第885話 自衛→反撃
「あ。
これ、中を一部拭いちゃったけど。犯人の指紋とかを取る為に残しておくべきだったかな?」
本物の血ならまだしも、赤インクじゃあ警察もあまり大した事をやってくれない気もしないでもないが。
本物の血だと思った振りをして110番通報する?
でも、流石に警官だったらこれが偽物だって分かるよね。
悪質な嫌がらせとして調査してくれるかどうかは・・・微妙かなぁ。
「赤インクを中にぶちまけるのって多分こう、大きなスポイトかシリンジに赤インクを入れておいて投函口から中に注入した感じだろうから、指紋があるとしたら正面の部分じゃない?
まあ、中を掃除している際にうっかり正面の部分を触っちゃったら指紋が消えるかもだから、一応そのまま残しておく方が良いかもだけど。
取り敢えず、青木さんに連絡して防犯カメラの映像を確認すると共に、こう言う時って警察が何をしてくれるかも聞いてみよう」
碧が言いながら、携帯を取り出した。
考えてみたら、ストーカーがやばい手紙とかをガンガン被害者の郵便受けに入れたり、郵便物を勝手に開封して中を調べたりしていても、警察ってそれに関して大した事を出来てないらしいよね。
ストーカー案件の時なんて、犯人が誰か分かっているのに実質何も出来ないって事は、郵便受けの中への悪戯や嫌がらせって刑罰的には軽度過ぎて開き直った相手には何も出来ないのかな?
「・・・マジですか??
・・・ええ。
取り敢えず、それをお願いします」
携帯電話で話している碧の声を聞きながら爪の間に入っちゃったインクを落とそうとタオルの端で拭っていたら、通話が終わり・・・碧が不満げに大きく息を吐いた。
「基本的に、郵便受けへの悪戯は何か重大な損害が生じない限りは警察は実質何もしてくれないんだって。
防犯カメラに写っている人物が誰か分かるんだったら警告ぐらいはしてくれるし、こっちが刑事告発するって主張したら場合によっては受理してくれる事もあるけど、私たちに危害が及んでいない場合はよっぽど悪質じゃない限り難しいんじゃ無いかって。
先ずはマンションの住民じゃ無い事を確認する為に防犯カメラの映像をチェックして、犯人の映像を後で見せてくれるって」
碧が言った。
あ〜。
やっぱ駄目かぁ。
刑事告発って言うのもなんかあまり現実性は無さそうだなぁ。
「田端氏に『お願い』したら指紋ぐらいは確認して貰えないかな?
今までの呪師返しとか呪師の拘束とかに活躍した碧への報復の第一弾な可能性もゼロじゃないって事で、警察のデータベースで調べて貰えない?
そんでもって、一回限りじゃ無い可能性を考えて、隠密型クルミを郵便受けの中に隠して、誰かが変な液体や物を中に入れたら尾行してそいつの住処を見つけよう」
田端氏経由で犯人が見つかるならそれはそれで良い。
嫌がらせが一回限りなら、ちょっと業腹だが見逃しても、良い。
だが、嫌がらせを繰り返すなら・・・日本の警察が何もしてくれないなら、黒魔術師の能力をフルに使って犯人とその黒幕を見つけ出し、相応な報復をさせて貰おうじゃないか。
ちょっと考えてから、碧が頷いた。
「そうね。
白龍さまに安易に頼っちゃ駄目だと思うし、天罰って私らへの悪意や害に比例する部分もあるらしいから、ある意味どうでも良いダイレクトメールが汚れただけだと比較的ショボイ天罰になっちゃう可能性があるのよね。
まあ、繰り返し嫌がらせをしてくる様だったらどんどん度合いが上がっていくけど」
碧が頷きながら言った。
へぇぇ、碧への嫌がらせや本人的には善意のお節介なつもりだったお見合いもどきなセクハラっぽい接待でもそれなりな天罰を受けた様だったけど・・・あれって碧が受けた可能性があるダメージに比例していたのかね?
私への誘拐とかも天罰デフェンスしてくれたし。天罰って悪意の結果と連鎖で最終的に受けたかも知れない害に対する罰なのかな?
「しっかし。
赤インクを郵便受けにぶちまけるって不思議な嫌がらせだね。
単なるランダムな悪戯ならまだしも、狙って私らへやっているんだったら呪詛とかを依頼する方が現実的な気もするけど・・・いや、呪詛返しされるリスクを考えるとこう言うみみっちい嫌がらせの方がローリスクで大きな蓄積ダメージを狙えるのかな?」
もっと本格的に悪意があるなら、ネットで変な風に私らの情報を晒した方が更に色々と嫌な事を引き起こせそうな気もするが・・・考えてみたら、そう言うネットを使って第三者にやらせる嫌がらせも白龍さまは天罰を下せるのかな?
まあ、取り敢えずは次の行動待ちで・・・ちょっかいがあったら反撃だね。
一応田端氏や青木氏にも頼るけど、そっちはあまり期待は出来ないだろうし。
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