第731話 オプションは説明して!!

「感じ悪かった〜!!!」

2時過ぎに近所の携帯ショップに買い替え予約を入れていた私は、ちんたら動きの遅い店員に色々と待たされつつ買い替え手続きを終えて、3時半ぐらいに家に帰ってきたのだが・・・思わず荷物を持ったままソファに身を投げ出した。


「あれ、そうなの?

格安携帯ならまだしも、普通の3大キャリアなんだからサービスは普通に良いだろうと思っていたんだけど」

碧がちょっと意外そうに聞いてきた。


「まず、2時10分の予約に2時8分に店に行ったら、客は一人もいないのに何故か5分以上待たされた。2時10分きっかりに上から降りてきた店員が、降りてきてから資料を読み始めたっぽくって。

客が居なくて暇なんだったら事前に資料ぐらい読めってーの!

そんでもって携帯購入の際に、充電用の機器はいるかって聞かれて、今の機種と同じですかって聞いたら、『そうです』って言われたんで要らないって言ったんだけど、考えてみたら私の今の携帯って買った時に古い機種が気に入って選んだから、microUSBだったんだよね。

今ってどれもtypeCなんじゃないかと思って、後から確認したらやっぱそうだった。

どの機種を使っているかなんて登録しているんだから記録を見れば分かるはずのに、何あっさり間違った事を言っているのよ!!」

確かにここ数年の携帯って基本的にtypeCなんだろうけど、携帯ショップなんだからそこら辺はちゃんと知っていても良いんじゃ無い??


いい加減すぎる。

誰も彼もが新しい携帯を使い捨てな勢いで買い替えているんじゃ無いんだぞ!


「良かったね、店を出る前に気が付いて」

碧がちょっと宥めるように言った。


「しかも、typeC用の充電関連の機器が欲しいって言ったら、何も聞かずにtypeC同士のケーブルとACアダプターを出してきたんだけど、ケーブルが2200円にアダプターが3300円。

バカ高いでしょ?!

一応アダプターはiPadのが使えると思ったからケーブルだけ買う事にしたんだけど、念のためにUSBと繋ぐケーブルは無いのかって聞いたらなんと990円のを出してきたのよ!

こんなに値段が違うのがあるなら、選べるものを全部出してどれにしますかって聞くべきじゃない?」

誠意が無さすぎる。


「充電スピードが全然違うらしいから、高いアダプターとtypeCのやつの方が利用者の満足度は高いかも知れないけど、確かに財布へのインパクトを考えるとそこはちゃんと情報開示をして欲しいよね」

碧が頷く。

なんか宥めるような口調な気がしないでも無いが・・・990円で済むのに、突っ込まなかったら5500円払う羽目になっていたんだよ??

もっと憤慨しようよ〜。


碧って中学の頃から退魔師としては働いていたからか、お金に関しては意外と大らかな面もあるんだよねぇ。

親から貰ったお小遣いベースの金銭感覚な私はまだまだみみっちい金額でキーキー怒るんだけど。

でも!

金額よりも今回は誠意の問題なんだよ!!


「どうせ寝ている間に充電するんだからそこまで急速に充電できる必要は無いもん。990円で十分なのよ、私は!

だからそっちにしたんだけど、言わなきゃ出てこないってムカつく〜。

しかも本体の契約にしても、勝手に問答無用で毎月1300円ぐらいかかるオプションをこちらに聞かずにしれっと入れてるし」

契約内容の確認とか言ってスクリーンを見せた時も、オプションについて説明せずに『こちらで良いですね』ってデータ通信と電話関連の金額だけ確認しようとしたのだ。


「え、流石に有償なオプションを何も言わずに入れちゃダメでしょ??」

碧がちょっと意外そうに聞いてきた。


「説明せずに、こちらの意見も聞かずに勝手に安心サポートパックとかなんとか言うのを入れてて、3500円程度の月額料金を4800円ぐらいまで増やしてた。

『このオプションって何ですか?』って聞いたらやっと内容を見せてくれて、要らないって言ったら外したけど、普通だったら月額料金が4割増しになるオマケだったら説明するでしょ??

無くした時とか故障した時の為にあった方が良いですよって売り込むならまだしも、何も言わずに勝手に契約内容に入れてくるって誠意がなすぎる!」


大体、携帯だって普通に使っている場合だったら1年間は保証が効く筈。

つまり、1年目に壊れた場合はトイレに落としたとか言うような間抜けで自業自得な壊し方をしない限り、無料で修理してもらえるのだ。

例え2年目に壊れたとしても、1300円を2年間払い続けたら本体価格よりも多くなることを考えると、その時点で自腹で修理してもらうなり諦めて買い替えるなりする方が経済的だ。


どう考えてもあのオプションは費用対効果が悪い。


10万円とか20万円もするような端末だったら入る価値が十分あるかも知れないサービスだが、安心サポートパックの値段は端末本体の値段に関係なく毎月1300円なのだ。

安い端末を買った人間に強引に押し込むべきサービスでは無い。


端末が安いから店にとっての利幅が薄いって事で毟れるところで毟ろうとしたのかね?


「なんかこう、色々と説明しまくって勧められるのも嫌だけど、何も説明せずに勝手に高いものを契約させようとするなんて、ダメじゃん。

携帯なんて、詳しくない高齢者が『無ければ困るから』って事でよく分からないままに買う事も多いだろうに・・・店員がそんなだとボラれている人も多そうだね〜」

ため息を吐きながら碧が言った。


「だね。

日本企業が海外企業に駆逐されちゃ嫌だわ〜なんて思っていたけど、日本企業も信頼できないなんて、がっかり」

日本企業全般が毟れるところから毟るスタンスなのではなく、今日の店員が特にハズレだったのだと思いたい。


全般的にああも信頼できない人ばかりだと思うと、かなり切ないぞ。











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