第891話 内容証明郵便を使おう
「取り敢えず、まずは宮田さんの元(?)義妹の居場所を見つけなきゃだね。
宮田さんにでも、聞いてみようか。
ついでにどうやってあの女が私たちの住所を知ったのか、確認したいし」
碧が溜め息を吐きながら言った。
「考えてみたら、宮田さんにも弟氏にも私らの住所は教えてないもんね。
ちょっとグレーな興信所でも雇って、宮田さんか弟氏の家を漁らせて私たちの名刺とかをゲットしてそれを元に住所も探させたのかな?」
私たちの名刺には住所の詳細は記載してないけど、大体の場所は大雑把には書いてある。
住んでいる町が分かったら何らかの手段で名前だけで住所も割り出せるのかね?
私たちもSNSにアカウントは持っているが、投稿はしてないから写真のGPS情報から調べるなんてことも出来ないはずだと思うのだが。
「もしかして、退魔協会の職員でも買収して入手したのかも?
いや、職員を買収するよりもハッカーを雇ってデータベースから情報を抜き取らせる方が簡単かな?」
碧が言った。
「ああ〜。確かにね。
退魔協会のセキュリティってかなり杜撰らしいし」
ちょっとプログラミングが得意な元退魔師見習いで簡単に侵入出来たのだ。
西田俊介がハッカーとして天才だった可能性もあるが、彼の評価として退魔協会は下の中レベルだった。
私だけの情報ならまだしも、碧の情報を売るほどバカな職員が退魔協会にまだ残っているとも思い辛いし。
まあ、あそこは縁故雇用の腰掛けちっくな馬鹿が多いみたいだから、懲りずにアホな事をする人間がいても不思議ではないが・・・それなりにここ1、2年で白龍さまの天罰の怖さは身に染みていると思うんだよね。
セキュリティがしっかりしてないせいで私らの個人情報が漏れているなら、そに無能さの責任を負って誰かに天罰を受けて貰いたい気もするが、流石にそこまで理の連鎖を繋いでいくのは難しいんだろうなぁ。
無能なだけで天罰が下るって事になったら、労働人口のかなりの割合に天罰が下りかねない。
流石にそこまで白龍さまや他の氏神さまも魔力や霊力が余っていないだろう。
それはさておき。
「まあ、いいや。
取り敢えず宮田さんにメールを送って、芽衣さんがどうもSNS経由で闇バイトの依頼を出して私達に嫌がらせをしているので損害賠償請求を内容証明郵便で送りたいから今の住所を教えてくれって言うのと、私たちの住所が漏れた経路に心当たりがあるなら今後のセキュリティ強化をお願いしますって言っておこう」
碧がタブレットを取り出しながら言った。
時間が時間だし、内容もちょっと重いからチャットアプリではなくメールを書くようだ。
「でもさ、白龍さまの天罰で誰が闇バイトの依頼を出したか分かったけど、証明できないんだから損害賠償請求なんてしても無駄じゃない?」
と言うか、あれだけの事を親族や知人にやりまくっても大人しく離婚に応じなくて裁判沙汰になっている女なのだ。
例え闇バイトの依頼の件を証明できても白を切るんじゃないかね?
「別に宮田さんには、どんな証拠があるか言う必要はないでしょ?
単に住所を教えてもらう口実と、情報管理に関する注意喚起をしたいだけなんだから。
証拠がなくったって損害賠償請求を送り付けるだけは送れるし。
単に相手が無視するか、拒否するだけよ」
肩を竦めながら碧が言った。
そっか。
私らの報復のために住所を教えて下さいとは言い辛いし、態々興信所を雇ってお金を払うのも業腹だから、住所を教えてもらうそれっぽい理由を言伝えるだけか。
「ちなみに、その太り易くなる体質変化って恒久的なの?」
だったら恒久的に私も痩せ易くなる様に体質改善して貰いたいなぁ。
まあ、歳をとったら痩せ気味よりは生活習慣病にならない程度に多少太っているぐらいの方が長生きするらしいけど。
「まさかぁ。
1、2ヶ月ぐらいかな?
ある意味、本気で嫌がらせするなら新陳代謝を良くして、今だけいくら食べても太らない様にした方が、長期的にはダメージが大きいかも?
大食いする癖がついて胃が大きくなってから体質が元に戻ったら、新陳代謝が元に戻ったのについつい食べ過ぎるせいで太っちゃって苦しむ様になると思う」
碧が薄く笑いながら言った。
「うわぁ。
痩せさせてあげるのって悔しいけど、確かに長期的にはそっちの方がダメージが大きいかもねぇ。
まあ、取り敢えず今回は1、2ヶ月妙に増えちゃう体重に悩んで貰うのと、SNSを使えなくなる体質になる様にするのとで我慢しよう」
ついでに穢れを視る才能や魔力も封じられそうだったら封じておこう。
私らの事を思い浮かべない様に意識誘導して今後の嫌がらせを思い立たない様にするとしても、他の人間へのステルス嫌がらせをやれるままな状態にしておいたら世の為にならないだろう。
ある意味、呪詛を学んでウチらを呪ってくれたら呪詛返しが出来て良いんだけどねぇ。
流石に呪詛返しのプロを呪うほど馬鹿じゃあないだろう。
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