第814話 猫へのお土産は悩ましい

「さっさと終わらせて、帰りにレンタカー屋の側で見かけたペットショップにでも寄って源之助にお土産のオヤツを買って帰ろう!」

碧がレンタカーから降りながら言った。


「人間へのお土産と違って猫へのお土産って地方で特産物とか買って帰るわけにいかないのが残念だよね〜」

明日はニャンコの日だから喜ぶ何かをあげたいけど、地方で売ってる人間用お菓子や魚の干物よりは普通に近所のペットショップで売ってるチュ◯ルの方が喜ばれそうだからなぁ。

と言うか魚の干物は塩分が多すぎて危険だろうし。


まだオモチャがあればそっちの方が良いかもだけど、流石に猫じゃらしはホテルの売店にも売ってなかった。


ちなみに先程行ったホテルには売店と、和洋両方のオヤツ系がメニューにある喫茶店があった。

私が頼んだくず餅は知らないけど、少なくとも碧が頼んだショートケーキは綺麗なラップで切り目がカバーされていたから外の店から仕入れたものなんじゃ無いかな?


今時だったら生菓子系のケーキも冷凍したのを通販で買えるから、考えてみたら日本全国どこでも美味しいケーキを食べられるのだろう。

碧曰く、味はコンビニのスイーツとさして差はなかったとの事だが。

最近はコンビニのスイーツも美味しいからねぇ。

そう考えると、ケーキ職人には世知辛い時代になってきたのかも。

メディアで持て囃されるようなセレブ系パティシエはまだしも、昔の街の洋菓子屋さん系の普通なケーキを売る店なんかはコンビニの大量生産スイーツに駆逐されつつあるんだろうなぁ。

お手軽に美味しいスイーツが食べられる様になるのって一見良さげな変化だけど、実は微妙な結果に繋がるよね。


街の洋菓子屋さんだって、たまにコンビニスイーツじゃないもっと手作り感のあるケーキを食べたくなった時にだけ売れるんじゃあ採算が取れないだろう。

そうなるとコンビニでは売っていない様な手の込んだ高級路線スイーツでも作らなきゃだが、そんな高いのをしょっちゅう買うだけの経済力がある住民の多い地域か、『稀に買う』程度の客で数を捌けるだけの人通りがある場所にでも店を構えねばならず・・・そんなところの地代は高いだろう。


どう考えても街の洋菓子屋さんの将来は暗い。

上手い事ネット通販で評判にならないと厳しいよねぇ。

ネット通販だって検索した際にトップに出てくるか否かで売上が激変するらしいから、そっちの競争も大変だろうし。


そう言うネットの検索対策に金を払うのは厳しいだろうが、パティシエにそう言う知識を求めるのも無謀だろう。


すごく美味しいと雑誌や新聞の特集に載ったら今度は店の生産キャパシティを大幅に超えたオーダーが短期的に集中するだろうし。

そこで待たせすぎると悪評が立つし、雑誌や新聞で興味を引かれたネットの客なんて定着するのはごく一部だろうから、長期的にはどうなるか分かったものっではない。


街の普通のケーキ屋が無くなり、コンビニや超高級じゃないケーキが食べたくなったらネットで買う様になるとますます宅配業者が忙しくなって大変になりそう。

ある意味、コンビニ業界がスイーツに手を出したのは日本経済にとっては大きなマイナスだったのかも?


まあ、それな戯言はともかく。

魔力を使うとお腹が空くし実際にエネルギーを使っているのだが、実は魔力の回復はカロリー値にもタンパク質量にも依存しない。


食べなきゃ魔力は戻らないけど、何を食べたら早く回復するって言うのは別にないっぽいんだよねぇ。

強いて言うなら、『美味しい』と感じると回復が早い・・・かも?ってところだ。

マジで魔力ってある意味不思議。


前世では急ぎだったら魔力ポーションとか魔石で回復させていたけど、食事と魔力回復の直接的な関係は微妙に不明だった。


まあ、魔力回復の為に気が進まないモノを無理して食べなくて済むのは助かるけどね。


「大体、猫が魚を好むって言うのも日本とか海辺の地域特有の伝承ってだけで、海外だと肉を普通に好むらしいしね。

つうか、小笠原なんかでは鳩がガンガン食われまくっちゃってあっち固有の鳩が絶滅しそうって問題になったらしいし」

スイーツ関連のことを考えるのを切り上げ、源之助へのお土産に関して考える。


これからこちらへ頻繁に通うことになって暫く留守が多くなるから、なにか源之助へのお土産を買ってあげたい。


「なんかここら辺のお土産用小物で猫じゃらし的な形のを探すしかないかも?

木とか紙とかで出来たのだったら源之助がじゃれついて噛みちぎってうっかり食べちゃっても大丈夫でしょうし。

多分」

猫用オモチャじゃなくても、木材や和紙系の小物だったら猫にとって有害な物質が使われてたりしないよね??








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