした脚に密着され、スベスベと肌触りの良いストッキングの素材と、姉の少し熱を持った脚の感触が伝わり、悠は一気に爆発寸前になってしまう。


「ほらっ、反省した?」

「んんっ……ふがっ……」


 反省どころではなく、余りにも気持ち良いオシオキに、悠は昇天しかかっているのだ。

 むしろ、姉の綺麗な足で踏んで欲しいとさえ思ってしまう。


 百合華のせいで、悠にマニアなフェチが増えてしまった。


(うううっ……気持ち良すぎる! ムッチリとした太ももの感触が顔に……短いスカートから下着が見えそうだ……。いや、タイツ脚フェチとしては、下着よりもパンティストッキングのダイヤマチがぁああ……)


 ふと視線に気付き悠が顔を上げると、ニマニマとした百合華の顔が見える。


(し、しまったぁぁぁぁ! スカートの中を覗こうとしていたのがバレた!)


 絡ませた脚を解いて開放される。


「えっと……」

「はい、休憩は終わりだよ。ユウ君」

「えっ?」


 特にとがめられることもなく、百合華は優しい笑顔を浮かべている。

 オシオキと言っておきながら、どうやら単なる息抜きだったようだ。

 勉強の合間にエッチな息抜きをくれるなんて、なんて良い姉なんだと悠は思った。


「びっくりした。休憩だったのかよ」

「勉強の効率を上げるには休憩も必要なのよ。ユウ君がエッチな目で脚や胸を見たら、またキッツいオシオキするから」


 ごくりっ!


 悠が生つばを飲み込む。

 あんなエッチなオシオキなら、わざと悪さをしてしまいそうだ。


「あっ、それだとユウ君が悪いコトばかりしちゃうかな? じゃあ、この問題集を1ページ解く毎にオシオキね」

「ぐっはっぁ!」


 完全に思考を読まれていた。

 飴と鞭を使い分ける百合華先生は完璧だった。


「明石君! ボヤっとしてないで、続きから問題を始めなさい!」


 再び怖めの女教師口調になって教え始める。

 普段は優しいお姉ちゃんなのに、時に怖い女教師お姉ちゃんになったり、時にドS女王お姉ちゃんになったりと、至れり尽くせりなお姉ちゃんなのだ。


 ただ、百合華のマニアックな攻めに、悠に変な性癖が増えてしまわないかが心配だ。



 百合華先生の教え方の上手さと、オシオキという名の御褒美欲しさに勉強は進む。

 スラスラと問題集は進み、悠のフェチも増えて行く。

 そして、きりの良いページまで終了した。


「よし、終わった」


 ついついオシオキ欲しさに頑張ってしまう悠だ。

 そんな悠に、百合華はニヤニヤした顔で質問する。


「ユウ君ってさ、添い寝は嫌がるのに、何でオシオキは嬉しそうなの?」

「うっ、えっと…………」


 悠本人も気付いた。


(あれっ? そういえば……しまった、これじゃ俺がMみたいじゃないか!)


「あれあれ~ ユウ君、どうしたのかなぁ~ もしかしてぇ、エッチなコトを期待しちゃってるのかな?」

「っ~~~~~~」


 図星だった。

 百合華先生の魅力に悩殺されて、本人も気付かないままにオシオキを受け入れてしまっていた。

 もう、このままでは調教されてしまいそうだ。


「明石君! 先生をエッチな目で見てたの? 正直に言いなさい!」


 百合華先生が、つま先で悠の太ももをツツツゥーっと滑らせる。

 まるで電流が走ったような快感で、悠のカラダがビクビクっと震えた。


「先生をエッチな目で見てるなんて悪い子ね! もう許さないわよ!」

「えっ、ええっ、あ、あの……」


 色っぽい表情になった百合華先生の足が、太ももから徐々に足の付け根に向けて上がって行く。

 このままでは大変なことになってしまいそうだ。

 悠が爆発寸前である。


(ぐわっ! ダメだ、このままでは限界に……)


 その時、階段を上がる足音が微かに聞こえた。

 百合華は瞬時にせり上がったスカートを直し胸元を隠して服を整えると、キリッとした表情になって正座する。


 コンコン!

 母親が二階に上がって来たであろうノックの音が聞こえた。


「お茶を持ってきたわよ」

「はい」


 そのままドアを開け部屋に入った絵美子に、百合華は真面目な顔で対応する。


 あんなにノリノリでエチエチ攻めをしていたのに、かすかな物音に反応して瞬時にガラリと変わってしまうのは凄すぎる。

 この変わり身の早さには悠もビックリだ。


「ありがとうございます。お母さん」


「いえいえ、悠の勉強を見てもらっているのだから、こちらこそお礼を言いたいわ。えっ、もうこんなに問題集をやったの? 凄い、さすが百合華ね。本当に助かるわ。あれっ、どうしてスーツ着てるのかしら?」


 絵美子が百合華のスーツ姿に疑問を持つ。


「ユウ君とは姉弟ということで甘えが出てはいけませんから。教師と生徒という立場をわきまえて接する為に、敢えてこの格好なんです。普段は優しくても、勉強はスパルタで行きますから」


「そ、そうなの。何だか頼もしいわね。これなら悠の勉強は大丈夫そうね」


「はい、ユウ君のことは任せてください」


 キリッと厳しめの表情で受け答えする百合華。

 完璧な家庭教師のお姉さんだ。


 ただ、悠は真っ赤な顔とドキドキした鼓動と爆発しそうなある部分を隠すように、後ろを向いたままお茶とお菓子を食べて二人の会話を聞いていた。


(危なかったぁぁぁぁ! ギリギリじゃないか。うううっ、まだ興奮が収まらないよ……。だから何でこのエロ姉は、普段はズボラでポンコツっぽかったりするのに、こういうのだけは用意周到で完璧なんだよ)


 毎度の事ながら、地上最強の姉の凄さを思い知った悠だった。


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