第841話 どこまでやるか

「う〜ん、クレープの食べ放題って横浜の方にあるっぽいけど、考えてみたら食べ放題だと質より量路線になりそうだよねぇ」

ネットで調べた結果に微妙に不満を感じる。


こう、美味しくて小さいのを3つか4つ食べられたら幸せなんだけどなぁ。

考えてみたらクレープ屋のキッチンカーがどこまで質に拘っているかは微妙に不明だけど。


だけど、キッチンカーのクレープだって美味しくないと地域の人間が思ったらレピート客が居なくなるし、学校や職場や近所の人経由で悪評が広がっても困るだろうから、費用対効果ギリギリなラインで最高の味になる様に色々と工夫しているとは思う。


「考えてみたら凛が気に入っているあのキッチンカーのクレープって、皮はまだしも中身はクリームがマシマシって感じでしょ?

座って食べるタイプの店のクレープってクリームの代わりにアイスクリームだったり、クリームがあっても少なめじゃない?

なんかこう、お皿で食べるクレープと、外で筒状に丸めて手に持って食べるクレープってなんか中身の路線が違うよね?」

碧がお皿に乗ったクレープの写真を指差しながら指摘した。


あれ?

そう言えば、確かにそうかも。


実は私はクレープのクリーム部分が好きなんだよねぇ。

薄いホットケーキミックスでクレープの皮を焼いて、自分でホイップクリームを泡立てて作るのが一番幸せになれるかも?


皮はまだしもクリームを1回分だけ買って泡立てるのって2人で食べるとしても量が微妙な気がするけど、出来合いのホイップクリームのをチューブを買ったらあれって美味しいのかな?


クレープ屋のキッチンカーが使っている生クリームのメーカーがどこのなのか、作っているところをこっそり携帯で動画を撮影したらクリームのメーカー名が分かるだろうか。


「・・・考えてみたら、そうだよね。

クレープの食べ放題は諦めるかなぁ。

何やらスカイツリーの側のビルの6階にも甘い物メインなビュッフェをやる店があってクレープも出るらしいけど、露骨に観光客目当てな立地にある店ってあまり味は期待できない気がするし。

普通のスイーツビュッフェで我慢しようか」

あのクレープ屋のキッチンカーのクレープをもう少し小さくして2つ食べられるようにしてくれれば良いのに。

・・・二つ買ってきて、碧と山分けというのもあり?

ちょっとへにゃっとしちゃうだろうけど、クリームはちゃんとマシマシ状態にはなるだろう。


でも、あの巻いたタイプのクレープって二人でシェアするのはちょっと難しそうなんだよなぁ。

この際、満腹中枢を麻痺させて自分一人で2個食べちゃうか?

2個ぐらいだったら物理的に胃に入りきるとは思う。

後で胸焼けしてきたら碧に頼めば消化を早めてくれるだろうし。


「デザートも美味しい、どっかのホテルのレストランでランチビュッフェってのが良くない?

スイーツだけよりも普通に食べる食事もちょっとある方が、満足感が大きそう」

碧が提案した。


そうなんだけど、美味しいところだと食事の方もついつい食べすぎちゃうんだよなぁ。


「・・・なんかさぁ、フードファイターっぽい人ってやたらと胃が大きく伸びるみたいじゃん?

私の胃の伸縮性も大きくして、普段の3倍ぐらい胃に入るようにできない?」

碧に尋ねる。


やっぱ物理的に胃が大きくなってくれないと、詰め込めないんだよね。

流石に美味しく食べたのをトイレで吐いちゃってまた食べるというのは料理への冒涜すぎるだろうからなぁ。


まあ、大腸の機能を下げて吸収するカロリー値を小さくして貰うのもある意味冒涜だけど。

でも太っちゃうのは困るから、そこは目を瞑って貰わないと。


「胃の伸縮性ねぇ。

出来なくはないけど、それこそ妊婦用の服でも着ないと、服がきつくて無理なんじゃない?」

碧が指摘する。


「・・・近い将来に妊娠する予定は無いけど、碧と一緒にいる限り定期的に食い放題で美味しい物をガッツリ食べる予定はあるから、ビュッフェ用に妊婦服を一着買っておくのもありかも?」

妊婦って一気にウエスト周りが太くなるわけじゃあないから、食事前のすっきりした体型で着ても極端に不自然じゃ無いデザインのを見つけなきゃだけどね。


「そうだね。

・・・よし!

今度ちょっと妊婦服を見に行こう!」

碧が力強く頷いた。


あとは美味しいランチビュッフェのところを見つけて予約を入れなきゃだね。

うむ、やるからには徹底的に準備して行こう!









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