第1014話 やっちまえ〜!
「なんか9月になって、却って日差しが家の中に入って日中は暑い〜!」
窓際のソファで源之助を膝の上に乗せてタブレットを弄っていた碧が悲鳴をあげた。
カーテンを閉められずに直射日光直撃は、室温を下げててもきついよね。
でも膝の上に源之助がいると動けない。
そんな碧を究極の二択から救おうと、カーテンを閉める為に立ち上がりながら窓の外に目をやる。
「そう言えば、夏の間は南向きの窓だとベランダはまだしも家の中には日が差し込まなかったのに、最近は太陽の角度が低くなったせいで家の中まで日が入ってくる様になったんだね」
ベランダに育てていた緑のカーテン用朝顔も下の方の葉が枯れ落ちて、あまり日除け効果が無くなってきたし。
「日が落ちるのは早くなってもう18時で真っ暗だし、風があれば意外と外に居てもそれ程蒸し暑くなくて過ごし易くなって、駅まで歩くだけで熱中症になりそうって言うのは無くなってきたと思うんだけど・・・日差しだけは相変わらず強いよねぇ。
しかもそれが家の中まで入ってくるから迷惑!」
碧がサイドテーブルに手を伸ばして麦茶を取りながら愚痴った。
「マジでねぇ。
もう9月後半に差し掛かってるんだから、いい加減秋らしく涼しくなって欲しい〜」
9月になっても相変わらず炎華に熱吸収を頼まなきゃいけないなんておかしいだろう。
『秋って?!』と文句を言いたくなる。
夏って6月から8月の3ヶ月でしょ?!
5月はちゃんとまだ春っぽい感じなのに、なんだって9月はちゃんと秋にならないんだろ。
マジで迷惑。
「そう言えば青木さん経由で連絡がきたんだけど、絵奈さんの案件を教えて貰った弁護士が請け負ってくれて、それなりに話が動き始めたんだってさ」
碧が教えてくれた。
「お、良かった。
ちゃんと絵奈さんの部屋を撤収してPCや携帯の暗証番号を『発見』出来たの?」
一応先日の最後の別れの際に部屋の撤収とか生命保険の話とかも絵奈さんが言っていたんだけど、死んだ娘の部屋の処分って感情的に難しそうではあったからねぇ。
とは言え、使わなくなった部屋の家賃を払うのな明らかに無駄だ。
「思い出の品っぽいのとか、服とか、本とか、家具とか諸々をどうするかって大体一人暮らしの女性の家にありそうなものを弁護士さんのアシスタントがリストアップして、それの処理を横に書いて貰って
へぇぇ。
それの方が確かに素早く処理できそうだね。
弁護士だったらお金を払えばそう言うサービスをしてくれるのかね?
便利屋とかでもやってくれそうだけどイマイチ信用できないが、弁護士事務所の人間だったら安心そうだよね。
まあ、訴訟問題とかで契約しているからこそやってくれるサービスであって、単発では頼めないか、頼めてもガッツリ金を取られるかなんだろうけど。
「それは良かった。
ちなみにクソ上司と会社の方は?」
あっさり非を認めて謝罪と改善案を出すのが一番会社にとっては簡単な対処方法だと思うが、それをされると口だけなのかの確認が面倒くさそう。
出来れば訴訟とか、せめて監督当局を巻き込んだ騒動にはして欲しいところだが。
「ちゃんと最初から鉄道会社に絵奈さんの電車利用履歴を請求してゲットした明らかに異常な労働時間と思われる行動時間を監督当局に提出して、しっかり当局が調査をする様に話を持って行ったらしいから、少なくとも口だけで適当に謝って済む様な話にはならなそう。
あと、クソ上司の方は個人としてもパワハラで訴えるらしい」
へぇぇ。
そう言えば、過労死で遺族が会社を訴えるって話は多いけど、個人も訴えるのも可能なんだ?
まあ、個人をセクハラで訴えられるなら、パワハラで訴えるのも可能なのかな?
最終的には会社に責任があって個人に罪はない的な判決になるにしても、訴えて話が大きくなればそれなりに社会的制裁にはなるだろうし、金は目当てじゃないとなれば個人を訴えるのも手だよね。
取り敢えず。
京子さんにはこれからも頑張って貰おう。
ついでにパワハラ被害者のNPOとか、ブラック企業対策用団体とか、どっか良い活動先を紹介してもらえないか、青木氏に頼んでおくといいかも。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
取り敢えず、ここでこの章は終わりです。
明日は休みますが、また今後も宜しくお願いします!
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