第964話 最強な救世主?!
炎華の温度調整への一助になればとベランダでグリーンカーテンとして育てていた朝顔が、葉っぱに小さな穴が開く様になった。
熱に負けたか病気かと思って薬をスプレーで掛けていたら・・・小さな青虫が葉っぱからすい〜と糸にぶら下がりながら落ちてきた。
げ!!!!
「碧〜!!!
この虫、抹殺するの手伝って!!!!」
慌ててスコップの上に青虫を確保して、掃出し窓を開けて碧を呼ぶ。
虫は殺虫剤よりも碧の生体
生体
・・・殺せるよね?
卵と青虫と成虫と、見た目は違ってもDNA的には同じ存在な筈だから、生体
考えてみたら、虫みたいに大きく形状を変える生き物に関しては詳しくは知らない。
まあ、数日おきに碧に虫除け魔道具をガッツリ近くで使って貰えば卵を始末できなくても葉っぱをムシャムシャされる前に除去できるだろう。
大元の成虫がどの位の頻度で卵を産みに来るのか知らんけど。
年に1回ならいいけど、数週間ぐらいで成虫になった虫がその度に卵を産みつけに来ているんだったら朝顔を育てている間中虫除けが必要になるなぁ。
まあ、G避けに常時使っている虫除け結界の生体
以前実家でクチナシを2日で丸裸にした青虫より随分と小さいけど、これってガッツリ食べて育ったらあれと同じだけ大きくなるのか、種類が違うのか、どっちなんだろ?
「朝顔って青虫がつくんだ?
・・・それって青虫?」
ベランダに出てきた碧が私の指差したスコップを見て疑問の声を上げた。
そうなんだよねぇ。
青虫と言われて想像する3〜5センチ程度の小指ぐらいのサイズの青緑な芋虫ではなく、長さ1センチぐらいで幅1〜2ミリぐらいの超ミニな青虫だから・・・同類だと言われてもちょっと疑問を感じる。
とは言え。
「取り敢えず、この朝顔の葉っぱに穴を作っているのも、下の葉っぱやベランダの床にウンチらしき黒い点々を落としているのも、多分こいつだと思うから虫除け魔道具に生体
フンらしきこの黒い点々を洗い流して薬もスプレーして、碧がコイツらを抹殺したのにまだ穴あき葉っぱとウンチが出現する様だったらまた再考しよう」
小さいとは言え、葉っぱを食い散らかして育ったら大きくなるだろうし、更に育ってまた卵を産んで増えられたりしたら嫌だ。
「了解〜。
なんかこう、虫が湧くなら緑のカーテンじゃなくて葦簀とか簾を立て掛ける?
最近は窓のサッシに取り付けられる簾とか日除けシェードを掛ける用のハンガーも100円ショップで売ってるし」
碧が提案した。
「あ〜、100円ショップの簾用のハンガーは駄目だよ。
見た目は良さげだし形は普通に◯マゾンや◯天で買った500円ぐらいのとほぼ同じだけど、素材が柔だからグリグリ落ちない様にしっかり止めようとすると変形しちゃって結局強風が吹くたびに落ちるから」
実家で何度も何度も何度も落られて、かなりムカついたんだよねぇ。
結局諦めて◯マゾンで買い直した苦い思い出がある。
大学受験の時期だったからかなりキリキリしたもんだ。
普段は予備校で勉強することが多かったんだけど、天気が悪い時とか授業がない日は家で勉強する日もあり、ちょっと風が吹くたび(吹かない時も時々?)に簾が落ちまくって、マジであれは苛ついた。
緑のカーテン的に朝顔を這わせる柵っぽいのって植木鉢に下を刺して窓に寄り掛けさせるだけでもそこそこしっかりしてくれてちょっとやそっとの強風にも負けないのに、簾とか日除けシェードってある意味しっかり日を全部遮る様になっているから風をもろに受けるのか、安物のサッシ用ハンガーじゃあ駄目らしかった。
「おやま。
そうなの?」
碧がちょっと驚いた様に聞いてきた。
「100円ショップって食器とかコップとかはそこそこ使い勝手が良い物はあるし、意外にも1000円のモバイルバッテリーもまともに充電できてるけど、地味に強度が必要な物に関しては信用度が微妙なのかも。
まあ、もしかしたら単に私の実家が特に風のあたりが強い場所だったのかも知れないけど。
どちらにせよ、碧の虫除け結界で抹殺してくれれば問題は解決するから、宜しく〜」
考えてみたら、碧の100%抹殺率を誇る虫除け結界って売り出せたらめっちゃ自然に優しい農家へのヘルプになりそう。
聖域の雑草のカケラを使って3ヶ月ぐらい保つんだったら、2、3個ぐらいで農作物の虫除け作業期間をカバー出来るよね?
殺虫剤を使うよりも自然に優しい無農薬農業が出来そうだ。
虫だけじゃなくて植物も登録して殺せるんだったら、雑草もそれで抹殺出来て農家や草取り作業のある人々への救世主になれそう。
とは言え、聖域の雑草のカケラでカバーできる範囲がどの程度かにもよるけど。
うちらの虫除けは2LDKのマンションをカバーすることしか考えてないからなぁ。
真面目に農業をやっている農家の作付け面積をカバーするのは厳しそう・・・。
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