第892話 被害が出てから罰せられても虚しいかも
『本っ当〜に、すいませんでした!!!
あの
しかも、あの女の行動を常時監視する人員を用意してなかったので、隙を見て弟の書斎を漁って頂いた名刺を見つけた可能性は十分にある、と』
チャラ男が郵便受けに赤インクをぶち撒けた翌日の昼過ぎに、宮田さんから謝罪の連絡があった。
「まあ、家の中の荷物なんて女性の方がよく知っているでしょうから、弟さんが妻の持ち物の正確な撤去を指示するのは難しかったんでしょう。
ちなみに、名刺で大体の住所は分かるにしても、マンションの実際の地番とかは書いてないんですが、そこら辺は何らかの手段で弟さんが調べていたんですか?」
碧が宮田さんを宥めつつ尋ねる。
『いや、離婚関連の訴訟で忙しかったし、碧さん達のことを特に調べる必要は無かったから調べてはいないとの事です。
でもまあ、あの名刺があれば興信所にでも依頼すれば見つけられただろうと言っていましたけど』
溜め息と共に宮田さんの返事が聞こえてきた。
弟氏の離婚は想像通り泥沼化してるのかな?
「ちなみに、宮田さんや弟さんは嫌がらせとか、受けていませんか?」
宮田さんなんて離婚騒動になる前から穢れ満載の品々を大量に贈られる程だったのだ。
離婚騒動の引き金を引いたって事で私らよりも更に恨まれてるんじゃない??
殺し屋とか呪師を雇っていても不思議はないレベルな恨みを買っている気がするけど、大丈夫かね?
『今はまだ離婚関連で弁護士費用や財産分与が幾らになるか分からないから、お手軽なSNSを使った嫌がらせ程度しか出来ないのでしょうねぇ。
私と弟に対しては、多分そこら辺が確定した後にもっと本格的なプロを雇うと思います。
弟もそこら辺は警戒して監視させていたらしいので、碧さん達への嫌がらせも気付いても良さそうなものだったんですが・・・ある意味、殺し屋を雇う様な本格的な裏社会に接触しなかったせいで見落とした様だと弟が言っていました。
色々と助けて頂いたのに、お役に立てず迷惑をおかけして申し訳ございませんでした』
宮田さんが通話アプリの画面の中で再度頭を下げていた。
「いえ、ウザいだけで本格的なダメージはなかったんだし、悪いのは芽衣とか言うあの元義妹の方なので、宮田さんは気にしないで下さい。
それよりも、お二人とも定期的に黒崎さんの神社で厄祓いをしておくことをお勧めします。
体調が悪くなり、厄祓いしたら多少良くなるけどまた直ぐに悪くなる様でしたら退魔協会に呪師返しの依頼を出した方が良いかも知れません」
呪われているか直ぐには分からない様なジワジワと苦しませるタイプに呪詛だったら、はっきりと呪われているって分かるまで対処を待っていたら手遅れになる可能性だってあるからね。
神社で祓いきれない様な呪詛だったら早い段階で退魔協会に依頼を入れておく方が良いし。
マジで週1か最低でも月1で厄祓いをしておく方が無難だろう。
元義妹が死ぬまでそれを続ける根気があるかは知れないけど、
恨みって恨まれる方は大して重く受け取ってなくても、『害された』と思って逆恨みする方は執念深く報復の機会を狙っている可能性はそれなりに高いからなぁ。
それでも普通の人だったら暫くしたら忘れるだろうが、相手は20年前の弟氏の仲を取り持ったアクションを恨んで何年もかけてコツコツとヤバい品を集め、それを押し付けていた人間なのだ。
執念深さでは確実に平均を大きく上回っているだろう。
『そうですねぇ。
弟にも言っておきます。
体調不調系ならまだしも、不運に付き纏わられるとか気分が攻撃的になると言った方向の何かだったら自覚症状が出た時には手遅れになっているかも知れないですしね。
それはともかく。
そちらをガードする為の警備員を契約して派遣しましょうか?』
宮田さんが言った。
警備員を派遣って・・・流石に郵便受けにずっと人がいたら迷惑だし、私や碧を常に後ろから護衛の為について回られても迷惑だし、ストレスだ。
「いえ、こちらのマンションの方もセキュリティをアップグレードするらしいですし、大丈夫です。
そちらの方こそ、お大事に」
碧が応じて、挨拶を交わした後に通話アプリを切断した。
「う〜ん、因果応報の天罰って、悪事を働いたら報いを受けるのかな?
出来れば悪事を計画した時点で罰をうける形になってくれた方が安全なんだけど・・・」
「そうだよねぇ。
後から報いを受けてボロボロになったって聞いても、被害者が死んでたら意味ないんだし」
碧が呟いた。
『ふむ。
実際に被害は出てからではなく、自分で悪事を行う為の行動を取り始めた時点で相応に罰せられる様に時間軸をいじっておこう』
白龍さまが言ってくれた。
それで間に合うかな?
間に合うよね?
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