殺人?事件

第787話 殺人事件

『実は、とある政治家と親しくしていた女性がお亡くなりになり、その死の状況が週刊誌に漏れ出て炎上したせいもあってその先生が殺したのではないかと話が上がって捜査が進められています。

その政治家から、その女性の霊を召喚して自分の無罪を証明してくれと言う依頼が入ってきているのですが、お願い出来ますでしょうか?』

嫌な依頼が来た時の言い訳だけでなく、ちゃんと真面目に勉強しようと大学での授業のノートを纏めていたら退魔協会から電話があり、珍しく私指名っぽい依頼を伝えられた。


なんかこないだ碧と話していた殺人事件を解決する霊能者みたいな案件だね〜。

依頼してきたのが政治家って言うのはちょっと意外だけど。

政治家だったら殺したのを揉み消そうとしている方かと思っていたよ。


「霊の召喚の依頼って死者の直接の親族じゃなきゃ違法だと聞いた気がしますが。

その政治家は亡くなった方の親族なんですか?」

これがちらっとネットで噂を見た政治家の話だとしたら、死んだ女性は有力政治家の愛人って話だったと思うんだけど。


『その政治家が被害者の妹さんに依頼を出すよう交渉したので、適法です』


ふうん。

そこまで頑張るって事は、その政治家は殺人に関しては無実なんだろうなぁ。

ちょっと残念かも?

もしも愛人なんだったら、政治家のヤバい違法行為について何か知らないかを聞いて、証拠がありそうだったらそれを警察に渡すのってありなのかな?


もしかしたら潔癖で清廉な政治家もこの世に居るのかも知れないけど、愛人を囲っている時点で清廉じゃあないし・・・残念な事に、多分清廉なだけだったら日本じゃあ政治家としてやっていけなそう。


お人好しや清廉な人よりも清濁合わせて飲める・・・どころか泥の中で嬉々として泳ぎ回れるような人間の方が多分政治家としては有能なのかもだけど、最近の政治家の汚い金の話を聞いているとイラッとするんだよねぇ。


別に今の政治家が有能っていう感じもないし。

金に汚いんだったら、せめてその金を使って人を動かし、将来の日本の為に今の日本の無駄な縦割り規制とかをガンガン削って社会を良くして欲しい。


金を溜め込むだけ溜め込んで、利権持ちな企業や医者が儲かるような非効率的な社会を現状維持させたり、何かある毎に補助金とか用途のはっきりしない基金をどさくさ紛れに設立してますます国の借金を増やすのはやめてくれ!


まあ、それはさておき。

「依頼を受けるとして、誰の前で被害者の霊の呼び出しをしなければならないのでしょうか?

殺人の嫌疑が掛かっている人間がいるところで霊を呼び出すと、突発的に死の瞬間の怒りや絶望を思い出して悪霊化する可能性もありそうで危険だと思いますが」


『・・・そうですね。

妹さんと警察の立ち会いの下でどうでしょうか?』

職員が提案してきた。


まあ、そこら辺が無難かな?

碧に目を向けたらどうでも良さげに肩を竦められた。


「ではそれで結構です。

事件の詳細と、現時点で調査して分かった情報、および警察が欲している情報を送っていただけますか?

死んだからと言って霊が生前よりも論理的になる訳ではないので、召喚して出来るだけ効率的かつ網羅的に情報を得るには前準備が必要です」

まあ、本番に警察が立ち会うなら足りない情報に関してはそっちからも質問を受け付けるつもりだけど。


とは言え、普通の第三者的な目撃者でも色々と思い違いとか見間違いってあるからねぇ。

殺された瞬間の事なんて、ちゃんと被害者本人が分かっているかは微妙なんだよねぇ。

思い違いをした状態で死んだ場合、その死霊が偶々真実を知る機会があるような所を彷徨っていたって言うんじゃ無い限り、思い違ったまま召喚されるのだ。

まあ、私がしっかり霊の記憶を読んで精査していけば誤解も減るだろうけど、警察や妹さんが納得できるように霊に自分から話させた場合は収拾がつかなくなる可能性もそれなりに高い。

とは言え、出来れば殺された霊の記憶なんて読みたくないので、普通にこちらの質問に答えて貰うだけで済むと良いんだけど。


『承知しました。

捜査中の事件に関してどれだけ警察が情報を開示してくれるかは不明ですが、少なくとも何を聞いて欲しいかに関しては教えてくれると思いますので日時を確認する際にリクエストして、受け取り次第お送りします』

と言って職員は電話を切った。


「なんか凄い偶然だね〜」

お煎餅の袋を取り出しながら碧が呟く。


「だね〜。

政治家が自分から依頼してくるって言うのがちょっと想定外だけど」

警察もどの程度真面目に調べているんだろ?

政治家関連だったら被疑者本人はまだしも、その被疑者に借りのある別の政治家とかが事件を有耶無耶にする為に圧力をかけてそう。


う〜ん。

警察があっち側の持っている情報を開示する気が無いなら、立ち会う警官に握手でもして記憶を読むかねぇ。

時間を節約するために、事件に関して少しこっちでも調べておくべきかな?






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る