第19話 隠れてキスしまくり? 姉の猛攻は止まらない!

 あれからというもの、百合華のエチエチ侵攻は留まる所を知らず、隙を見つけてはちゅっちゅちゅっちゅとキスしまくっていた。

 悠は、姉の好意を嬉しく思いながらも、親バレしないか心配過ぎて落ち着かない毎日を送っているのだ。

 もう完全に、百合華の魅惑と調教でとりこにされてしまったかのように。



 そして今日も義姉の猛攻撃が始まる――――


 悠が目を覚ますと、ベッド脇に人の気配を感じた。


「んっ、んんっ……」

「ユウ君、朝だよ~」


 悠が目を開けると、笑顔の百合華が見える。


「はい、ユウ君、おはようのチュウだよっ! ちゅっ」


 頬に柔らかな感触が。


「うわっ! な、何するの!」

「ユウ君が起きないのが悪いんだよ。もう、いぃぃ~っぱいキスしちゃったから」

「ちょ、朝から刺激的過ぎるよ」


 悠が寝ているのをよいことに、百合華は悠の頬をツンツンしたりキスしまくったりと、イタズラ心いっぱいだったのだ。

 そして、悠がベッドから起き上がると、更に衝撃的な映像が飛び込んでくる。

 百合華は下着姿だった。


「うわっ! ふ、服を着ろ!」

「え~ 今着替えてる最中なんだよ。ユウ君を起こしに来てあげたのに」


 そう言って百合華は、魅惑のボディを見せつけるようにクルッと回る。

 形が良く肉感的なプリッとしたお尻に小さめの下着が食い込み、大きな胸は谷間や横乳が強調され、腕を上げると胸からわきへのラインが際立つ。


「っ~~~~~~」


(ううっ……エロ過ぎる! お尻や胸も凄いけど……腋もエロ過ぎる。くうぅぅ~! これまでアニメで腋フェチの奴らに『何言ってんだよ。腋より胸や尻だろ!』って思ってきたけど、やっぱり腋も素晴らしく最高だ! すまん! 全国の腋フェチの皆! 今日から俺も腋フェチになります!)


 百合華のせいで、悠に新たなフェチが増えてしまった。



「ほら、朝食の時間だよ。早く起きて」


 百合華が悠の手を引っ張って立たせようとする。


「ちょっ、待て! 今は起きられない事情が……」


 ある部分が起きてしまっている為に、悠本人が起きられないのだ。


(今立ち上がったら、お姉ちゃんで興奮してエネルギッシュになってるのがバレちゃう。いや、もう先日のでバレてる気もするけど……でも恥ずかし過ぎて耐えられない……)


「すぐ行くから、お姉ちゃんも着替えを済ませててよ」

「もうっ、しょうがないなぁ」


 百合華は手を離すと――――


「隙あり! ちゅっ」


 凄いスピードでキスをされた。


「じゃ、ちゃんと起きないとダメだよ~」

 バタンッ!


 一人残された悠が立ち上がる。

 毎朝こんな刺激的な起こされ方で、この先体が持つのだろうかと思いながら。



 ◆ ◇ ◆



 悠がダイニングに行くと、既に家族が揃って朝食の準備をしていた。

 幹也は元嫁が家事をあまりしなかったからなのか、絵美子の家事を手伝って一緒に準備している姿が微笑ましい。

 理想的な夫婦に見えて、悠も百合華も安心していた。


「えっと、ドレッシングが切れてるだっけ?」

「お父さん、新しいドレッシングは戸棚にしまってあるよ」

「おっ、そうかそうか」


 百合華の言葉で父が戸棚を覗き込む。

 母はキッチンを向き、両親の視線が少しだけ外れた瞬間を百合華は見逃さなかった。


「ちゅっ!」


 ほんの少し、二秒か三秒だけ両親の視線が外れた瞬間を狙い、百合華は恐るべきスピードで悠にキスをした。


(はっ? はあああああぁぁぁぁーっ! 何やってんだ、このエロ姉はぁぁぁぁ! 親の前なのにぃぃぃぃ!)


「あったあった。やっぱりドレッシングはゴマダレだよな」


 すぐに幹也が戻って来る。


「そう? シーザーも良いと思うけど?」


 内心ドキドキしまくっているはずなのに、百合華は普通に父親と会話をする。

 この大胆不敵さは、まるで日本一ひのもといちつわもの……いや、日本一の姉だろう。

 

 悠は、顔が赤いのがバレないよう、眉間みけんを押えるフリをして顔を隠す。


(はあぁぁぁぁ~! 朝から刺激が強すぎる。親にバレたらどうするつもりんなんだ……。出会った時から、とんでもないエロ姉だと思っていたけど……最近ますます戦闘力が上がっている気がする)


 指の間から百合華を見た悠はドキドキが止まらない。


(でも……大好き過ぎて何も言えねぇ……)


 悠としては、百合華に色々と文句もあるのだが、それを大きく上回る愛情が全てを許してしまっていた。



「悠君、学校の方はどうだい?」


 ふいに幹也から声をかけられ、悠は我に返った。


「まあ、ぼちぼちです」

「そうか、ぼちぼちなのが一番だよな」


 悠は義理の父の幹也を気に入っていた。

 穏やかで優しく落ち着いた性格だ。

 母が選んだ再婚相手が幹也で良かったと思っている。

 何より百合華と姉弟になれたのだから。


「どうだ、好きな子とか?」

「ぶふぉっ!」


 突然の質問に、悠は飲んでいたお茶を吹きそうになる。

 幹也としては何気ない会話だったのだが、悠は百合華との関係を聞かれた気がして動揺したのだ。


「い、いないし! 好きな子なんて」

「そ、そうかそうか。そっちも、ぼちぼちで良いよな」

「そうそう、ぼちぼちやるよ」


 このぎこちない男たちの会話に、絵美子が口を挟む。


「あなた、悠にはまだ早いですよ」



 そして、黙って聞いていた百合華は、内心動揺しているのを隠しながら心の中で絵美子に詫びていた。


(ごごご、ごめんなさい! お母さん! ユウ君は、私が色々しちゃってます……。もう、大人の階段を少し上っちゃってます……)


 実際にキスや添い寝をしまくっている百合華だが、頭の中では毎晩のように背徳的エッチの想像ばかりしているのだ。

 とても人には言えないような、ちょっと変態的なプレイまでも。


 悠が進学したら逆光源氏計画の完成と称し、実際に手を出してしまいたいとさえ思っていた。

 それも、とびきりエッチで背徳的インモラルな行為で――――




 そんな家族の食卓の時間は流れ、幹也が一足先に出勤するとこになる。

 絵美子が見送りに玄関まで行き、ダイニングには二人が残された。


 もちろん、二人っきりになった瞬間を、エロ姉が逃すはずもなく。


「ユウ君……ちゅっ、ちゅっ」

「ば、バレちゃうだろ! ダメだって」


 百合華が悠の方に身を寄せて、頬にキスを連打する。

 キスが命中する度に、悠のカラダがピクピクと反応して、更に姉のテンションを上げてしまうのだ。


(うっ……お姉ちゃん……俺も、お姉ちゃんにキスしたい……。柔らかそうなカラダをギュッて抱きしめて、いっぱい甘えてしまいたい。お姉ちゃんが大好き過ぎておかしくなりそうだよ)


 百合華の策略通りに、悠はもう義姉のことしか考えられないようにされてしまった。

 というか――

 元から悠は、他の女子のことなど眼中に無く、百合華一筋だったのだが。

 最初から好感度が高いのに、更なる激しいスキンシップにより、もう寝ても覚めても姉のことしか考えられない愛の奴隷なのだ。



「悠、あまりゆっくりしてると遅刻するわよ」


 玄関から絵美子が戻ってきた。

 あれだけベタベタしていた百合華は、一瞬で離れて何食わぬ顔をしてお茶を飲んでいる。

 もう神速の域だ。


「ちょっと、悠。何をやっているの?」


 赤い顔を隠す為に眉間に手をかざしている悠を、絵美子はヤレヤレといった顔で見つめる。


「ぐっ、我の中に眠りし十二の根源が! 鬼神王の力が暴走しそうだぜっ!」


 とっさにアニメのセリフを口走る悠だ。まさに中二病真っ盛りといったところか。


「早く学校に行きなさい……」


 絵美子としては、息子がアニメに影響され過ぎているのか、少しだけ心配になった。




 悠が家を出ようとすると、いつものように百合華に『行ってらっしゃいのキス』をされる。

 もう、一日何回キスされているのか分からないほどだ。


「ちゅっ」

 カタッ!

「悠、そういえばテストが近いでしょ。お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞くのよ」


 キスをした瞬間に絵美子がダイニングから顔を出す。

 悠は、一瞬キス現場を見られたと思った。


「はい、髪にゴミが付いてたよ。身だしなみをちゃんとしないとダメだぞ」


 その一瞬の状況判断で、百合華は自然な動きで悠の髪に付いたゴミを取る為に顔を近づけたような感じにしたのだ。

 誰が見ても何の不自然さも無い完璧な動きで。


「はい、行ってらっしゃい」

「う、うん……」


 悠は玄関を出ようとドアを開ける。後ろからは姉と母の自然な会話が聞こえてきた。


「ユウ君の試験勉強は任せてください」

「ほんと助かるわ」



 普段は泣き出してしまったりとポンコツな部分もあるのに、こういうことだけは用意周到で完璧な姉には驚かされるのだ。

 もう、この姉には何をしても勝ち目は無いのかもしれないと悠は思った。


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