第966話 移住もあり?

「なんかさぁ、リモートで働くのって個々人が各家を冷房で冷やそうとするから電力消費的に非効率的だと思わない?

北海道とか高山とかの涼しいところに行ってワーケーションっぽく働くって言うならまだしも、週何日かはオフィスに出勤する想定な場所に住んでいる場合だったら平日は朝から晩まで全員オフィスで働いて、日中の一番暑い時間帯に家をサウナ状態なまま放置しておく方が社会全体の効率は良さそう」

何やら新聞を読んでいた碧がふと顔を上げて言った。


「まあ、確かに新しめなオフィスビルとかの方が古いマンションや戸建ても多い個人の家より耐熱効率は良さそうだね。

でも、家でペットを飼っている人とか、家にいる扶養家族持ちだったらどうせ家のクーラーもつける事になるよ」

サウナ状態になる想定の家に猫を置いて出勤するなら、無人でもエアコンつけっぱなしは必須だろう。


「そう言えばそうだった!

少子高齢化で人口が減りつつあるんだから、それこそ通勤しなくていい高齢者は夏は北海道で冬は沖縄とか九州南部にでも移住する感じで、家をエアコンで快適にしようとするんではなく少ないエネルギーで快適に暮らせる様に移住すれば良いのに」

碧が呟いた。


「北海道も夕張市みたいに産業が衰退しちゃって人口がガッツリ減った地域もあるんだから、確かに夏だけ人を受け入れる避暑地ビジネスみたいのを経済的にやるのも可能そうだよね〜。

まあ、北海道では冬が凄いらしいから人が住んでいない家は雪に潰れちゃって残っていない可能性もあるけど」

どうなんだろ?

前世では貴族なんかが夏の暑い時期に数ヶ月避暑地へ引っ込むことは珍しく無かった。

いくら魔道具で部屋の中を快適に出来るとは言え、コストは掛かるし外に出ると暑いしだから、室内を快適にするよりも快適な場所に移動する事を選ぶ貴族が多かったんだよねぇ。


王宮で何か至急のやり取りをしなきゃいけない時は転移門があったし。

転移門の個人使用は高くついたが、それでも朝から晩まで暑い王都で屋敷全体を冷やすよりは経済的だった筈。


そう考えると、日本だって飛行機があるんだしどうせ定年退職した様な老人は都心にいる必要はないんだし、通勤する必要がない人はマジで北海道なり高山地帯なりに夏は移動すれば良いのに。


バブル期に大量に建てたスキーリゾート街のマンションとかが、スキーの需要そのものが下がったせいで数百万円程度で安売りされる様になったって以前テレビでやっていた。

高齢者に熱中症対策で夜中もエアコンをつけたままにしましょうって呼びかけるよりは、マジで6月〜9月ぐらいはもっと涼しい地方で暮らせるように国も何かビジネスを起こすよう補助金でも出して暑い都心部からの人の追い出しに動けば良いのに。


避暑のために木を切って住宅地を開拓するのはダメだが、既にある空き家を改修して効率的に使うように出来ないのかね?


と言うか。

「考えてみたら、私らだって大学が休みの間は東京に居なきゃいけない理由は無いね。

2ヶ月ぐらい、北海道に移住してみる?

2ヶ月連続だったら源之助を連れて行っても慣れてくれるんじゃない?」

夏休み中は退魔協会の仕事は北海道か東北のしか受けないって言っておけばなんとかなりそうじゃ無いかね?


「確かに?

まあ、自治体とかでやってる短期移住って将来的にはあっちに永住するのを期待している可能性が高そうだから夏だけで良いのかちゃんと確認しなきゃだけど、今年はともかく来年は真面目にリサーチしておいても良いかもね。

それに大学を卒業したらノマド的に快適な気温の場所に暮らすのもありかも?

沖縄は飛行機じゃ無いといけないから源之助を連れて行くのにネックだけど、寒いのはまだ我慢できるからね。

北海道なら新幹線も通ったし、電車で行ける!」

碧がグイッと手を握って声を上げた。


まあ、それなりに労力とコストが掛かりそうだから本当にやるかは微妙だけど、来年用に夏の選択肢としては考えておいても良いかも。


マジで夏は辛い。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ここのところの暑さでちょっとファンタジー(と言うか氏神さまだより)な温暖化対策をちょっと夢想しちゃいました。


これで一区切りつけて、1日休んだ後はちゃんと普通な(?)話に戻しますね〜。

皆様も暑さに負けないよう、こまめな水分補給を気を付けてください!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る